明日を探す指先
「あはは、そんなんだから俺は 」
もっともっと君が欲しくなるんだよ。
もっと他の誰かとは違う視線を俺にだけ向けてくれればいい。
俺にだけ、ちょうだいよ。
「俺は、なんだよ 」
言葉の続き、そんなに欲しいんだ。
俺の言うこと、気になるんだ。
そう思うとたまらなく、たまらなく愛しい。
「続きが聞きたかったら、今度ね 」
俺は小さくウインクをして、二人の距離を元通りにすべくシズちゃんから離れる。
それをまた手を伸ばして逃げる俺を捕まえようとする。
彷徨う指先が俺を求めてくる。
それでいい。
それがいいんだ。
「イィザァァァヤァァァァ!
次なんてネェ、早く言いやがれ 」
「やーだよ。
また今度ね、シズちゃん 」
ひらりとシズちゃんが欲する指先を振ると、更にシズちゃんの気持ちを煽っちゃったみたいだ。
でも、それでシズちゃんの中に俺を刻めるならそれでいいんじゃないかってさ。
そんな風に思うわけ。
ひねくれてるって?
それって褒め言葉だよねぇ。
だってそうしてまでシズちゃんの気持ちを自分に向かせていたいんだもの。
「おい、待て!
待たネェんなら…… 」
「待たないよ。
次に会ったときに教えてあげるよ 」
気味が反吐を吐きたくなるくらいに俺の気持ちを伝えてあげられるのはいつになるだろうね。
それを想像すると気がおかしくなるくらいに気分が高揚する。
俺はまたすぐに池袋に来たくなるだろう。
その指先に自分の手を絡めて。
次は距離をもっと縮めるためにその指先を引き寄せよう。