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月のひかり、星のかげ

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『今日お前に会わせたのは』

『ケッコンしようと』

『それでおまえに』

『……………………』

『いわってく』


『そんなの、ぼくは』


リバース・アンド・プレイされた過去の記憶も、


「あ……ッ――――…ふ、はぁ……ッ……!!!!!」


心の奥底から引き摺り出された苦しみも、止むことはなかった。

あまりの息苦しさに身悶え、ガタガタと身体を震わせているとパルが目を剥いた。
「ソラ、どうシタか!? どうシタウパッ!?」と小さな手を伸ばされるが、パルを安心させるだけの言葉も浮かばなければ、返事をすることすら出来なかった。上手く、声を出せない。……いつものことだ。不意に、掴んでいたパーカーが麻痺した指から離れて行った。……これも、いつものことだ。
尋常でない様子に、背後からも悲鳴に近い声が聞こえる。「発作? 発作なの、ソラ君っ!?」と慌てているらしい更紗と、「ソラ君っ!?」と驚愕に満ちた声を発したショウコの駆け寄って来る気配がした。皆、驚く。だが、ソラにとっては驚くまでもないいつものことだ。
手足の先に力が入らなくなっても、じわりと涙が目尻に浮かんでも、驚いたりはしない。……それでも、僅かに願う。

た す け て 、 く だ さ い 。

止まらない激痛に強い眩暈を覚えて、ソラはがくりと膝を折った。