梅花
「女子とはすごいものだな。毎日あんな格好をして生活しているとは……」
「いや、あんな派手なカッコ毎日してる女なんて、そう滅多にいねーだろ」
一応、突っ込んでおく。
桂は言い返してこず、自分の肩をトントンと叩く。凝っているらしい。
「肩、揉んでやろーか」
「助かる、と言いたい所だが、他の事もされそうだからやめておく」
「別にいいじゃねーかよ、今更」
「俺は疲れたと言っているだろう」
「あーあ、本当にお前ェは冷てーよなァ」
不満たっぷりに言うと、桂はムッとした表情になる。
そんな桂の顔をじっと眺めて、銀時は更に言う。
「さっき神社でも言ったけどさ、銀サン愛してるって言ってくれない? たまにはさァ」
「……貴様、そんな事を言って恥ずかしくないのか」
「お前と付き合ってるうちに、恥ずかしがってたらなァんにも伝わらねーって事がよーく分かったんだよ」
桂は忌々しげに顔を逸らした。眼を畳にやり、何事かを考え込んでいる。
しばらくして、桂は立ち上がった。
怒ってどこかに行くのかと銀時は思ったが、まったく逆で、桂は銀時のほうに近づいてきた。そして、至近距離に腰を降ろす。
その瞬間、桂が抱きついてきた。
銀時の肩に顎を乗せるような格好で、桂はささやく。
言い終わると、桂はサッと銀時から離れる。
「これで満足か?」
えらそうに言いながら、桂の顔は朱色に染まっていた。
あーあ、本当に素直じゃねェよなァ。そう思いながら、銀時は自分の顔も赤らんでゆくのを感じた。
【了】