Kid the phantom thief 前編
綺麗な夜空だった――
予告通り怪盗キッドは宝石を手に入れた。
キッドの手の中で宝石はより一層輝きを増す。
ヒラリとマントが舞い、それと同時に飛び立つキッド。
風に乗り、優雅に飛んでいく姿が好きだった。
綺麗な夜空に純白の衣装を身に纏うお前が好きだった。
でも、その日俺の大嫌いな音が鳴った。
お前の体がぐらりと揺れるのが見えた。
俺は必死に走った。
空からお前が降ってきたとき、
もう既に俺は涙を流していたんだ・・・・。
真っ赤に染まった姿を見て、俺の心臓が一瞬動きを止めた。
Kid the phantom thief
前編
俺の大好きな純白の衣装はお前によく似合っていた。
たとえその衣装を纏ったお前が敵だろうと、俺はお前に似合ってると思ったんだ。
いつまでも見たいと思うほど。
「名探偵は本当に好きですね、この衣装。」
「あぁ、すっげぇ好き」
「妬けます。」
「何言ってんだよ、お前が着てるからだろ?」
衣装ばかり褒めるとお前はいつも拗ねていた。
でも、お前が着るから、お前だからというと嬉しそうに笑った。
だけど、お前は好きで着ているわけじゃないんだよな・・・・
いつだってその美しい衣装はお前に重くのしかかっていたんだ。
俺はお前の何を知っていたのだろう・・・
俺はお前の何だったんだろう・・・
俺はお前が好きだ。
本当に本当に好きだ。
あの時、お前が俺を心配してくれているのは分かった。
お前が俺を止めようとしてくれているって分かっていた。
だけど俺は――
「名探偵・・・っ・・・」
「止血するから、黙ってろっ!!!!」
「今夜のことを忘れるんだ。」
「・・・・・。」
「命に関わることだ。」
「・・・・なぁ、俺がお前の仇をうったら・・・
「名探偵。」
「・・・・・・分かってる。」
「それでこそ・・・私が認めた唯一の探て・・・・い。」
お前が最後の最後まで力強く俺の腕を握っていたのを覚えてる。
お前はきっと不安で仕方なかったんだと思う。
『分かってる』と言った俺の顔はひどかったはずだから・・・。
温もりを失い、動くことを止めたその体を抱きしめて何度も叫んだ。
何度も叫んだ。
何度も何度も何度も叫んだ。
「キッドォォォォォォオォオォォーーーーーーー!!!!!!!!!」
泣いたんだ。
思う存分。
だけど、泣いても泣いても・・
お前を殺した奴が憎くて仕方ないんだ。
あの大嫌いな音が俺の頭を何度も何度も・・・
沢山の人を見てきた。
それでも、人殺しは絶対に許さない。
絶対にやってはならないことだと思っている。
今でも・・・。
だけど、俺は今まで本当に大切なモノを失ったことがなかったんだ。
今なら分かる気がする。
人を殺してしまう気持ちが――
でも、俺はこれ以上お前に心配をかけたくない。
これ以上お前が認めた『名探偵』を汚したくない。
だけど・・・だけど。
「俺も人間だ。」
俺も人間なんだっっ!!!!!!
恨むこともあるんだっ・・・っ・・・
お前を紅く染めた奴を俺は許さない。
俺は・・・・
その純白の衣装を身に纏う――
予告通り怪盗キッドは宝石を手に入れた。
キッドの手の中で宝石はより一層輝きを増す。
ヒラリとマントが舞い、それと同時に飛び立つキッド。
風に乗り、優雅に飛んでいく姿が好きだった。
綺麗な夜空に純白の衣装を身に纏うお前が好きだった。
でも、その日俺の大嫌いな音が鳴った。
お前の体がぐらりと揺れるのが見えた。
俺は必死に走った。
空からお前が降ってきたとき、
もう既に俺は涙を流していたんだ・・・・。
真っ赤に染まった姿を見て、俺の心臓が一瞬動きを止めた。
Kid the phantom thief
前編
俺の大好きな純白の衣装はお前によく似合っていた。
たとえその衣装を纏ったお前が敵だろうと、俺はお前に似合ってると思ったんだ。
いつまでも見たいと思うほど。
「名探偵は本当に好きですね、この衣装。」
「あぁ、すっげぇ好き」
「妬けます。」
「何言ってんだよ、お前が着てるからだろ?」
衣装ばかり褒めるとお前はいつも拗ねていた。
でも、お前が着るから、お前だからというと嬉しそうに笑った。
だけど、お前は好きで着ているわけじゃないんだよな・・・・
いつだってその美しい衣装はお前に重くのしかかっていたんだ。
俺はお前の何を知っていたのだろう・・・
俺はお前の何だったんだろう・・・
俺はお前が好きだ。
本当に本当に好きだ。
あの時、お前が俺を心配してくれているのは分かった。
お前が俺を止めようとしてくれているって分かっていた。
だけど俺は――
「名探偵・・・っ・・・」
「止血するから、黙ってろっ!!!!」
「今夜のことを忘れるんだ。」
「・・・・・。」
「命に関わることだ。」
「・・・・なぁ、俺がお前の仇をうったら・・・
「名探偵。」
「・・・・・・分かってる。」
「それでこそ・・・私が認めた唯一の探て・・・・い。」
お前が最後の最後まで力強く俺の腕を握っていたのを覚えてる。
お前はきっと不安で仕方なかったんだと思う。
『分かってる』と言った俺の顔はひどかったはずだから・・・。
温もりを失い、動くことを止めたその体を抱きしめて何度も叫んだ。
何度も叫んだ。
何度も何度も何度も叫んだ。
「キッドォォォォォォオォオォォーーーーーーー!!!!!!!!!」
泣いたんだ。
思う存分。
だけど、泣いても泣いても・・
お前を殺した奴が憎くて仕方ないんだ。
あの大嫌いな音が俺の頭を何度も何度も・・・
沢山の人を見てきた。
それでも、人殺しは絶対に許さない。
絶対にやってはならないことだと思っている。
今でも・・・。
だけど、俺は今まで本当に大切なモノを失ったことがなかったんだ。
今なら分かる気がする。
人を殺してしまう気持ちが――
でも、俺はこれ以上お前に心配をかけたくない。
これ以上お前が認めた『名探偵』を汚したくない。
だけど・・・だけど。
「俺も人間だ。」
俺も人間なんだっっ!!!!!!
恨むこともあるんだっ・・・っ・・・
お前を紅く染めた奴を俺は許さない。
俺は・・・・
その純白の衣装を身に纏う――
作品名:Kid the phantom thief 前編 作家名:おこた