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こらぼでほすと 拾得物6

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キラが、刹那を連れて戻ってきたので、夕食は騒々しいことになっていたが、アレルヤたちが降りてくるという報告に、珍しく刹那も口元を歪めた。

「よかった。あんたが具合を悪くする前に間に合ったな。」
「・・・・・別に、心配してねぇーよ。おまえ、俺に対して過保護すぎんだよ。」
「空元気というのを知っているか? ニール。おまえのは、それだ。」

 多少、弁はたつようになったから、ニールとしても誤魔化しが効かなくなっている。ちっっと舌打ちして睨むが、刹那のほうは余裕で笑っている。

「うわぁー刹那の笑顔だ。珍しい。」

 ニパニパと普段から脳天気に笑っているキラが、そう言って感心する。刹那は、無口で無愛想だから、こういう柔らかい表情というのは、あまり見られるものではない。

「明日から、別荘へ移るんですか? 」
「ああ、あっちのほうが散歩したりして身体を動かせるからな。それに、アレルヤとティエリアたちが、どういう状況かもわからないから。」

 無事だということは報告を受けているが、まだリハビリしなくてはならないとかいう状態なら、別荘のほうが世話もしやすいと、ニールも思っている。

「今度は、ぴんぴんしてるよ? ママ。」
「わかってるけどさ。」

 この会話に馴染んでないライルとしては聞いているだけだ。キラのことは、刹那から聞いたのだが、「白い悪魔」なんておどろおどろしいふたつ名がついているようには、どうしても見えない。むしろ、アスランのほうが、そういう雰囲気だ。

「ライル、どうしたの? 」
「いや、どう見ても、おまえ、ただのアホにしか見えないな、と、思っただけ。」
「うわぁーものすごく失礼。ママ、後でパンチしていい? 」
「いいぜ。てか、おまえ、別荘でMSのトレーニングをライルとしてやれば、どうだ? 」

 実戦でなくても、キラは強いわけで、ライルは、それで実感するだろうと思う。スーパーコーディネーター様は伊達ではない。刹那とMSで遊んでいても、えげつない攻撃を仕掛けてくるからだ。

「え? キラと? こいつ、現役じゃないんだろ? 兄さん。引退したキラなんか相手になるかよ。」

 あー地雷を踏んだ、と、誰もが内心で大笑いした。現役ではないが、歴戦の勇者ではあるし、この間だって、こそこそ、いろいろとSフリーダムでやっちゃってたのだ。まだ、MSに搭乗して一年のライルごときで、打ち負かせる相手ではない。

「ふふふふふ・・・・・ライル、存分にキラと戦ってみられるとよろしいですよ? キラ、現役のライルに、手ほどきをしてさしあげては? 」
「くくくくくく・・・・そうだね、ラクス。僕も、久しぶりに思いっきりやりたいっっ。それから、刹那ともっっ。」
「俺は、全開でいいが、ライルには手加減を要求する。こいつには荷が重いだろ? キラ。」
「刹那とは、ストライクとルージュで対等にやろう。ライルには、僕のMSを貸してあげる。それで、僕がストライクならハンデになるよね? 」
「いや、キラ・・・・・」

 それでも、危ないだろ? と、アスランは言いたかったのだが、ライルのほうが、「ハンデ? 俺も、同じ機体でいいぜ。」 とか、言っちゃったので沈黙した。一度、死ぬほど痛い目に合わせておいたほうが、いいのかもしれない、と、思い直したからだ。だが、結果がみえているから、ニールが予防線は張った。

「キラ、やりすぎたら拳骨だからな。」
「えーーーーーどこがやりすぎなのか、わかんなーい。」
「俺が、『ハウス』って言ったらやめろ。いいな? 」
「僕、チワワじゃないもんっっ。」
「じゃあ、『ストップ』な? 」
「ママ、それ、えこひいきっっ。」
「当たり前だ。うちの弟だっつーのっっ。」

 え? と、ライルは怒鳴っているニールに視線を移した。ちゃんと、自分のことを心配してくれているらしい。あまり会話も成り立たないが、ちゃんと自分のこともみてくれているのだと思うと、ちょっと嬉しい。


 エターナルとドッキングして連絡通路を繋げたら、虎とダコスタが出迎えてくれた。が、アレルヤが片腕に座らせている物体を目にして、ふたりして、ぶっっと吹き出して背中を向けた。

「しゅっつれいだじょ、とりぃや、だこちゅた。」

 ちょっちょっと待って、と、ダコスタは、腹を抱えて蹲っているし、虎は、肩が震えて、ぶはっと、もう一度、吹き出した。あまりにも、おかしすぎて、笑い死ぬ一歩前みたいなことになっている。

「びっくりしたんだよ、ティエリア。虎さん、ダコスタさん、ただいま戻りました。すいません、ティエリアの衣服を調達してくれましたか? 」

 先に連絡をした時に、着替えを用意してくれるように依頼した。なんせ、パンツもないし、アレルヤのピチTだけだ。これでは、あんまりだ、と、アレルヤは思っていた。

「ああ、用意しといた。・・・・・今夜は、ホテルで一泊して、明日のシャトル便を用意してある。・・・・・ティエリア、おまえ、それは、なんの冗談なんだ? ニールが笑い死ぬぞ? 」

 とりあえず立ち直った虎が、予定を告げてくれる。

「じょおだあんじゃにゃいっっ。ここみゃでしか、そだたにゃかったんだっっ。・・・・・とりぃや。そのたいどは、ばんちにあたいしゅるっっ。」

 びしっと人差し指をつき付けて、ティエリアは怒鳴っているのだが、これが、また、おかしくて、虎は笑っている。

「あの、虎さん、これは、とりあえずの姿で、前の姿の身体は、今、作っている最中なんです。ニールのことがあるので、それで。」
「わっわかってる。ダコスタ、案内してやってくれ。」
「はっはい、隊長。」

 ちっちゃい生き物は、態度はでかく、ぷんぷん怒っている。それが、以前からのティエリアの態度なのだが、小さいから可愛いしおかしい。子供が大人の真似をして喋っているノリだ。

「きみたちのIDカードは、今回は偽造させてもらったよ。この姿では、ID登録と一致しないからさ。」

 アレルヤはいいのだが、ティエリアの分は無理だろう。だから、親子ということで、まったく偽名のIDカードを用意して、シャトルの搭乗券を準備した。

「親子なんですか? あはははは・・・・そうですよね? 僕、こんな子供がいてもおかしくない年齢なんだ。」

 アレルヤは、そのカードを見て、楽しそうに笑っているが、ティエリアは不満だったらしい。

「なじぇ、おりぇのほごしゃが、ありぃるりぁにゃんだ? にーるがよかった。」
「でも、兄弟にしては年が離れているし、僕が、きみを連れているなら、そのほうが自然だよ、ティエリア。うふふふ・・・・・僕たち、家族なんだ。なんか嬉しい。」

 アレルヤは、本当に嬉しそうに笑うので、ティエリアは、しょうがないな、と、ばふっと、アレルヤの腕に持たれこむ。

「こんかいかぎりだじょ。」
「うん。」

 なんだかんだで、仲がいいんだよな、マイスター組は、と、ダコスタも、その会話を聞きながら、微笑んでいる。この姿までしか培養できなくて、それでも降りるという理由は、ダコスタも理解している。つまり、マイスター組は、それぐらい、仲間のことを気遣っているということだ。
作品名:こらぼでほすと 拾得物6 作家名:篠義