不幸青年2
その日、家屋が一軒火事になった。
原因は放火。
犯人不明、証拠もなし。
一名焼死。
被害者は付き合いが良いと評判の青年。
誰からも恨まれてなさそうな男だったという。
「…アーサー。」
アルフレッドは言う。
涙を見せずとも、哀しそうな表情で。
なんだよ、お前はヒーローが好きなんじゃなかったか?
「これじゃ何にも変わってないよ。」
いや、変わったさ。
お前はもう世界一幸福なヒロインなんだ、幸せになったんだ。
だからもっと、笑ってくれ。
「意趣返しであり、ただの真似事だよ」
アルフレッドは笑わない。
いくら俺が微笑みかけようとも。