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こらぼでほすと 拾得物2

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エターナルに戻ってきたキラから、ティエリアの身体を再生できるという話を聞いたアレルヤは大喜びした。

「ほんと? ほんとに、また、ティエリアに逢えるの? 」
「うん、もうちょっと時間かかると思うけど。とりあえず、後一ヶ月くらいかな。」

 ということは、だ。アレルヤは、それを待っているだろう。真っ先に逢いたいんだから。だが、刹那には、それより逢いたい人間がいる。

「アレルヤ、おまえはティエリアと下りて来い。俺は先に降りる。」

 だから、結論としては、こうなる。

「え? ちょっちょっと待ってっっ。まだ、ロックオンが。」

 そう、刹那の嫁は、まだ治療中だ。普通は待っているものだろう、と、アレルヤは思うわけだが、最近、新人類様になった純粋種は違う。

「子供じゃないんだ。治療が終わったら、後を追い駆けてくるだろう。キラ、プラントから地上へ降りる手配をしてくれ。」
「ハニーへの愛情が感じられないよ? 刹那。」

 最初は、どうであれ、押して押して押されまくって付き合い始めたとはいえ、「俺の嫁」 と、宣言するほどには想っているのなら、待っててやるもんじゃないのか? と、天然電波な大明神様でも思うらしい。

「あいつは慣れてるから問題ない。」

 待っていなくても、後を追い駆けてくるのはわかっている。というか、毎度そうなのだから、刹那にしては、なぜ待っていなくてはならない、と、逆に疑問なほどだ。

「ママなら待ってるくせに。」
「当たり前だ。ニールは、待ってないと安心できない。・・・・・・・キラ、手配してくれないなら、MSを一機貸してくれ。そのほうが手っ取り早い。」
「僕も帰ろうかな。もう飽きちゃった。・・・・・・ママのおにぎり食べたいな。」
「えーーーーキラまで、何言ってんの? ティエリアを迎えに行ってくれるんでしょ?」

 里心がついたらしいキラも、そんなことを言い出したので、アレルヤが慌てる。ティエリアを迎えに行くと約束したのは、キラ自身なのだ。

「アレルヤが行けば、ティエリアは喜ぶでしょ? あそこ、居住設備があるから、そこで待ってればどう? MSじゃなくて小型艇を出せば、ふたりで、ゆっくり戻ってこられるしね。」

 とりあえず、会話はできるんだから、あっちで待ってたほうが退屈しないんじゃない? なんて付け足されると、アレルヤも、その気になる。

「僕は・・・・そのほうが嬉しいけど・・・・」
「はい、じゃあ、決定。刹那、フリーダムに席を作るから一緒に帰ろ? 」
「ああ。」

 手配しなくっちゃ、と、キラは部屋から飛び出して行くのだが、ハレルヤは、内で、おいおい、と、ツッコミを入れた。

・・・・・おまえら、あほライルは、すっきりスルーかよ? ちょっとは気にしてやれや・・・・・

「ロックオンは大丈夫だよ、ハレルヤ。どうせ地上の刹那んとこへ一直線で、僕たちなんて、てんで無視されるだけだ。」

 しかし、目が覚めて、知り合いが誰も待っていないなんてのは、あんまり可哀想じゃないか? と、ハレルヤは思うのだが、ティエリア復活ではしゃいでいるアレルヤは、すっかり、そのことを忘れる方向で、ブリッジへと走り出している。





 帰ると言い出した刹那は、まあいいだろう。地上で気を揉んでいる親猫を安心させてやりたいという理由だ。だが、大明神様は待っていることに飽きたというのだから、さすが、大明神様と言うしかない。

「そのためにSフリーダムで降下することはないだろう? シャトルで帰れ。」
「面倒なんだもん。それに、Sフリーダムの降下訓練にもなるよ?」
「やらんでいい。あれをやると機体の金属疲労が激しくなるんだ。余計なオーバーホールをせにゃならんだろうが。」

 ラボの責任者である虎としては余計な経費はかけたくない。それに、早く帰れるからという理由で、MSで降下するという大明神様も信じられない。地上降下は、それなりに身体への負担も大きいからだ。

「キラさん、俺が刹那とシャトルで帰るよ。キラさんは、アスランと、もう少しプラントで遊んでから帰れば? 」

 一緒に戻ってきたシンが、そう言う。シンとしては、そろそろ、学業に復帰する目処もつけたいので帰るつもりをしていた。アカデミーは休学しているから、そちらに復帰するつもりだ。始まるのは九月だが、それまでにやっておくことが、いろいろとある。一年と少し、学業から離れていたから、少し思い出すためにも勉強に専念したいところだ。

「やだっっ、僕も帰る。」
「じゃあ、みんなでシャトルで帰ろう。」

 アスランが、そう纏めると、仕方ないとキラも同意した。レイも、そろそろ戻るつもりだから、一緒に帰ることにした。いや、まあ、なんていうか、と、シンとレイは顔を見合わせて苦笑する。

「見たいよな? レイ」
「そりゃ、俺も興味があるさ。」

 刹那が、「ただいま」 と、言ったら、ニールが嬉し泣きしそうだから、それを見たいと思っていたのだ。

「だってさ、四年だぜ? ずっと、待ってて、心配で具合悪くしたりしてさ。それが、全部終わったってなったら、ねーさんもさ。」
「俺は、それに付随して、トダカさんが貰い泣きするのも予測している。」
「あー、とうさんも泣きそうだよな。完全に、ねーさんは、うちの子だもんな。」

 心から安心する顔を見たら、きっと、自分たちも泣くんだろうな、とか、シンは内心で思っている。四年は長かった。アレルヤがいなくなって、刹那たちが、なかなか逢いにこなくなってから、今までの四年は長かっただろう。そういう素振りは見せなかったが、季節の変わり目に寝込んでいたのは、それもあったに違いない。

「俺たちがカレッジからアカデミーへ進学する時間だから長かっただろうな。」

 レイも、それには同意する。自分たち『吉祥富貴』の年少組も、すっかり大人の仲間入りをしている。それらの世話をしてくれていたのも、ニールだ。イベントごとの食事やらお祝いやら、いろいろと気をつけてくれていた。それで気を紛らわせていたのだろうが、レイたちには嬉しかったのも事実だ。

「まあ、オーナーがさ、そのシーンは、きっちり撮影してて、後で上映会とかやってくれんだろうけどさ。」
「そりゃやるだろう。オーナーにとっても、ニールは、ママだ。」

 ようやく一段落ついたCBの活動に、誰もがほっとしている。誰も欠けさせない、と、キラとラクスも頑張っていた。それが実ったことも、吉祥富貴のスタッフには喜ばしいことだ。







「おい。」 と、差し出される手。

「はい。」 と、それに醤油を渡している手。

 怖ろしいのは、それが無意識の行動だということかもしれない。ついでに、どんぶりが空になったら、悟空が差し出すそれを、ひょいっと受け取り、がっつり盛っていたりする。全てが、無意識だ。

「三蔵さん、そろそろ籍を入れないか? 」

 トダカは、そう切り出す。仕事も休みだし、シンとレイはプラントだし、親衛隊も宇宙演習なんてことで、トダカも一人だから、と、寺へ食事に呼ばれたのだが、目の前に光景を目にすると、ついつい、そう口を開いてしまった。

「「「はい?」」」

 で、寺の住人たちは、素っ頓狂な声で応戦だ。
作品名:こらぼでほすと 拾得物2 作家名:篠義