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こらぼでほすと 約束6

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「金蝉、それこそ無茶だって。ママは三蔵のだかんな。」
「だがな、悟空。こいつ、たぶんやらかすぞ? そうなったら、おまえのママはフリーだからな。口説いても問題はない。」
「何がやらかすだ? 」
「おまえ、存外優しいからな。あっちの事情が変わればやらかすだろう。」
 互いに似たものは内包しているので、なんとなく童子様には坊主がやりそうなことは判る。で、天邪鬼なところがあるから、こう言うと、返す言葉は予想通りになる。
「けっっ、俺は俺のしたいようにする。ちびどもが、どうなろうと知ったこっちゃねぇよ。」
 坊主の返答に、童子様だけでなく大将様も元帥様も口を歪める。先に言われるとできなくなるのが、坊主の性格だ。
「悟空、三蔵が、おまえのママを棄てたら連絡してくれ。即座に、俺が貰いに行く。もちろん、桃持ってな。」
「んー一応、オッケーするけど棄てられないと思うんだけどなあ。」
「まあまあ、悟空。万が一の時ですよ。ほら、金蝉も独り者ですから、こういう機会は是非、有効利用しないといけません。」
「そうそう、金蝉も俺らにアテられっぱなしだから寂しいんだ。いいじゃねぇーか、金蝉の嫁になっても、おまえのママであることは変わらないんだからさ。」
「まあ、そーなんだけどさ。」
「てめぇーら、それはイヤガラセか? 誰が、おまえなんかに渡すかよっっ。」
 ぐひぐびと坊主は、酒を煽って怒鳴っているが、上司様は涼しい顔で、うんうんと頷いて肯定している。言質を取られたら、坊主はやりたくもできない。年齢差二千年となると、こういう駆け引きは経験的に坊主には不利だ。
「これ以上は飲むな。記憶が切れる。」
 そろそろ酒量が危険地帯に入ってくると、捲簾が酒は取上げた。そして、金蝉がミネラルウォーターを渡す。記憶を失くしてもらうと困るので、素面に近い状態に引き戻す。
「ほんと、手間のかかる子ですね。」
「そう言ってやるな、天蓬。これだから、可愛いんだ。」
「何が? 」
「悟空の現保護者はね。思いやりの溢れた人だということです。」
「意味がわかんねぇ。」
「うふふふふ・・・そのうち教えてさしあげます。いえ、このやりとりを八戒に伝えれば、答えは教えてくれると思います。」
 人の悪い笑みを浮かべて天蓬は、関係のまったくないところへ押し付ける。沙・猪家夫夫にも、このことを報せるためのものだ。それを理解して、金蝉は苦笑する。
「それを無茶ブリって言うんじゃないのか? 天蓬。」
「仕掛けたのは金蝉でしょ? 僕じゃなくて、あなたが無茶ブリしたんです。」
「無茶ブリとは言わないだろう。ただの諫めだ。」
「てめぇーら、ごちゃごちゃとうるせーぞっっ。」
「はいはい、三蔵。この話は、ここまでにして違う話をしましょうか? ここのところの神仙界ゴシップなんて、どうです? 」
「なんかあったの? 」
「いろいろとあります。どこいらからがいいですか? 悟空。竜王関係からいきましょうか。」
 天蓬が神仙界で起こった愉快な出来事を悟空に語り始める。そうなると、さっきの話はできない。けっっと舌打ちして、三蔵は渡された水を飲む。いいようにやられているのはわかっているが、どうやっても太刀打ちは難しい。これだけ大きな釘を刺されると、三行半は使えない。どうあっても上司様たちは、三蔵の女房を、こちらの世界に引きずり込むつもりらしい。


 悟空が眠気に負けて寝台に転がると、がらりと話は変わる。世界規模で起こる戦争についてなんていう物騒な話だ。
「うちに影響が出るほどとなると一億単位で人間が滅んで大陸のどこかが吹き飛ぶぐらいのことでしょう。そこまでとは思えないから、のんびり静観していることになるでしょう。」
「死者は案外少ないんじゃないか? MS同士で戦うっていうなら軍人と周辺で巻き込まれる民間人ぐらいだろ? 」
「いや、一概には言えないな。軌道エレベーターを一基破壊したら地上の被害は大規模になる。」
 神仙界でも、これから始まるであろう戦争は把握しているし、現在、アローズが行なっている攻撃なども逐一、確認掌握はされている。こちらの世界に影響が出るかもしれないから、そうなった場合の対策を立てるためだ。今のところ、規模は神仙界に影響が及ぶほどとは推測されていないから、大した防御策はとられていない。
「それを俺に説明して、どうするつもりだ? 」
 人間界へ戻る俺に、神仙界の内情を説明して、どーすんだ、と、坊主はツッコミだ。特区で戦闘が展開することはないだろう、と、坊主にだって判る道理だ。特区は、ユニオン領ではあるが、『吉祥富貴』が存在し、ちび猫たちのおかんが住んでいる。そんな場所で戦闘は起こらない。ちび猫たちの組織は、戦争に対する武力介入によって戦争を根絶するという理念に基づいて行動する。特区では表立った戦闘が起こることはない。だから、組織も武力介入する理由がないのだ。
「うちのほうは、こういう動きだと流しているだけだ。おまえに、どうこう指図するような話じゃない。気楽にしてろ。」
「当たり前だ。俺には関係ない。悟空も、そこは弁えてる。キラに協力するにしたって肉弾戦だけだ。それぐらいは目を瞑っとけ。」
 神仙界関係者の悟空は、人間界の争いに力を貸すことはできない。妖怪は、それに抵触しないから、沙・猪家夫夫は、もう少し手伝える範囲が広いが、それだって直接に手を下すようなことはしない。そこいらが限界と、みな、弁えている。キラたちも、そこいらは、きっちり線引きをしていて、悟空や三蔵に、その助勢は頼まない。
「別に、八戒や悟浄がMSに搭乗しても、誰もツッコミはしねぇーだろうがなあ。悟空はまずいだろうさ。」
「それは、悟空もわかってる。」
 以前、特区へ遠征した時に、そこいらは悟空から確認させてもらった。やってはいけない線引きは、ちゃんと理解してくれている。
「今のところ、おまえは何してもいいんだが? 三蔵。」
「俺がMSに乗れるわけがねぇーだろ。無茶言うな、捲簾。」
「おもしれぇーと思うんだ。俺は、試してみたいぞ。」
「西方軍をクビになってからにしてください。いえ、密かに鍛錬してもらって、どっかのバカをMSで踏み潰すっていうのも一興ですね。」
「・・・・天蓬、洒落になってない。」
「当たり前です。僕は本気です。何かしら、まだ挑んでこられるのなら、僕らも自衛策を練らねばなりませんよ? 捲簾。」
「神獣を相手にするなら有効だろうな。」
「ほら、金蝉も賛成です。」
「・・・・おまえら・・・それこそ人界が滅ぶぞ。」
 過去の経緯からすれば、もっと強い力があれば状況は変わったわけで、そういうことなら人界の科学力というのも使えると、天蓬は言うのだが、それこそ禁じ手だ。今度こそ魂ごと消滅させられるに違いない。本気ではないが冗談でもない微妙なところだ。
「やりたいならキラに習え、捲簾。ちび猫たちの騒ぎが終わったら、喜んで訓練してくれるだろうぜ。」
「そうだな。次に降りる時は、是非、楽しませてもらおう。」
「僕も体験だけはしてみたいです。」
「俺はいい。」
「運動音痴の金蝉に、そんなことは勧めませんから安心してください。」
作品名:こらぼでほすと 約束6 作家名:篠義