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2/14 長男サンジ

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サンジの手がゾロの顔へと伸びてきた。
その手はゆっくりとゾロの唇へと辿り着き、スルリとなぞる。


「・・・サン――


「なぁこれ、チョコか?」



「・・・・・・・・。」



「今日・・・14・・バレンタイン・・・もしかしてお前・・」

「・・・・・・・。」

「ナミちゃんやロビンちゃんから貰ったのか!!!??」

「ちげーーーよっっっ!!!!」

「じゃあ何だそのチョコは!!!」

「はぁ・・・・。」


サンジはなにやらゾロを標的に喚いていたが、
ゾロはもういっぱいいっぱいだった。

(・・・・・・くそっ・・)


そしてすっかり自分に任された仕事を忘れていた。
それを思い出させるためなのか、あるいは近づけなかったからなのか・・

ゾロの頭にフライパンが直撃した。


「・・・・ひぃっっ!!!!・・・ナミ・・ちゃん?」

ダイニングの扉の所で、ナミが仁王立ちしている。
ゾロを睨み付けていたが、サンジを見るとニコリと笑った。

ゾロには申し訳なかったが、

(ナミちゃん・・可愛いなぁ・・)


「サンジくん、もう入って良いわよ!!」

「本当っ?良かったぁ・・」

サンジは目の前で気を失ったゾロの頬をバチバチと叩くが、目覚める様子がなかった。
仕方なくゾロを置いてダイニングへ向かう。


「お待たせ――


ダイニングへ入るとそこは甘い香りにつつまれていた。
そして大きな大きなチョコレートケーキがあった。


「「「「「サンジ、ハッピーバレンタインッッッ!!!!!!」」」」」


「・・・・これ・・・っ・・」

「日頃お世話になってるお礼よ。」

「頑張って作ったぞっ!!」

「ヘヘッ俺様の傑作だ!!!」

「美味しそうでしょう?」

「サンジッここ見ろ!!俺が作ったんだ!!!!」

俺のために?とサンジが聞くと、全員がニッコリと頷いた。
今までにこんな嬉しいバレンタインのチョコがあっただろうかと思い、思わず瞳が潤む。


「・・・・みんな・・ありがとう・・」


「追い出しちゃってごめんね。」

「良いんだよナミちゃん。」

「へへへっサンジ嬉しいか?」

「あぁ、チョッパーありがとな。」

「どうだ見直したろう!!」

「長鼻、お前にしては上出来だ。」

「長鼻じゃねーーよっっ!!!!」

「うふふ、皆本当に頑張ったのよ。」

「ロビンちゃんも、本当にありがとう。」

「サンジッ!!!ここだっ!!!!ここを食えっ!!」

「・・おいルフィ、ケーキに肉ぶっさすなよ。」

「えーーー良いじゃねーか別に。」


ダイニングに笑い声が響き渡る。


こんなに
こんなにも
あったかい空間・・・


他にあるか?



「さっ皆で食べましょう!!!」


「もし良かったら、このケーキに合うスペシャルドリンクはいかがかな?」

「もちろん、

「「「「「欲しいーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」」」」」



ケーキは最高に美味かった。
だまがあって、肉が入ってて、ぬるくなってたけど、

それでも最高に美味かった。





さぁホワイトデーはどうしてくれようか?

皆は何がお望みかねぇ・・


楽しみが増えちまったな。









「ゾローーー。」

「・・・なんだよ。」

「お前、どこ作った?」

「・・・・・上から二段目。」

「あーーあそこか、一番不味かった所な。」

「んだとっ!!!??」


「嘘。
一番美味かった。」


「なっ・・・・・」




「まっこれも嘘だけどな。」



「・・・・・ぁあ!!??」




一番・・・・・・・甘かった。









・  ・  ・  ・


「ねぇ、さっきゾロ何してたのかしら・・」

「何してたのかしらね。」

「なんか、ロビン楽しそう。」

「そう見える?」

「・・・ゾロめ、サンジくんに何かしたら許さないんだから。」

「その意見には賛同するわ。」


end
作品名:2/14 長男サンジ 作家名:おこた