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堕落者26

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 跡部だったらきっと、それが出来るだけで、これから何でもやっていくことが出来る。けど、沢山ものさしがあれば、正しいか間違いかと同じように、選ぶのに悩む羽目になる。
 ここからの話は、もっと難しい事。出来るなら大人になるまでに、ものさしを沢山ストックして、そして頃合が来たら、新しく大きなものさしを作るんだ。その大きなものさしには、今まで跡部の集めたものさしから選りすぐった目盛りを全て書き込んでいくの。そしてそれからは、その大きなものさしばかりを利用するようにするの。新しいものさしは作らないで、大きなものさしに全て書き込むようにするの。そうすれば、選ぶのに時間が掛からなくなる。
 これをしない人、出来ない人は、沢山いる。ものさしを選んだり、目盛りを書き込んだりする余裕がなければ、したくても出来ないし、そもそも、ものさしを作ってなかったら、出来ない。それなりに形作れたとしても、履き違えば、使い物にならない。それに、この大きなものさしはね、一生かかっても完成出来るかわからない。それでも、完成させるよう努力し続けなきゃいけない。完成するか分からなくて、不安に思って、努力を途中で放棄する人もいる。だから、とても難しい。
 最善の方法を取っても、取らなくても、結局、不安になる。確かなものは無いと思って、不安になるものなんだ。それは仕方のないことだよ。割り切って考えられないから、悩まむんだ。
 これまでの話で、正しいや間違い、自分勝手な世の中、ものさしを作っていく事、について話していくことが出来たと思うけれど、どんなものにも不安がつきものだという事も、分かってくれたんじゃないかな。不安に思うというのは、分からないということだ。分からないという事は、確かじゃないということだ。けど、本当に確かなものなんて無い。だから、不安になって、悩むんだ。
 不安を拭う事が出来ないけれど、それと上手く付き合っていく事は出来る。不安は悪い事ばかりじゃない。程よい不安は、頭を冷静にさせるし、身を引き締める。釣り合いが大切なんだ。不安がなければ油断を引き起こすし、不安がありすぎると悩んで何もしなくなる。
 跡部は色々考える事が出来るから、分からなくなると不安になるんだと思う。跡部は自分の事を、不安を持ちやすい人間だと思い込んでみても良い。
 そう考えるなら、薄めるための努力をすればいいんじゃないかなぁ。確かな事がないなら、作ってみるの。何か結果や成果を残してみるの。勉強して知識を増やすとか、人と沢山話してみるとか。どんな事でも良い、何か研究して文章にまとめてみるとか。もっと大きな事を言うなら、競技で優勝したり、コンクールで賞を取ったりすればいい。過去にそういった経験があればあるほど、特に、誰かに認められるような経験を積んでいけばいくほど、自信となって、不安を薄れさせる事ができると思う。
 私がずっと話してきた事は、どれも難しい事、だよ。私は、私自身もそうそう出来ない事を、偉そうに、跡部に話した。ああ、別に、ふざけた事を言ってたわけじゃなくってさ、私が私なりに悩んで出した答えを、跡部の役に立てたら良いと思って、話してた。話したのは、跡部のお母さんが話した正しい事、跡部の思う正しい事と何ら変わりない、私が思う正しい事。それが、跡部の、これからしたい事に沿うか分からないけれど。
跡部なら大丈夫だよ」



2009/04/07
作品名:堕落者26 作家名:直美