HLM!
「・ ・ ・ で、どういうこと?」
「あ、のですね・・・いっしょに、お昼食べようと思って来たんですけど、ヒバリさんいなかったので待ってたんです。
で、お茶淹れてて、こぼしちゃって・・・それでヒバリさんの予備のシャツを借りようと・・・」
綱吉は顔を真っ赤にして、俯いてぼそぼそと話している。
途中で思い出してしまったのか、「あぅぅぅ」とか言いながら身体を横にしてソファのクッションに顔を埋めてしまった。
僕は綱吉の横に座り、彼女の肩を叩いた。
「綱吉、起きて。今から大事な話をするから」
「は、はい」
未だに赤みの残る彼女の顔をがっちりと手で挟み、言い聞かせる。
「スカートは膝丈まで。胸元のボタンはきっちり閉めて」
「えっ」
「あと慌てて走ったりしない。もう少し落ち着きを持って」
「な、なんで」
「それと、僕が応接室にいないときは何もしなくていいから。何かあったら困る」
「ふぇ・・・」
「あとは・・・」
そこで気づいた。
綱吉が涙目になっている。
「つ、綱吉」
「わ、わたし・・・っ、そんなに、ヒバリさんのこのみに、あってなかったんですか・・・?」
とうとうしゃくりあげて泣き出してしまった。
「ごっ、ごめんなさい・・・わたし、がんばりますから・・・ちゃんと、ヒバリさんにあう、かのじょになりますから、だから・・・」
「違うよ」
僕は手を緩めて、やわらかなハニーブラウンの髪を梳いた。
「嫌いになんかなってない。なるもんか」
「だ、だってぇ」
「君は可愛い。可愛すぎる。君以外に惚れることなんてない」
「んなぁ!?」
正直に言ったら、さっきとは打って変わって慌てだした。
そんなところも可愛いけど、今はそれを堪能している場合じゃない。
「ただ、君は自分の可愛さに無自覚すぎる。そんな無防備に振りまいて、君を狙わない男がいると思う?」
「そんな、可愛くなんかないですっ」
「だから分かってないんだって。そんなので、いつか襲われたらどうするのさ」
「お、おそわれ・・・?」
・・・意味が分かってないみたいだ。
「とにかく、僕の言った通りにして。・・・ちゃんとできたら、ご褒美あげるよ?」
「ご褒美?なんですか?」
「そうだね・・・君が食べたいって言ってた、ナミモリーヌの一日10個限定ケーキなんてどう?」
「いっ、いいんですか!?」
「約束を守れたら、ね」
「します!守ります!言うこと聞きます!」
元気よく手を挙げる綱吉。
(まだまだ色気より食い気か・・・)
ため息をついた僕をよそに、綱吉は「楽しみです~」と満面の笑みを浮かべていた。