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階段のその先は

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サン誕小説~





小学校。
中学校。
高校。

俺が知る学校というものには階段がある。
そしてその階段は最上階よりも上へ続いてる所が必ずある。
それは屋上への階段だと分かるのだが、どうしてかその階段を上ることは無い。
屋上が開放されている学校に通った経験が無いからかもしれないが、
大抵その階段には不気味な噂がつきものだった。

電気の付けられない薄暗い階段。
半分上り、曲がる先には何があるのだろう・・・

上ってはいけない――
辿り着けなくなる――

色々な噂を聞いた。
それでも、通る度に視界に入りこむ階段が気になって仕方なかった。


小学校のころは怖かった。
中学校のころは怖くないふりをした。
高校になって皆、興味を無くした。


でも、俺は今日もその階段が気になった。
曲がったら、屋上への扉があるだろうことは分かる。
そしてその扉にはどうせ鍵がついている。
そこまで分かっているのに、気になるのだ。


どうしてそんなに気になっているのに早く確かめないか…
それはやっぱり小、中で自然と怖いものと思っていた思い出があるからなのだろうけど。
何故か、その階段には上ってはいけない。
半分上ったその先を見てはいけない。
そう思い込んできた。



そんなのは俺だけなんだろうか…




ザーーーザーーーーーと雨が降り続いていた。
俺は傘を持って来るのを忘れ、教室の窓からぼんやりと外を見ていた。
下には丸いものがいっぱい。
黒いものは黒いものたちと、カラフルなものはカラフルなものたちと、
あるいはそれぞれ一つづつ。
雨がそれに当たり弾いている音なのか、地面に当たる音なのか、
ザーーーーーザーーーーーという音は耐えない。

このまま待っていればいつか止んでくれるような気がして、
家に帰ろうとは思わなかった。
だが、ここで出来ることはあまりない。
中指で机をトントンと叩いていても何も楽しくない。
暇だった。

イスをギシリときしませながら、上半身を反る。
そしてふとあの階段が頭を過ぎった。

俺は教室を後にした。



目の前にすると、やはり足が竦む。
雨、放課後、それらが一層雰囲気を増す原因だろう。
高校生にもなっていつまでも怖がっているなんて馬鹿らしい、と一歩踏み出す。


手すりに左手をかけ、右足が一段目に乗る。
左足、右足、左足、右足…
そして俺の左手がまっすぐな道を失う。
半分まで来たのだ。

恐る恐る振り返り、残りの半分を仰ぎ見る。
そこは暗闇であるだろう扉がよく見えない。
恐怖は増していく。
それでも俺の足は止まらなかった。

とん、とん、とん、とん…
自分の履いている上履きしか見ていなかった。
そして、右足が広い部分に到達した。
それは階段の終わりを示していた。


上ったんだ・・・



作品名:階段のその先は 作家名:おこた