にたものどうし。
で、その夜。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ふにゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
番組開始から三十分、妻と娘の悲鳴の二重奏。
耳をふさぎたいところだが、両側から腕にしがみつかれてできない。
「・・・もうやめる?」
「始まったばっかりですから!」
「まだみる!こわくないの!」
・・・始まったばっかりでここまで悲鳴を上げてるのに。
これ、二時間あるんだよ?
番組が終わって、やっと静かになった。
あぁ、耳が痛い・・・
「恭弥さぁん・・・」
「ぱぱぁ・・・」
悲鳴を上げすぎて掠れきった声の二人が、涙目で僕にすり寄る。
「「いっしょに、お風呂入ろう?」」
予想通りすぎて、呆れてため息も出ない。
それでもこんな可愛いおねだりされたら、断るなんてできない。
ヒナは「おめめつぶるのやだ」となかなか頭を洗わせてくれなくて困った。シャンプーハットしてるのに目を瞑る必要がどうしてあるのか分からない。
綱吉も目を瞑りたくないのか、サイズの合わないヒナのもう一つのシャンプーハットにぎゅうぎゅうと頭を詰めていた。
広いベッドの中、中心に固まって並ぶ。
いつもならヒナを挟んで川の字だけど、今日は僕が真ん中。
両側から顔を押し付けてくる二人の頭を撫でると、少し落ち着いたのか力が緩む。
しかしヒナが、急にせわしなくモソモソと動きだした。
「ヒナ?」
「ぱぱ・・・おトイレいくの、ついてきて?」
さっきから怖くてずっと我慢していたらしい。
仕方なくベッドから降りようとすると、綱吉が跳ね起きた。
「ちょっ、置いてかないで!俺も行きます!」
暗い廊下を、三人連れ立って歩く。
ことある毎にひぃひぃ言いながらしがみついてくるものだから歩きにくい。
(結局怖がりなんだから、見なきゃいいのに・・・)
変なところで意地っ張りで、強がり。
それでも可愛いと思えてしまう僕は、相当この子たちに骨抜きにされているに違いない。