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こらぼでほすと 約束6

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 そんなくだらない話をしていたら、煌々と夜が明けてくる。すっかり用意していた酒は空になったが、途中から飲酒を控えさせられていた坊主は、素面のままだ。
「来年も顔は出す。それでいいんだろ? 」
「当たり前だ。」
「三蔵、この寺院の責任者なんだから仕事ぐらいしてください。何を威張って上から目線なんだか。」
 名目は、この寺院の統括責任者だ。ほとんど何もしないし、ここにも一年に二週間しか戻らないが、とりあえず一年に一度ぐらいは顔を合わせたいから呼び戻すための方便だ。上司様も、さらに、その上の上司様も、そこいらの匙加減はしていて、この寺院の管理も、こっそりとやっているのだ。
「夫夫共々、元気でやってくれ。こっちからの酒には、適当な漢方薬も投げ入れておくから八戒に使わせろ。」
 トダカからの酒を定期便で、というのには、そういう用途もあったらしい。そういうことなら、荷物を送りやすい。
「お節介だな? 」
「おまえなんかのところへ嫁に来てくれるような奇特な人間は、ニール以外にはいないだろう。だから、手放すなって言ってるんだ。」
「うるせぇー。」
「息災でな。」
「あんたもな、金蝉。ヘタこくんじゃねぇーぞ。」
「今のところは大人しくしている。再来年ぐらいまでは、おまえや悟空に手間はかけない。」
「永遠に大人しくしてろ。そのうち返してやるから待っていりゃいい。」
「くくくくく・・・そう上手く逃れられると思うなよ? 」
 坊主が一部預かっているものは、本来、童子様のものだ。坊主が人間としての生を終えれば、それは自然と童子様のところへ戻ることになっている。ひとつに纏まれば、童子様は本来の神としての能力も万全のものになることになっている。だから、坊主はサルと一緒に、それも返すつもりなのだが、どっこい童子様は受け取るつもりはない。同じように神仙界で並べば、それでも同じことだからだ。童子様は、そちらを所望している。
「僕と捲簾も、まったく同意見ですね。僕らも八戒と悟浄が一緒のほうが楽しいんですよ。諦めてください、三蔵。」
 もちろん、天蓬は八戒と、捲簾は悟浄と、同じような関係だ。どちらもひとつに纏まるのではなく並んでいられる関係を望んでいる。神仙界に属するものは、三魂七魄で形成される。それが揃っていて完全体であるのだが、過去の因縁で、金蝉、天蓬、捲簾は、三魂のうち二魂を、七魄のうちの三魄を引き剥がされて別のものへと、それを溶け込まされている。だから、完全体ではない。それを預かっているのが、三蔵、八戒、悟浄だ。三蔵たちが死ねば、金蝉たちの許へ魂魄は戻り完全体となれるのだが、それは拒否すると、言っているのだ。
「俺は、別になんでもいいが・・・」
「あなただけ人間の寿命に縛られていますからね。そこは打破するつもりです。そのうちに。」
「落ち着くまで、その用件は待て、天蓬。今は無理だ。」
「わかっています。ちびちゃんたちの騒ぎが終わったら、改めて提案させていただきましょう。そのつもりであると覚えておいて下さい。」
 最後通牒は、騒ぎが終わったら、と、天蓬は言い置いた。どう抵抗したって、坊主に桃は食わせるつもりだ。それで再び、神仙界に並ぶことができる。
「まあいい。覚えておく。好きにしろ。」
 坊主は、最後通牒を受けるまでもなく苦笑しつつ頷いた。そういう関係がいいというのなら、それでも坊主は構わない。そうすると人間の寿命以上に、サルと付き合えるという特典がついている。
作品名:こらぼでほすと 約束6 作家名:篠義