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衝動SSまとめ②(ZS)

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※ゾロサン




2012/2/6更新

以前書いた「この笑顔を忘れない」というゾロサン小説、
その小説のもう一つの終わりのカタチとして「笑顔」という小説があります。

その「笑顔」という小説の設定です。
(簡単に言ってしまえば学パロ。)




――――――――――――――――――――





「ゾローーーー!!!」





「・・・・。」






校門に寄りかかりながら待っていると、
待ち望んだ相手は笑顔でこちらに向かい走ってくる。

「悪ぃ、待ったか?」

「いや、」


こんな日々が続いていた。
こんな単純で、平凡で、ありきたりな・・・・

サンジと俺の時間。



最高の時間。




「今日は空いてるからどっか寄って帰ろうぜ。」

「あぁ、」


いつもは店の前までのんびり歩く。
適当に話したり黙ったままだったり、そうして別れる。

だが、珍しく暇を貰えたとかで、二人で出掛けることになった。
それだけのことで心臓は嫌に五月蝿くはしゃぎだす。


「なぁ、海に行かねぇか?」

「・・・良いなそれ、」

「よし、決まり!!!!」

ヘヘヘッと笑う顔は本当に嬉しそうだった。
近いうちに海に行く予定はあった。
あの仲間達と一緒に。

だが、二人きりで行きたいとも思っていたから。
その提案は願ってもないことだった。


二人で電車に乗り、並んで椅子に座るのがどうも照れくさく、立っていた。
ドアの向こうに流れる景色をなんとはなしに見て過ごす。
ドアに寄りかかったサンジと手すりを握る俺。

あの時は思いもしなかった。

こんなにゆっくりと流れる時間を一緒に生きる日がくるなんて。




「おっ!」

「見えたのか?」

「見ろ見ろっ!!」


サンジが俺の首元を掴み寄せる。
俺の目にもしっかりと綺麗な海が映った。

でも、それより・・・


「サンジ、」


「なぁ見えた―――」



俺はすぐ横にあった顔との距離を無くした。


目は瞑らなかった。
サンジも瞑らなかった。

驚いて、赤くなって、焦って、キョロキョロして、怒って。
コロコロ変わる表情に嬉しくなる。




「・・・・なに・・・笑ってんだ、このマリモ。」

「嬉しいだけだ。」



「・・・ばーか。」



目を閉じたら居なくなるかもしれない。
一瞬でも目を逸らせば追えなくなるかもしれない。

この笑顔が俺をあまりにも幸せにするから――




海へ着くと、すぐさま靴を脱ぎ捨て走っていった。
俺はその靴と靴下を拾って後を追った。
足首まで海水に浸かり、果てしない地平線を見つめる。



「なぁゾロ。オールブルーはどうだった?」


「・・・・・・・。」


「見たんだろ?」


「あぁ。」


「どうだった?」





「・・・・・お前に見せたいと思った。」


「・・・そっか。」


二人並んで、夕陽色に染まった海を眺める。


「目に浮かんだ。
お前が居る光景が。
馬鹿みたいに喜んで、はしゃいでるお前は楽しそうだった。
オールブルーはお前を歓迎するように、光った。
あそこはお前にピッタリの海だった。綺麗だった。」


まだこの海の何処かにあるかもしれない。
俺たちが昔、残したものたちと一緒に。

だから、


「いつか行こう。」


「・・・・ぇ?」


「お前と見たい。」


「・・ゾロ、」


「いつか、必ず一緒にオールブルーを見よう。」


「・・・・・あぁ。」





「俺が案内してやる。」

「迷子になるなぁこりゃ。」

「・・・・テメェなぁ、」

「でも、お前と一緒なら楽しそうだ。」

「・・・・。」




二つの伸びた影が一つになる。


きっとお前と見るオールブルーは最高に綺麗だ。







end

作品名:衝動SSまとめ②(ZS) 作家名:おこた