東方~宝涙仙~ 其の参(3)
東方〜宝涙仙〜
「今日の紅魔館は紅いわね・・・。」
日差しの強い空の下、日差しに弱い吸血鬼は傘を差してたたずんでいた。
「なんでよりによってたまたま散歩に出かける日にこんなに日差しが・・・。」
久々に散歩をしようとしていたレミリアは館の庭ですでにその意欲を失いかけていた。日差しに弱い吸血鬼にとってこの日差しは厳しい。
「・・・帰ろうかな。」
しかしここまで用意して引き返すのもなんだか悔しいと思ったのか、レミリアは前進し始めた。
庭を抜けるだけですでに疲れていた。
庭を抜けると、そこには鉄格子でできた大きな門がある。そこに一人の女性門番が立っている。
この門番に一番合う効果音はzzzであるといえるだろう。吸血鬼主の皮肉にも日差しに当たり気持ち良さそうに寝ている。
「zzz。」
「おいコラ中国。」
「zzzzzz。」
殴った。何発か。特に腹を。正確には鳩尾(みぞおち)を。
「グッブファハッ!!・・・誰だ!?」
「おはよう、中国。」
「うぇ!?お、お嬢様!?なんでこんなとこに!?」
※紅 美鈴(ほん めいりん)
二つ名:華人小娘(かじんこむすめ)
能力:気を使う程度の能力
「アンタ不眠不足なんじゃないの?」
「うまい、ヤマザナドゥ君座布団持ってきなさい!」
「閻魔によくそんなこと言えるわね。」
エヘへと笑い、風香同様お説教フラグを華麗に回避する美鈴。レミリアはすでに呆れていて説教なんてする気なんてない。
「それより、こんな日差しの強い日になんで外俳諧してるんですか?」
「散歩よ。」
「あー、お嬢様の散歩とは懐かしいですねー。どういう風の吹き回しですか?」
「久々に夜以外を仰ぎたくなるのよ。」
「気をつけてくださいね。無理しないで散歩中室内とか入ってください。」
美鈴でも気の利いたセリフを言えるというのにあの能天気長は・・・と脳内で思うレミリア。しかし室内といっても吸血鬼がフラフラ寄れる室内などめったに・・・あ、いや、あった。吸血鬼立ち入りOKの貧乏神社が。
あそこなら紅茶とケーキくらいだしてくれるかもしれないし、何よりもくつろぎやすい。
「わかったわ。アンタも寝ないように気をつけなさい。次寝てたら永遠に起きれないようにするわよ?」
「うへぇー・・・。」
ひるむ美鈴を見て少し上機嫌なおぜうさま。どえす。どえすですおおぜうさま。
行く所が決まれば歩くのが楽になる。レミリアは無駄に放浪するよりは目的があったほうが楽しめる性格らしい。
急に元気になったように笑顔で歩く。こんなにも散歩は楽しかったのか。
一方美鈴はすでに夢の中だった。
ー博麗神社ー
「いやー、暑いわー。こんな日は異変起きても絶対に動きたくないわー。」
※博麗 霊夢(はくれい れいむ)
二つ名:夢と伝統を保守する巫女
能力:主に空を飛ぶ程度の能力
「そんなだから賽銭入れてくれるやつがいないんだぜ?」
※霧雨 魔理沙
二つ名:普通の魔法使い
能力:主に魔法を使う程度の能力
「あんたいつからいたのよ。」
「それはアタシじゃなくて自分の心に問うべきだぜ!」
「あぁ、暑さに頭ピチュられたか・・・。」
いつも以上にグダグダなテンションな巫女に、新しい言葉を覚えたから今すぐにでも使いたい魔法使い。一応これでも主人公の座を誇る権力はある二人である。
暑いと働く気を失い、寒いと動く気をなくす巫女。"働く"と"動く"は漢字が似ていても全く意味が違うので注意。しかしこの巫女に対して用いる場合はどちらも同じ意味になるので日本語は難しい。すなわちどちらも「異変解決はめんどくさいのでしたくないです」という意味だ。
「こんな暑い日によくそんな暑そうな服着てられるわねー。尊敬するわー。」
「ブリ●ガ唱えれば簡単に涼しくなるぜ。」
「あんたにそんな魔法唱えられるわけないじゃない。あんたならできてせいぜいヒャ●ルコくらいよ。」
「てかスク●アエニッ●スに訴えられるからやめろ。」
「あんたが最初に言ってきたんでしょー。あんたにあんなゲーム貸すんじゃなかった。」
「飽きたぜ。」
「じゃぁ返しなさいよ。」
「いつまで会話文続ける気だお前らぁぁ!!」
吸血鬼レミリア・スカーレットさん到着。二人も急な登場に驚いているようだ。あ、いや巫女のほうはいたって無反応。
レミリアは到着してツッこむなりすぐに倒れてしまった。炎天下にやられたのか、唸りながら力尽きた。
倒れているレミリアを、ジト目に近いような無表情の目で見下す霊夢。またお前か、と言わんばかりの表情でレミリアを見つめる魔理沙。
「どうすんのよこれ。」
「日干しにしてやるか?」
「死んじゃうわよ。死んでも構わないけど。」
「とりあえず部屋に連れ込んどこうぜ。」
「うちは病院じゃないのよ。」
倒れたレミリアの足をもってずるずるとひっぱって部屋へ運ぶ。お嬢様パンツが・・・あ、短パン履いてるんでしたね。
吸血鬼が熱中症で倒れこむ姿は非常に情けなく見える。しばらくすると落ち着いたようで、唸らなくなった。スヤスヤと気持ち良さそうに寝る吸血鬼も麗しい。
寝言で「咲夜ー。」だとか「フラン・・・。」とか呟いているが、主人公候補二人の人間は気にしないことにした。というより気にしちゃいけない気がした。
レミリアの寝顔をじっとみつめていた(それしか暇つぶしになることがなかった)霊夢が立ち上がり棚へ向かった。そして筆を取り出した。
「筆なんか取り出して習字でもするのか?」
「違うわよ。見てなさい。」
そう言うと霊夢はレミリアの目の周りを筆で丸く円を描いた。羽根突きでミスをしたみたいな顔になるレミリア。くすぐったいのか寝ながら嫌そうな顔をする。
寝ながら嫌がるレミリアを見て余計書きたくなるS巫女。鼻の下に毛を描き生やした。
「霊夢、アタシにもやらせろ。」
クスクス笑い筆を受け渡す主人公候補の人間二人。S魔法使いが吸血鬼の眉毛を筆で太くする。必死に笑いをこらえる二人。邪道。まさに邪道な二人。
「こいつもしかしたら帰りに迷って交番に家聞くかもしれないから住所書いておいてやるべきじゃないか?」
「ついでに名前も書いといてあげなさい。」
レミリアの右頬に『こうまかん れみりあ』と書かれた。『れみりあ』の後ろに『☆』を描こうと魔理沙が筆を向けた瞬間、吸血鬼の目が開いた。
「何してんのよあんた達・・・。」
バッと筆を後ろに隠す魔理沙。魔理沙の隠した筆をコソコソ拾って袖に入れる霊夢。主人公候補の連係プレーも見事にミス。やはり吸血鬼の目はごまかせませんか。
レミリアに殴られた二人。やり返しはしなかったが。怒りながらレミリアは顔を洗いに行った。
「まったく・・・。子供みたいなことしてんじゃないわよ。」
「あまりにも寝顔が可愛かったのでついー。」
「霊夢、棒読みだぜ。」
「てかまず何で吸血鬼がここにいるのよ。」
話をそらされたのでちょっと悔しいレミリア。幻想郷の生き物は話をそらすのがうまいらしいですよ。多分。
「ちょっと散歩してたらいい休憩所があったと思ったらまさかこの神社だったとは。」
「あきらかにわかってて来たでしょ。」
「今日の紅魔館は紅いわね・・・。」
日差しの強い空の下、日差しに弱い吸血鬼は傘を差してたたずんでいた。
「なんでよりによってたまたま散歩に出かける日にこんなに日差しが・・・。」
久々に散歩をしようとしていたレミリアは館の庭ですでにその意欲を失いかけていた。日差しに弱い吸血鬼にとってこの日差しは厳しい。
「・・・帰ろうかな。」
しかしここまで用意して引き返すのもなんだか悔しいと思ったのか、レミリアは前進し始めた。
庭を抜けるだけですでに疲れていた。
庭を抜けると、そこには鉄格子でできた大きな門がある。そこに一人の女性門番が立っている。
この門番に一番合う効果音はzzzであるといえるだろう。吸血鬼主の皮肉にも日差しに当たり気持ち良さそうに寝ている。
「zzz。」
「おいコラ中国。」
「zzzzzz。」
殴った。何発か。特に腹を。正確には鳩尾(みぞおち)を。
「グッブファハッ!!・・・誰だ!?」
「おはよう、中国。」
「うぇ!?お、お嬢様!?なんでこんなとこに!?」
※紅 美鈴(ほん めいりん)
二つ名:華人小娘(かじんこむすめ)
能力:気を使う程度の能力
「アンタ不眠不足なんじゃないの?」
「うまい、ヤマザナドゥ君座布団持ってきなさい!」
「閻魔によくそんなこと言えるわね。」
エヘへと笑い、風香同様お説教フラグを華麗に回避する美鈴。レミリアはすでに呆れていて説教なんてする気なんてない。
「それより、こんな日差しの強い日になんで外俳諧してるんですか?」
「散歩よ。」
「あー、お嬢様の散歩とは懐かしいですねー。どういう風の吹き回しですか?」
「久々に夜以外を仰ぎたくなるのよ。」
「気をつけてくださいね。無理しないで散歩中室内とか入ってください。」
美鈴でも気の利いたセリフを言えるというのにあの能天気長は・・・と脳内で思うレミリア。しかし室内といっても吸血鬼がフラフラ寄れる室内などめったに・・・あ、いや、あった。吸血鬼立ち入りOKの貧乏神社が。
あそこなら紅茶とケーキくらいだしてくれるかもしれないし、何よりもくつろぎやすい。
「わかったわ。アンタも寝ないように気をつけなさい。次寝てたら永遠に起きれないようにするわよ?」
「うへぇー・・・。」
ひるむ美鈴を見て少し上機嫌なおぜうさま。どえす。どえすですおおぜうさま。
行く所が決まれば歩くのが楽になる。レミリアは無駄に放浪するよりは目的があったほうが楽しめる性格らしい。
急に元気になったように笑顔で歩く。こんなにも散歩は楽しかったのか。
一方美鈴はすでに夢の中だった。
ー博麗神社ー
「いやー、暑いわー。こんな日は異変起きても絶対に動きたくないわー。」
※博麗 霊夢(はくれい れいむ)
二つ名:夢と伝統を保守する巫女
能力:主に空を飛ぶ程度の能力
「そんなだから賽銭入れてくれるやつがいないんだぜ?」
※霧雨 魔理沙
二つ名:普通の魔法使い
能力:主に魔法を使う程度の能力
「あんたいつからいたのよ。」
「それはアタシじゃなくて自分の心に問うべきだぜ!」
「あぁ、暑さに頭ピチュられたか・・・。」
いつも以上にグダグダなテンションな巫女に、新しい言葉を覚えたから今すぐにでも使いたい魔法使い。一応これでも主人公の座を誇る権力はある二人である。
暑いと働く気を失い、寒いと動く気をなくす巫女。"働く"と"動く"は漢字が似ていても全く意味が違うので注意。しかしこの巫女に対して用いる場合はどちらも同じ意味になるので日本語は難しい。すなわちどちらも「異変解決はめんどくさいのでしたくないです」という意味だ。
「こんな暑い日によくそんな暑そうな服着てられるわねー。尊敬するわー。」
「ブリ●ガ唱えれば簡単に涼しくなるぜ。」
「あんたにそんな魔法唱えられるわけないじゃない。あんたならできてせいぜいヒャ●ルコくらいよ。」
「てかスク●アエニッ●スに訴えられるからやめろ。」
「あんたが最初に言ってきたんでしょー。あんたにあんなゲーム貸すんじゃなかった。」
「飽きたぜ。」
「じゃぁ返しなさいよ。」
「いつまで会話文続ける気だお前らぁぁ!!」
吸血鬼レミリア・スカーレットさん到着。二人も急な登場に驚いているようだ。あ、いや巫女のほうはいたって無反応。
レミリアは到着してツッこむなりすぐに倒れてしまった。炎天下にやられたのか、唸りながら力尽きた。
倒れているレミリアを、ジト目に近いような無表情の目で見下す霊夢。またお前か、と言わんばかりの表情でレミリアを見つめる魔理沙。
「どうすんのよこれ。」
「日干しにしてやるか?」
「死んじゃうわよ。死んでも構わないけど。」
「とりあえず部屋に連れ込んどこうぜ。」
「うちは病院じゃないのよ。」
倒れたレミリアの足をもってずるずるとひっぱって部屋へ運ぶ。お嬢様パンツが・・・あ、短パン履いてるんでしたね。
吸血鬼が熱中症で倒れこむ姿は非常に情けなく見える。しばらくすると落ち着いたようで、唸らなくなった。スヤスヤと気持ち良さそうに寝る吸血鬼も麗しい。
寝言で「咲夜ー。」だとか「フラン・・・。」とか呟いているが、主人公候補二人の人間は気にしないことにした。というより気にしちゃいけない気がした。
レミリアの寝顔をじっとみつめていた(それしか暇つぶしになることがなかった)霊夢が立ち上がり棚へ向かった。そして筆を取り出した。
「筆なんか取り出して習字でもするのか?」
「違うわよ。見てなさい。」
そう言うと霊夢はレミリアの目の周りを筆で丸く円を描いた。羽根突きでミスをしたみたいな顔になるレミリア。くすぐったいのか寝ながら嫌そうな顔をする。
寝ながら嫌がるレミリアを見て余計書きたくなるS巫女。鼻の下に毛を描き生やした。
「霊夢、アタシにもやらせろ。」
クスクス笑い筆を受け渡す主人公候補の人間二人。S魔法使いが吸血鬼の眉毛を筆で太くする。必死に笑いをこらえる二人。邪道。まさに邪道な二人。
「こいつもしかしたら帰りに迷って交番に家聞くかもしれないから住所書いておいてやるべきじゃないか?」
「ついでに名前も書いといてあげなさい。」
レミリアの右頬に『こうまかん れみりあ』と書かれた。『れみりあ』の後ろに『☆』を描こうと魔理沙が筆を向けた瞬間、吸血鬼の目が開いた。
「何してんのよあんた達・・・。」
バッと筆を後ろに隠す魔理沙。魔理沙の隠した筆をコソコソ拾って袖に入れる霊夢。主人公候補の連係プレーも見事にミス。やはり吸血鬼の目はごまかせませんか。
レミリアに殴られた二人。やり返しはしなかったが。怒りながらレミリアは顔を洗いに行った。
「まったく・・・。子供みたいなことしてんじゃないわよ。」
「あまりにも寝顔が可愛かったのでついー。」
「霊夢、棒読みだぜ。」
「てかまず何で吸血鬼がここにいるのよ。」
話をそらされたのでちょっと悔しいレミリア。幻想郷の生き物は話をそらすのがうまいらしいですよ。多分。
「ちょっと散歩してたらいい休憩所があったと思ったらまさかこの神社だったとは。」
「あきらかにわかってて来たでしょ。」
作品名:東方~宝涙仙~ 其の参(3) 作家名:きんとき