二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【かいねこ】海鳴り

INDEX|28ページ/28ページ|

前のページ
 

「では、海を見に行こう」

俺の言葉に、いろはは驚いたようにこちらを見上げる。

「海だけではない。外の世界を共に見に行こう」

そう言うと、いろはも微笑んで、

「そうだな。お前と共に、外の世界が見たい」

手を伸ばして肩に触れると、いろはは僅かに身じろぎした後、大人しく身を寄せてきた。
細い体に腕を回したところで、足音が聞こえる。
慌てて離れると、メイコの声が響いた。

「見つけたわよ!二人して、こんなところに隠れて」
「すみません。人混みに酔ってしまいました」

いろはがしおらしく答えると、メイコは手を振って、

「大変だと思うけど、もう少し辛抱して。伏木様の屋敷で、酒席が設けられるの。酔っぱらいの相手は大変なんだから、あんたも来なさい」

後半は、俺に向けて言われる。
随分扱いが違うものだと苦笑しながら、「分かった」と答え、横で大人しくしているいろはを抱き寄せた。

「それと、俺は、いろはを妻に迎えることにしたから」
「はあ?」
「なっ!!」

メイコは呆れ顔でこちらを見て、いろははじたばたと暴れる。

「ばっ、馬鹿!何を言い出すんだ!」

取り繕う余裕もないのか、しおらしさを捨てて慌てるいろは。

「あんたが、そんなに手が早いとは知らなかったわ。大瀬様の影響?」
「一月、共に暮らしたからな」
「・・・・・・もう酔ってんの?」

俺が笑うと、メイコはやれやれと首を振った。

「何でもいいから、早くしなさい。ルカ達だけじゃ、大変なんだから」
「分かってる」

メイコが先に立って歩きだし、俺は真っ赤になっているいろはの手を握る。

「これからは、ずっと一緒だ」

そう言って笑いかけると、いろはは、ばしんと俺の肩を叩いた。



終わり


作品名:【かいねこ】海鳴り 作家名:シャオ