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2 Years After -梯子をひとつ-

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 明るい髪を持つ人だけど、まぶしすぎて振り返るのが恐ろしい。
 一方で、すとんとその言葉は胸に落ちてくる。仕事ならばして、当たり前。そう、これは滝夜叉丸に与えられた仕事。ならば、それ以上のものとなりえない。ただ受け入れるだけである。
「…………落ち着いた?」
 黙りこんだこちらの様子を、遠慮がちに窺ってくる。それにええ、と応えれば、直ぐにタカ丸は立ち上がって目の前に回ってくる。
「ちょっと安心した。いつも完璧だって言ってる滝夜叉丸君も、まだ忍たまなんだね」
「……うれしくありません」
 差し出された手を取れば、四年生では珍しい柔らかさで。ただ指の変なところに出来た肉刺は、タカ丸の努力の証。少なくとも髪結いの腕では、彼は忍術学園一だ。ただ、その髪結いの腕以外で負けたくはない。
 むくれるこちらを見て、困ったねと年上の同級生は苦笑をこぼす。
「まだ僕にも手が届くんだって思わせてよ」
「そう簡単に届いてもらっては、困ります。私は幼いころから鍛錬を積んできたんですからっ」
「え〜っ」
 くるくると変わる顔に、こちらも自然と頬が緩む。本当に、この人はスゴい。この態度もまた、計算などではなくきっと自然体だろう。
「……ええ、負けたくなどないんです」
 だから、素直に言葉が出た。この胸をぐちゃぐちゃにする醜い感情にも、甘えたくなる自分の弱さにも、これからのことにも、すべてにおいて負けたくない。
「本当に君は、負けず嫌いだね」
 でも、よかった。もう一度繰り返して、よいしょと引き上げる。それに合わせ立ち上がると、あ、と困ったような声で注意を促される。
「……それ、よかったの?」
 指先が指し示しているのは、握りつぶしている文。苦笑して懐にしまう。
「かまいません。書いてあることは全部、覚えていますから」
「すごいね」
「忍たまならば当然ですよ、タカ丸さん」
 握っていた手を解くと、礼を言って歩き出す。待ってよと追いかけてくる人の声を背に受けながら、決心は固まっていた。迷うことなど、何一つない。