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こらぼでほすと 拾得物5

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「ちゅれていけ。・・・・・どうも、こっかくが、みひゃったちゅで、うまくしゃべれにゃいな。」

 ティエリアは、自分の顎を、小さな手で撫でながら、首を傾げている。想像していたより、使い勝手が悪いらしい。

・・・・・どうしよう? ハレルヤ・・・・かわいすぎて、僕、死にそうだよ・・・・・・

・・・・・ダメなら代わってやるけどよ。これ、ニールが見て卒倒しねぇーかな? 俺、そっちのほうが心配だぞ・・・・・

 脳内会話をしつつ、ティエリアを抱き上げて居住区へと歩き出す。見た目、二歳児の可愛い子供だが、喋っている内容は、ティエリアだから素っ気無い。

 子供服なんてものは、ヴェーダにはないので、アレルヤのTシャツを着せたものの、よくよく考えたら、宇宙服だってないという事実に気付いた。小型艇で敵襲なんてことはないだろうが、万が一、事故があったら、宇宙服を着ていなければ、その場でお陀仏してしまうことになる。

「作ろうか? アレルヤ。」

 リジェネが、ひょっこり現れて、そう提案してくれた。それしかないだろうな、と、リジェネに頼む。

「エターナルまで行けば、プラントで服は調達できるはずだ。・・・・それまでは、これで我慢してね? ティエリア。」

 黒のピチTというのも、ミニティエリアにはワンピースみたいなものになっている。ちょっと肩が落ちているが、着るものがないから、ティエリアも諦めている。

「こりぇで、もんだいにゃい・・・・・うちゅうふくは、しつにぇんしていた。」
「うん、僕も忘れてたよ。僕が、きみの足代わりだから、どこへでも命令してね。」
「しゅまにゃい、ありぃるりぁ。」
「どういたしまして。すっごい可愛いよ? 」
「・・・・・きみは、バカきゃ?・・・・」

 ティエリアはティエリアだから、罵倒も容赦なしだが、それが、可愛い声だから、いつもの絶対零度ほどの冷たさは感じない。

「出来たよ、アレルヤ。」

 あっという間に、子供用の宇宙服を作成して、リジェネが現れる。運んできたのは、整備用ロボットだ。

「こりぇで、しゅっぴゃつできる。」
「そうだね。じゃあ、リジェネ、行って来るね。」
「きみは、うちの子じゃないんだけどさ? アレルヤ。」
「ご無礼、もうなんか馴染んじゃったよ。」

 二ヶ月近く、一緒に過ごしていたから、アレルヤにとっては、まるで我が家のようなノリになっている。ティエリアの本体が完成したら、入れ替えるために、また戻ってくるのだから、気分は、「いってきます。」だ。

 プラントまでの行程は、24時間程度のことだ。そこから、シャトルに乗り換えて地上に降りることになるだろう。先に連絡して手配して貰おうと、エターナルと通信回線を開いたら、対応に出てきたダコスタに絶句されたのは、言うまでもない。



 ぐだぐだで寝込んでいるニールの側には、ライルが付き添っている。とはいっても、テレビを見ながら、お菓子をぱりぱりやっているという気楽さ加減だ。

「なんか飲む? 」

 返事がないので、視線をベッドに戻したら、兄は寝ていた。午後からは、大概、二時間ばかり昼寝をする。テレビを消して、お菓子を片付けると、ライルは立ち上がる。別に付き添っている必要はないのだが、ライルのダーリンからの命令だから従っている。ダーリン曰く、「寂しがりだから、側で座ってろ。」 だそうだ。そうか? と、ライルは首を傾げたが、刹那の言うことだから、大人しく側にいた。

 最初、寺で起き上がれなくて、寝込んでしまったニールを見て、ライルはびっりした。宇宙には上がれない、と、言った理由がこれだと知って納得した。気圧変化ごときで、身体が弱るのなら、加速や停止のGに耐えられる道理はない。

・・・・・ていうか、この後遺症、なんとかならないのかな・・・・・・

 五年間、梅雨の時期は必ず寝込んでいると刹那に言われて、とても切ない気分になった。何一つ、自分は、兄のことを知らなかった。所在不明の兄からの仕送りで、平凡な暮らしをさせてもらっていたからだ。兄は過去のことは話したがらないので、ライルも無理に尋ねていない。いろいろとやってたんだろうとは想像している。

「あら、珍しい。」

 扉から現れたのは、この屋敷の主だ。仕事で、ほとんど留守をしているが、たまに帰って来ると、ちゃんとニールの見舞いにやってくる。

「お疲れ様です、オーナー。」
「刹那は、どうしました? 」
「キラが拉致って行きました。」
「うふふふ・・・・・相変わらず、キラは刹那がお気に入りですわね。」

 会話が聞こえたのか、ニールが目を開ける。右目は見えないから、ぐるりと首を回して、声のするほうに左目の視線を向ける。

「・・・・おかえり、ラクス・・・・・」
「ただいま帰りました、ママ。吉報です。」
「ん? 」
「アレルヤとティエリアが降りてまいります。数日中には、こちらに参りますよ。」
「・・・・無事か? あいつら・・・・」
「ええ、大丈夫です。・・・・それで、別荘のほうへ移動してはどうかと思うのですが、いかがです? 」

 本宅は医療設備は整っているが、庭を歩き回ったりすることはできない。セキュリティーは完全ではあっても、歌姫のパパラッチが、どこから盗撮しているか、わからないからだ。別荘なら、その心配はないし、あちらならマイスター組の部屋もあるから一緒に、のんびりするにも適している。

「俺は、どこでもいいが、ドクターが許可くれるか? 」
「はい、ドクターから許可は取りました。・・・・・明日から天候が安定するので、楽になるそうですよ。」
「そりゃ有難い。・・・・・今日は、仕事は終わったのか? 」
「はい、終わりました。今夜は、一緒に食事してくださいませね。」
「はいはい、わかってるよ。年々、おまえさんも甘えん坊になってないか? 」

 最初の頃は、それほどざっくばらんだったわけではない。少しずつ、ラクスと過ごす時間が増えてくると、彼女も寂しいんだな、と、気づいたから、なるべく、相手をするようにしていた。対して、ラクスのほうも、なんでもいいから甘えて寂しさを紛らわさせてやろうなんて、心がけていたから、かなりベタベタしたことになっていたりする。これに恋愛感情が、少しも介入しないのが、ニールがおかんたる所以だと、歌姫も思っている。

「それは、仕方ありませんわ。ママが私くしを甘やかすからつけ上がるのです。」
「なるほど、原因は俺か。それじゃあ、仕方ないな。・・・・・・夕方まで一眠りするから、おまえさんも寛いで来いよ。」
「ええ、そうさせてもらいます。今夜の添い寝にも立候補しておきます。」

 はあ? と、ライルは驚いているが、ニールのほうは、はいはい、と、適当に返事して手を振っている。天下の歌姫様なのに、何させてのんさ、この兄はっっ、と、ツッコミしたいところだが、目を閉じてしまったので、それができなかった。

作品名:こらぼでほすと 拾得物5 作家名:篠義