こらぼでほすと 約束11
ラボへ移動した面々は、ともかく刹那にエクシアを起動を命じた。そこへ、キラが、いろいろなデータを入れていく。カモフラージュのため、エクシアの外装には、さらに外付けで外装がつけられていて、見た目にはグフイグナイテッドと同機種のようになっている。
「右腕は、やはりダメだった。大気圏を突破したら、表の外装はパージしてくれ。右腕は隠すように覆っているぞ。」
どうしても、組織と、こちらのMSとは設計理論が違うから、完全に修復することはできなかった。左腕だけしか稼動しないエクシアでは戦闘になれば不利だから、なるべく隠密行動をとるように虎も指示する。エクシアの最終確認をコクピットでやっていて、ふと、足元に置いている青のトリィに視線が届いた。電源を切っているから、トリィは動かない。刹那にとって独りきりというのは慣れたことだ。寂しいと思うことはない。そう思ったら、むんずと置いてあるトリィを掴んで、外で作業しているアスランに通信で呼びかける。
「なんだ? 」
「鳥をニールに渡してくれ。俺より、あいつのほうが持っているべきだ。」
「トリィか。・・・だが、刹那。それは、おまえの周囲を警戒するシステムも組み込んであるんだ。アローズの施設に侵入するなら・・・。」
キラの持っているトリィのような愛玩動物というだけではない。刹那の周囲を警戒するシステムも組み込んである。どこかへ侵入するなら、偵察もできる優れものだ。だから、同行させろ、と、アスランは言うのだが、刹那も折れるつもりはない。自分のおかんは寂しがり屋だ。寝る時でさえ誰かが傍に欲しい、というような人だから、トリィが傍についていてやれば、ハロの代わりになるだろう。片時もハロを離さなかった寂しがり屋のおかんにこそ、トリィは必要だと思う。
「俺よりニールのほうが必要だ。アスラン、届けてくれ。」
「わかった。」
トリィの電源を入れて飛ばすと、アスランの許へ飛んでいく。それを見てから、また作業に集中する。ブースターと太陽炉のマッチングは悪くない。成層圏でブースターは切り離す。それは予め、セットしておく。他にも資材の搬入をシンがやっている。携帯食料と水、簡単な修理のキット、衣服などが狭いコクピットにギチギチに詰められていく。予定では一ヶ月だ。地上なら、どこかで補給も可能だが、宇宙では、それはできない。だから、積めるだけ積んでおく。
「刹那、配置は、こんなもんでいいか? 」
「ああ、それでいい。」
「後、チェックが終ったら、一度降りて来い。経路の説明とか打ち合わせをやるぞ。」
「了解した。」
「刹那、データの移行は、もう少しだけど、一度、僕がそっちに上がってチェックする。そのままでいて。」
キラからも通信が入る。頼んでおいたデータをエクシアに移してくれているのだが、他にもいろいろと細工してくれるらしい。隣りのグフイグナイテッドは、すでに最終チェックまで終わっていて、外部電圧がかけられて待機状態になっている。
・・・・これが、おまえとする最後の旅だな、エクシア・・・・
コンソールに指を走らせて、エクシアに話しかける。組織に戻ったら、エクシアの太陽炉は新しいMSに換装させられる。そうなったらエクシアは眠るのだ。長いこと一緒にやってきた機体だが、完全な整備ができなくてラボで休んでいた。すまない、と、エクシアに詫びを入れて刹那は口元を歪ませる。死ぬまでエクシアと一緒だと思っていたのに、新しい機体に乗り移る。まだ死ねない。生き延びて次の戦いに挑むことになったのは驚きだ。
・・・・だが、おまえの太陽炉は一緒だ。だから、俺と新しい機体に乗ろう。おまえの本体は眠るが、心は一緒だ、エクシア・・・・・・
世界に変革をもたらした。だが、万全ではなかった。さらなる変革を促すために、世界の歪みを破壊する。そのために、刹那はエクシアから新しい機体に乗る。一緒に太陽炉と共にエクシアの核だけでも載せる。そのために無事に組織に戻らなければならない。もちろん、エクシアと一緒に。
「キラ、打ち合わせしたらせつニャンは仮眠させるぞ。」
「うん、三時間くらいは眠れるかな。ハイネも休んで。」
「俺は、おまえらが暴れてる時に、たっぷり寝た。俺の機体にもデータの移行はさせてあるが、他にもあるのか? 」
「ハイネのほうは、渡した分で終わり。ああ、あのデータチップを携帯端末に入れてくれる? 補給地点のデータ。」
「おう、了解。」
「レイ、マザーたちのほうは? 」
「今のところ、うちを探っているのはありません。ヴェーダは、いつもの通り簡単なチェックは継続したままです。ロクロクで誤魔化します。」
「キラ、エクシアの外装とブースターの最終チェックは完了した。飛行経路にひっかかる衛星のほうへ取り掛かる。」
「オッケー、アスラン。シン、資材搬入はオッケー? 」
「搬入オッケーっす。俺は、アスランのフォローに回ります。」
ラボの管制室はキラが取り仕切っている。各人が自分の担当を、さくさくとこなして走り回っている状態だ。エクシアへのデータ転送を終わらせると、キラが管制室を離れる。その後の指示は鷹が担当だ。
「ムウさん、僕、刹那のとこ。」
「おーこっちは任せろ。」
第二管制室では虎とダコスタとアイシャが通常業務と発進準備を進めている。マードックたちも二機のMSに不具合がないか、何度もチェックを重ねている。発進時間は決めてあるから、それまでに間に合わせるために奔走する。そして、エクシアがエクシアと確定させないために衛星やらレーダーサイトの映像やデータの改竄も同時に準備を進めている。鷹の前にも、レイの前にも、たくさんのデータパネルが展開した状態でインカムで連絡を取り合っている。
キラがラボのドックへ走り、エクシアのコクピットに飛び込む。今は、外部電圧で起動させているから、エクシアの周囲に整備用の骨組みが組まれたままだ。そこを辿ると、あっという間に辿り着く。
「刹那、ちょっと代わって。」
データの移行をさせてキラが刹那の席に座る。ちゃんとデータが移行したかのチェックだ。これから刹那は、このデータを元にしてアローズの関係する施設に侵入する。バグや不具合が起きたら、刹那の命にかかわるから、ここは慎重にチェックする。完璧だと判ったら、キラは背後に退いていた刹那に振り返る。
「エクシアの機動力は問題ないけど、片手しか使えない分はマイナスだからね。装備は出来る限り載せてあるけど、それも無尽蔵じゃない。」
「わかっている。」
「そこでなんだけど、武器や部品、水なんかは補給できないと困るだろうから、このデータを携帯端末に入れて。」
はい、と、キラがデータチップを刹那に渡した。『吉祥富貴』が宇宙に上がって動くために配置した補給物資がある。それを隠している地点と、受け取るためのパスワードだ。それを刹那に説明した。
「右腕は、やはりダメだった。大気圏を突破したら、表の外装はパージしてくれ。右腕は隠すように覆っているぞ。」
どうしても、組織と、こちらのMSとは設計理論が違うから、完全に修復することはできなかった。左腕だけしか稼動しないエクシアでは戦闘になれば不利だから、なるべく隠密行動をとるように虎も指示する。エクシアの最終確認をコクピットでやっていて、ふと、足元に置いている青のトリィに視線が届いた。電源を切っているから、トリィは動かない。刹那にとって独りきりというのは慣れたことだ。寂しいと思うことはない。そう思ったら、むんずと置いてあるトリィを掴んで、外で作業しているアスランに通信で呼びかける。
「なんだ? 」
「鳥をニールに渡してくれ。俺より、あいつのほうが持っているべきだ。」
「トリィか。・・・だが、刹那。それは、おまえの周囲を警戒するシステムも組み込んであるんだ。アローズの施設に侵入するなら・・・。」
キラの持っているトリィのような愛玩動物というだけではない。刹那の周囲を警戒するシステムも組み込んである。どこかへ侵入するなら、偵察もできる優れものだ。だから、同行させろ、と、アスランは言うのだが、刹那も折れるつもりはない。自分のおかんは寂しがり屋だ。寝る時でさえ誰かが傍に欲しい、というような人だから、トリィが傍についていてやれば、ハロの代わりになるだろう。片時もハロを離さなかった寂しがり屋のおかんにこそ、トリィは必要だと思う。
「俺よりニールのほうが必要だ。アスラン、届けてくれ。」
「わかった。」
トリィの電源を入れて飛ばすと、アスランの許へ飛んでいく。それを見てから、また作業に集中する。ブースターと太陽炉のマッチングは悪くない。成層圏でブースターは切り離す。それは予め、セットしておく。他にも資材の搬入をシンがやっている。携帯食料と水、簡単な修理のキット、衣服などが狭いコクピットにギチギチに詰められていく。予定では一ヶ月だ。地上なら、どこかで補給も可能だが、宇宙では、それはできない。だから、積めるだけ積んでおく。
「刹那、配置は、こんなもんでいいか? 」
「ああ、それでいい。」
「後、チェックが終ったら、一度降りて来い。経路の説明とか打ち合わせをやるぞ。」
「了解した。」
「刹那、データの移行は、もう少しだけど、一度、僕がそっちに上がってチェックする。そのままでいて。」
キラからも通信が入る。頼んでおいたデータをエクシアに移してくれているのだが、他にもいろいろと細工してくれるらしい。隣りのグフイグナイテッドは、すでに最終チェックまで終わっていて、外部電圧がかけられて待機状態になっている。
・・・・これが、おまえとする最後の旅だな、エクシア・・・・
コンソールに指を走らせて、エクシアに話しかける。組織に戻ったら、エクシアの太陽炉は新しいMSに換装させられる。そうなったらエクシアは眠るのだ。長いこと一緒にやってきた機体だが、完全な整備ができなくてラボで休んでいた。すまない、と、エクシアに詫びを入れて刹那は口元を歪ませる。死ぬまでエクシアと一緒だと思っていたのに、新しい機体に乗り移る。まだ死ねない。生き延びて次の戦いに挑むことになったのは驚きだ。
・・・・だが、おまえの太陽炉は一緒だ。だから、俺と新しい機体に乗ろう。おまえの本体は眠るが、心は一緒だ、エクシア・・・・・・
世界に変革をもたらした。だが、万全ではなかった。さらなる変革を促すために、世界の歪みを破壊する。そのために、刹那はエクシアから新しい機体に乗る。一緒に太陽炉と共にエクシアの核だけでも載せる。そのために無事に組織に戻らなければならない。もちろん、エクシアと一緒に。
「キラ、打ち合わせしたらせつニャンは仮眠させるぞ。」
「うん、三時間くらいは眠れるかな。ハイネも休んで。」
「俺は、おまえらが暴れてる時に、たっぷり寝た。俺の機体にもデータの移行はさせてあるが、他にもあるのか? 」
「ハイネのほうは、渡した分で終わり。ああ、あのデータチップを携帯端末に入れてくれる? 補給地点のデータ。」
「おう、了解。」
「レイ、マザーたちのほうは? 」
「今のところ、うちを探っているのはありません。ヴェーダは、いつもの通り簡単なチェックは継続したままです。ロクロクで誤魔化します。」
「キラ、エクシアの外装とブースターの最終チェックは完了した。飛行経路にひっかかる衛星のほうへ取り掛かる。」
「オッケー、アスラン。シン、資材搬入はオッケー? 」
「搬入オッケーっす。俺は、アスランのフォローに回ります。」
ラボの管制室はキラが取り仕切っている。各人が自分の担当を、さくさくとこなして走り回っている状態だ。エクシアへのデータ転送を終わらせると、キラが管制室を離れる。その後の指示は鷹が担当だ。
「ムウさん、僕、刹那のとこ。」
「おーこっちは任せろ。」
第二管制室では虎とダコスタとアイシャが通常業務と発進準備を進めている。マードックたちも二機のMSに不具合がないか、何度もチェックを重ねている。発進時間は決めてあるから、それまでに間に合わせるために奔走する。そして、エクシアがエクシアと確定させないために衛星やらレーダーサイトの映像やデータの改竄も同時に準備を進めている。鷹の前にも、レイの前にも、たくさんのデータパネルが展開した状態でインカムで連絡を取り合っている。
キラがラボのドックへ走り、エクシアのコクピットに飛び込む。今は、外部電圧で起動させているから、エクシアの周囲に整備用の骨組みが組まれたままだ。そこを辿ると、あっという間に辿り着く。
「刹那、ちょっと代わって。」
データの移行をさせてキラが刹那の席に座る。ちゃんとデータが移行したかのチェックだ。これから刹那は、このデータを元にしてアローズの関係する施設に侵入する。バグや不具合が起きたら、刹那の命にかかわるから、ここは慎重にチェックする。完璧だと判ったら、キラは背後に退いていた刹那に振り返る。
「エクシアの機動力は問題ないけど、片手しか使えない分はマイナスだからね。装備は出来る限り載せてあるけど、それも無尽蔵じゃない。」
「わかっている。」
「そこでなんだけど、武器や部品、水なんかは補給できないと困るだろうから、このデータを携帯端末に入れて。」
はい、と、キラがデータチップを刹那に渡した。『吉祥富貴』が宇宙に上がって動くために配置した補給物資がある。それを隠している地点と、受け取るためのパスワードだ。それを刹那に説明した。
作品名:こらぼでほすと 約束11 作家名:篠義