衝動SSまとめ③(ZS)
ゾロサン
2012/2/19更新
まとめ①にあります、
2012/1/22更新の内容の続き。
現代パロ。
ファミレスで働くサンジ。
客のゾロ。
――――――――――――――――――――
「あっそうだ。」
そろそろ時間だった。
アイツのご来店の。
この時間は客は少なく、ホールの人数も少ない。
そのため俺が接客する確立は高かった。
だから、きっと今日も俺が・・・と思っていたけれど、気分が変わった。
「店長、休憩良いですか?」
俺は休憩を貰うことに成功した。
そして――
カランカランという音が鳴り、いらっしゃいませという声が聞こえる。
来た。
いつもの席で、たぶんいつものものを頼んでる。
俺にしては随分と積極的。
こんなことを客によくしてるわけではない。
ただ、ちょっと気になって、話したいと思って、
・・・そうだな、なんか気が合いそうな気がしたんだ。
だから――
「合席良いですか?」
「悪ぃけど・・・っ・・・・!!??」
「はい、水ですよ。」
「ど・・・どうも、」
「俺、座っても?」
「・・・あぁ。」
正面に座る。
そして初めて真っ直ぐに見る。
こんなにじっくりと。
「どうして?」
「あー話してみたいな~なんて思ったんですけどね。」
「・・・・。」
「迷惑でした?」
「いや、・・・敬語、別に崩していい。」
「んじゃ、お言葉に甘えて。俺サンジな。」
「知ってる。」
「?」
「俺はゾロだ。」
名前を初めて知った。
いつも一人で来るから、コイツを呼ぶ奴は居ない。
スタンプカードとかそういった類も無いから知ることは出来なかった。
でも、今日名前を知った。
ちょっと嬉しいなんて思う自分の感情がよく理解出来ないけど、嬉しいものは嬉しい。
なんだか満足してる自分が居るが、あともう一つ。
あともう一つ
聞きたいコトバがある――
「お待たせしまし・・・ってサンジさん、何やってるんですか?」
「俺は居ませーん。」
「・・・お待たせしました。目玉焼きハンバーグセット大盛りになります。」
「・・はい。」
「ご注文は以上でよろしいですか?」
「はい。」
「ごゆっくりどうぞ。サンジさんは手短に。では失礼します。」
後輩をなんとかやり過ごしたが、ゾロは微妙な顔をしていた。
・・・バレたか。
「仕事中だったのか?」
「今は休憩中。」
「良いのか?」
「良いからお食べ。」
「・・・・・食べ辛ぇよ。」
確かに・・・
でも、聞きたい。
近くで――
「食え。命令じゃ。」
「んだそれ、」
俺の視線がまっすぐに注がれているから、確かに食べ辛いんだろうが。
ゾロはやっと箸をつけた。
そして、一口目を食べようとする・・・
「待てい!!」
「!?」
「食べる前の台詞!!」
「?・・・あー・・いただきます?」
「ちゃーんと、」
「いただきます。」
「うん。」
俺は大満足だった。
いつも聞きたいと思ってた。
俺が料理を運んだ後、俺に聞こえないようになのか遠慮ぎみにいつも囁かれるその言葉。
もっと傍で、
もっとちゃんと・・
やっと聞くことが出来た。
「じゃ、俺戻るわ。」
「あっ・・」
「ゆっくりしていけよ?」
「あぁ・・」
「楽しかった。またな。」
「おいっ」
「ん?」
「いつも、美味いもん・・・・ありがとう。」
「・・・・・・・いつも残さずありがとう。」
照れて笑うゾロはカッコ良かった。
照れながらもああいう言葉は言われるとたまらないものだから。
言ったあいつはカッコ良い。
そんで、言わせたコック・・・・
妬けるぜ・・
裏に戻り、制服を正す。
鏡に映る自分になんとなくだが違和感を感じる。
ふと調理場が目に入る。
あれが着てぇ――――――
end
作品名:衝動SSまとめ③(ZS) 作家名:おこた