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【カイハク】死が二人を分かつまで

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「とうとう、独りぼっちになってしまいました」

サファイアの墓前に花を添えて、ハクは呟いた。
主人を失った人形に、居場所などない。倉庫に押し込められ朽ちるのを待つだけか、新たな人形を作る為に解体されるか。
引き取り手が見つかったところで、以前の暮らしに戻れるわけでもない。
ハクは手を伸ばして、墓石に触れる。ひやりとした感触は、以前と変わらないままだった。


「・・・・・・私を、迎えにきてくれますか?」


貴女のいない世界で、生きていくことなど


「もちろんですよ」

背後からの声に、ハクは驚いて振り返る。
カイトが、初めて会った時のように花束を差し出した。

「迎えにきました。僕と結婚してください」
「えっ・・・・・・あの、何故」

うろたえるハクに、カイトは微笑んで、

「貴女のマスターに約束しましたから」
「え、でも、それは」
「僕は、死者の前で嘘はつきません」

その言葉に、ハクはサファイアの墓へと顔を向ける。

「私のマスター・・・・・・」
「この人はもう、反論することも、問い詰めることも出来ません。ですが、貴女の幸せを誰よりも願っています」

ハクはカイトに視線を戻すと、頬を染めて躊躇いながら、

「・・・・・・死が二人を分かつまで?」
「いいえ」

カイトは手を伸ばすと、ハクを抱き寄せた。

「この命が尽きても」




良きときも悪しき時も
富める時も貧しき時も
病める時も健やかなる時も

死が二人を分かつまで



終わり