ゆうつづ
義理と言うには、他の包みよりも多少大きい。そして、箱もラッピングも、そしてチョコレートの見た目も。正直小さな粒が六つしか入っていないのに、値段もほかとは随分違う。が、蝮はそこまで言わなかった。
「一個も貰われへんかったら可哀想やからな」
「アホ、義理でなんぞいらんわ!」
「なっ…、義理やあれへんかったら、何が欲しいんや!」
「こんなチャチい、義理やないのに決まっとるやろ!」
「アホか、これはそんじょそこらの安物やあれへんえ!義理でこんなん買うたりせえへん!この脳筋バカ申!」
そこまで怒鳴っておいて、二人でいきなり黙ってしまう。暫く二人して顔をぽかんと見つめる。が、互いの言葉が沁みてくるに従って、途端に恥ずかしくなって目を逸らした。
頭をガリガリと掻いた柔造がぼそりと「ありがとうな」と呟いて、大きな手が蝮の頭を撫でた。蚊の鳴くような声で、うん、と言うことしか出来なかった。
柔造がごそごそと包みを開ける。
「なぁ、蝮」
「…なに」
「溶けてるで」
黄昏に染まった京都出張所に、柔造の絶叫が響き渡った。