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東方~宝涙仙~ 其の参(3)

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「ちょっとお邪魔しただけじゃない。それよりも客来てんだから紅茶とケーキくらいだしなさいよ。」
「ずうずうしい奴だぜ。」
「アンタまたパチェの図書館の本盗んだでしょ。紅茶とケーキで許してあげるわよ?」
「オイ霊夢、特上紅茶と特上ケーキをだしてやれ。」
「あんた後で参拝客の呼び込みバイトしてもらうわよ。」
 嫌々霊夢は紅茶とケーキを取りに行った。ん?こんな貧乏神社に紅茶とケーキなんてあるのか?
「はい、紅茶(仮)とケーキ(仮)。」
 おぼんに乗せられていたのはお茶とせんべいだった。嫌がらせか、魔理沙のぶんだけお茶から湯気がでていた。
せんべいを加えながらお茶をこぼさないようにゆっくりとおぼんを置く。

「紅茶の"こ"の字もないわね・・・。」
「たまには和風を楽しみなさい。」
「まぁいいわ。倒れこんだ私を日干しから救ってくれたんだし。」
「あんた4時間近く寝てたわよ。」
 レミリアがお茶を啜りながら、現代人なら「マジで?」というセリフが似合いそうな顔をする。そしてその吸血鬼の鋭い歯でせんべいをバリバリをバリバリと食べ、また語りかける。
「ならそろそろ帰ろうかしら。」
「それってホントに散歩っていうの?」
「歩けば散歩よ。」

 お茶を飲みきり、せんべいを満喫してからレミリアは立ち上がった。
「じゃぁ帰るわ。」
「あんたも帰りなさいよ魔理沙。」
「そうするかな。ついでに紅魔館で本借りてくるぜ。」
「パチェにちゃんと返しなさいよ?」
「いつかな!」

 二人は博麗神社を後にして紅魔館へ向かった。すでに夕日がでているので傘を差す必要は・・・あ、傘。
レミリアは傘を忘れた事に気付いたがあえて口にはしなかった。引き返すのもめんどくさいし。

 夕日を隠す山が薄く赤く映る。そしてその山の近くに見える紅魔館も紅く凛々しく聳(そび)えていた。
今日の紅魔館はいつもより紅かった。紅いが周りに霧がはってるような、小火(ぼや)が起きているように見えた。
「煙・・・?」
 レミリアが異変に思う。たしかに煙が立っている。
「おいおい、今日の紅魔館赤すぎないか?」
「異常ね・・・。まさか、何か異変でも起こったのかしら・・・。」
 不安で心臓の鼓動が早まり焦るレミリア。そのレミリアと異常事態発生(?)の紅魔館を見た魔理沙の表情が変わった。

「そ・・・そんな・・・。」
「まだ異変とは限らないぜ。とりあえず紅魔館まで急ぐぜ!」
「え・・・ええ。」
 
 吸血鬼と魔法使いは全速力で飛んで紅魔館を目指した。


        ▼其の肆(4)に続く。