こらぼでほすと 拾得物1
スメラギは、へらへらと笑いつつ、画面の向こうで、そう指示した。今度も世界は変革したわけだが、まだ再生を始めたばかりだ。どうにかなるまで時間はかかるだろう。だから、実行部隊も一時休戦という判断を下している。
「それでは、俺たちも地上へ降りる。何かあったら、連絡してくれ。」
「ええ、わかってるわ。それより、刹那、ロックオンを、ちゃんと逢わせてあげなきゃダメよ? 」
「わかっている。・・・・あんたこそ、アル中にならない程度で酒はやめろ。」
「あら、やだ。バレてた? 」
いや、バレるも何も、その左手にあるのは、明らかに酒瓶だろうが、と、刹那は冷静にツッコミをいれる。実行部隊の生命を自由に出来る権利というのは重い。今は、それから解放されているのだから、酒は控えろ、と、いいたい。
「禁酒しろとは言わないが、今ぐらい控えたら、どうなんだ? 」
「わかってるわよ。もう、そんなとこまで、先代のリーダーと同じこと言わなくていいのよ。・・・・たぶん、フェルトも、ニールのところへ降りると思うから、よろしくね。」
組織の状況は悪くなさそうで、アレルヤも、ほっとする。あれだけの激しい戦闘で、誰も欠けなかったのは、すごいことだ。
「あの、スメラギさん。ソーマは? 」
「すでに、医療ポッドから出て、手伝ってくれてるわ。・・・・・・それでね、アレルヤ。彼女、地上には降りるのだけどね。」
ちょっと困ったようにスメラギは、口元を歪めた。歌姫のほうから、連絡が入ったことで、ソーマは大喜びで地上へ降りる準備をしているからだ。
「ソーマのお父さんというかセルゲイさんが生きてらして、まだ入院されているんですって。だから、看病に。」
「はい?」
確実に、あれは死んだだろうと、アレルヤも思っていたが助かったらしい。歌姫のスタッフが極秘裏に戦場から運び出して治療させたそうだ。ただし、ロシアの荒熊とは呼ばれていても普通の人間だから治療には時間がかかっている。もしよければ、看護をお願いできませんか? と、歌姫から依頼の連絡が入ったのだ。
「そういうことなら、それでいいです。僕も降りたら、お見舞いに行きますから、場所だけは連絡してください。」
「伝えておくわ。」
あなたたちも、ゆっくりしてね、と、スメラギは笑顔で通信を切った。まあ、確かに、ゆっくりしたいと思う。ソーマの保護者が生きててくれてよかった、と、素直にアレルヤも喜べた。後は、ティエリアと、現ロックオンのことだ。
作品名:こらぼでほすと 拾得物1 作家名:篠義