衝動SSまとめ②(コナン)
※K新
2012/2/2
2012/2/1の内容の続きです。
今回は新一VSアイツ。
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この日、怪盗キッドは珍しく苦戦していた。
予告時間を過ぎてもまだ、宝石に辿り着けないでいた。
なんとか逃げつつたどり着こうともがくが、隠れる場所がすぐにバレてしまう。
「寺井さん、聞こえますか?」
『はい、』
「寺井さんは今日は退いて下さい。」
『・・・それはっ』
「今日は厄介な奴が居るみたいなんです。」
『ですが、お一人ではっ!!』
「大丈夫です。」
『・・・・・分かりました。』
「また後で、」
イヤホンを抜き取り、すぐに別の場所に移動する。
寺井さんを逃がすことが出来て、安心した。
これでもしもの時も・・・
居たぞ怪盗キッドーーーーーーー!!!!!!
一人の声が響き渡るとそこかしこで同じように叫ぶ声が上がった。
後ろを追ってくる足音が一気に増える。
だが、今度は撒くことなく目的の場所へ向かう。
待ち受ける警官たちを蹴散らし、かわし、進み続ける。
そして一番広いホールへとぬける。
中央には赤く光り輝く宝石が飾られている。
その横には中森警部と―――
やっぱりな。
後ろで扉が閉められる。
閉じ込められたのだろう。
「お前、懲りずに続けやがって。」
「何か懲りることがありましたか?」
中森警部はまだ話を続けようとしたのだが、
それを遮り、横に居た男がキッドに向かって口を開いた。
「・・・・お前に話がある。」
「・・・・・・・・。」
「何やってんねん。」
「・・・・・・。」
「答えろやっっっっ!!!!!!!!!!!」
「・・・・・あなたには関係ない・・服部・・平次。」
「なんやとっっ!!!!???」
服部は分かっていた。
この怪盗キッドが工藤新一だということが。
死亡説後、初めて怪盗キッドが現れた時のTVの生中継。
それを服部は見ていた。
それを見て分かってしまった。
あれは以前の怪盗キッドではない。
あれは・・・工藤新一だと。
許せなかった。
同じ高校生探偵として今まで頑張ってきた。
それが生き甲斐でもあったが、辛い事件も多かった。
特に工藤新一は毒薬を飲まされ体が小さくなった。
だが、そんな状況でも諦めずにいつだって真実を追い求め、やっと手に入れた元の体。
以前のような暮らしがまた出来るようになったというのに。
もう嘘をつくことも無いのに・・。
なぜ、お前は苦しい道のりを選ぶ。
お前は悪を暴く側の人間だ。
「中森警部、ちょっと外してくれへんか。」
「・・・なんだと?」
「頼む。」
「・・・・・・・・ったく、どいつもこいつも。」
「感謝します。」
中森警部がキッドの横をすり抜けて行く。
無茶だけはすんな――
中森警部が外へ出ると、外で待機していた警官達がざわついた。
だが、それに答えずに中森警部は扉を閉める。
バタン――――
一歩づつゆっくりと服部は近づいていった。
「・・・なぁ、工藤。」
「・・・・。」
「工藤、お前何してんねん。」
「・・・・。」
「お前は探偵なんやぞ。」
「・・・っ・・。」
「キレてるっちゅうことも分かっとるやろな。」
「・・・・・・・・。」
キッド・・新一は何も答えられなかった。
自分の正体を明かすわけにはいかない。
たとえ服部だとしても・・・・
だが、服部の言葉は新一には辛かった。
「なんで相談してくれへんかったんや。」
「・・・・・・・・はっと・・り・・。」
目の前まで来た服部はもう怒っているようには見えなかった。
ただただ、新一のことを心配していた。
「お前が理由無しにこんなことせぇへんのは分かる。
だがな、どうして相談してくれなかったんや。俺はそない力不足か?」
「・・・・・・・っ・・・俺は・・」
「名乗らんでええ。」
「・・・・服部・・・」
「俺がお前を捕まえたる。」
「・・・・・服部。」
「覚悟せぇ、怪盗キッド。」
「・・・・覚悟をするのはどっちかな。」
「言うやないか。」
「お互い様です。」
「次会うときは、敵やで。」
「会うのを楽しみにしてますよ」
キッドが服部の横を通り過ぎようとする。
するとその腕を服部は掴んだ。
そしてその腕を引き、自分の腕の中にその体を収める。
「・・・・・・っ・・?」
「俺以外に捕まるんやないで。」
「・・・・・・・・あぁ。」
服部はその体を離すと、今度こそ振り向くことは無かった。
キッドは宝石の元に向かい、その宝石を手にする。
赤く光る宝石を見るたびに、辛かった。
涙を必死に堪えてた。
だが、今日は涙が出てくることは無かった。
痛みが無くなることは無いが、少し和らぐの感じた。
そして窓越しに月明かりを宝石に当てる。
さてどう逃げるかな・・
すると隣の窓が突然割れた。
マントでガラスから身を守り、割れた窓から脱出する。
・・・みんな・・優しすぎる――
ガラスが割れた音を聞いた外の警官が突入してきた。
そして後から中森警部も入ってくる。
「話は出来たのか?」
窓ガラスや宝石を確認する警官達が大声をあげていた。
「あぁ。」
あっという警官の声が聞こえた。
「次は協力しねぇぞ。」
声を上げた警官の手には輝く宝石があった。
「アイツは俺が捕まえたる。」
「それは俺の台詞だ。」
「勝負や。」
「まったく邪魔にはなるなよ。」
「そらどっちやろな。」
「なんだとっ!!!!???」
アイツは俺が捕まえたる。
絶対に―――
end
作品名:衝動SSまとめ②(コナン) 作家名:おこた