こらぼでほすと 拾得物7
「ようこそ、吉祥富貴へ。お待ち申し上げておりました。・・・・・よっっ、フェルト、久しぶり。」
店の扉の前には、シンとレイが並んでいて、恭しくお辞儀して、扉を開ける。そこにも、数人の見目麗しい男性陣が並んでいる。軽くお辞儀して挨拶する。
「ようこそ、スメラギ様。」
「久しぶり、鷹さん。あら? ハイネは? 」
「ごめんねぇー、ハイネは、ママんとこ。」
「やだ、あたしのお気に入りホストを出張させてるの? 明日、抗議しなくちゃ。」
「まあまあ、そうがっかりしないで。たまには、違うのと遊ぶとマンネリにならなくていいだろ? 」
ご指名されている鷹は、スメラギをエスコートして、席へと歩き出す。フェルトは、キラが案内して、歌姫はイザークだ。今日は貸し切りだから、ホール全体が、大きな席になっている。
「フェルト、お酒って飲めるの? 」
「飲んでない。」
「じゃあ、ノンアルコールだね。・・・・ラクスは? いつもの? 」
大酒飲みは、大人組に任せて、キラたち年少組は、軽い飲みものをオーダーして、食事を運ばせる。シンやレイたちが、テーブルまで、それらを運んでくる。吉祥富貴では、飲むだけでなく、美味しい食事もサービスのひとつだ。
「ラクスは飲めるの? 」
「ええ、軽くですけど。少し飲んでみますか? フェルト。」
歌姫のところに届いたショートカクテルグラスは、綺麗な紫色だ。ちょっと興味が湧いたのか、フェルトが勧められて、口に含んだ。
「あ、甘いんだね、これ。」
「でも、たくさん召し上がってはいけませんよ? 」
こくっと飲んだら、かぁーっとアルコールが喉から食道に落ちていくのが、わかる。それで、びっくりしたフェルトに、歌姫は笑っている。
着替えが終わったマイスター組も現れて、スメラギやフェルトの前で軽くお辞儀して、席に着く。もちろん、ティエリアはスーツなんかではない。今度は、鹿の子の振袖だ。
「ティエリア、すごいね? 」
「おもいしあちゅいぞ、らくしゅ。」
あらあら、と、ティエリアの文句に空調を強めるように、歌姫は指示をする。着替えさせてくれるつもりはないらしい。
「ティエリア、こっちにいらっしゃいよーーーお姉さんが可愛がってあげるからっっ。」
フェルトの横に鎮座していたティエリアは、スメラギがかっ攫って行った。無体はしないで、と、アレルヤも、そちらへ移動する。ぎゃあーーーっっと叫ぶ声で、そちらに視線をやると、スメラギに抱き締められてティエリアが暴れている。
「フェルトも、無事でよかったな? 」
その空いた席に悟空がやってきた。
「うん、ごくー、ありがとう。」
「歌姫さん、酒はダメだぜ? ママにバレたら、俺らが怒られるんだからさ。」
はい、交換と、悟空は、ショートグラスを歌姫に返して、新たに持って来た同じ見た目の紫色のジュースをフェルトに渡す。
「味見はしてもよろしいんでは? 悟空。」
「ダメっっ。それより、何、食べる? 取り分けるぞ? 」
目の前の料理を勧めると、悟空が皿を持ち上げる。すっかり、接遇も板についてきた。シンとレイも、歌姫の分を取り分けている。
「悟空のお奨めでいいよ。三蔵さんは? 」
「うちの親父、本業があって休みなんだ。」
どうも、自分が逢いたい人は、ことごとく逢えないらしい、と、フェルトは苦笑する。ニールの旦那様だから、挨拶しなくちゃと思っていたのだ。なんだかんだで、寺へ滞在することになるから、三蔵には、いつも世話になっていたし、ちゃんと自分のことも構ってくれる親切なパパだ。いつもなら、三蔵が休みなら、悟空も休むのだが、お客様がフェルトだから、三蔵が悟空に出勤を命じた。まあ、その程度に、三蔵もフェルトのことは気にしているらしい。
「ママが帰って来る時、こっちに来るだろ? その時でいいじゃん。なあ、梅雨明けしたら、プール行こうぜ。」
ひょいひょいと、料理を取り分けつつ悟空が、そう勧める。どうせ、一ヶ月くらいは滞在するのだ。慌てることはない。
「あーーーごくーーーっっ、ずるいよっっ。フェルト独占しないでよっっ。プールなら、僕も行くからね。刹那も一緒に行こう。新しいのができたんだ。」
キラが、きゃいきゃいと騒ぐと、おう、行こうぜ、と、悟空も応じる。年少組は、つるんで遊ぶことが多いから、こういう時は、全員参加なんてことになる。フェルトも降りて来ると、これに巻き込まれているから、うん、と、頷いている。
「ちょお、俺も行くぞ。早めに連絡してくれよ? なあ? レイ」
「ああ、俺も、だ。悟空。」
「私も参りますよ? 悟空。」
この雨が終われば、梅雨明けだ。それなら屋外プールで、みんなで大騒ぎするには、ちょうどいいだろう。そういう施設を借り切ってしまえば、歌姫が居ても問題はない。
「夏休みに入ったら、ってことでいい? 俺、もうちょっとで終わりだからさ。アスラン、みんなの予定まとめてよ? 」
「わかった。スケジュール調整しておくよ。」
「ねーねー、ラクス。そうめん流しもしようよ。それから花火も。ああっ、肝試しっっ、これもだね。」
もう夏の予定を頭が考え始めたキラは、あれも、これもと口にする。思いっきり羽目を外せるんだから徹底的にやっちゃうぞ? と、思っている。
「キラさん、それなら、俺、スイカ割りがしてぇ。前やった時、あれ、楽しかった。」
「いいね、シン。ラクス、フェルト、今年は夏を満喫しようね? 」
ずっと宇宙にいたフェルトは、この一年と少しは夏を満喫したことはない。今年は、なんでもできるから、やれるだけやろうとキラは宣言した。
「うん、ニールも来られる? キラ。」
「大丈夫っっ。来週には、ぴんぴんしてるもん。」
そして、年少組は、何をやるかで盛り上がって騒いでいるわけで、ホストの接待なんてものではなくなっている。まあ、これでもいいだろう、と、アスランは微笑んでいる。こんな雰囲気のほうがフェルトも緊張しないし、年相応だ。
そんな盛り上がる年少組の席を眺めつつ、大人組も微笑んでいる。スメラギも、いつもの調子でボトルを空にして笑っているし、ティエリアに、悟浄や鷹がちょっかいをかけて遊んでいる。
「少し召し上がりませんか? スメラギ様。」
飲んでばかりではダメですよ、と、八戒が、こちらも料理を取り分けている。本日は、イタリアンの冷製チックな料理だ。大人組のほうは、酒の肴だから、小洒落たものが並んでいる。
「はあー、ここは料理もおいしいし、イケ面ばかりなのよねー、癒されるわあー。」
「なんなら、朝までお付き合いするけど? 」
「やだぁ、鷹さん、本気? 本気にしてもいいの? 本気にするわよ? 」
「もちろん、本気ですよ? 俺は、綺麗な人に嘘はつけない体質なんだ。」
今の本気が、これっぽっちも入ってないじゃねぇーか、と、悟浄が内心で ツッコミつつ、スメラギのグラスにドライジンを流しこむ。
「俺も立候補するぜ? スメラギさん。」
「やだ、悟浄も? もう、ほんと、困ったわーーあははははは。」
店の扉の前には、シンとレイが並んでいて、恭しくお辞儀して、扉を開ける。そこにも、数人の見目麗しい男性陣が並んでいる。軽くお辞儀して挨拶する。
「ようこそ、スメラギ様。」
「久しぶり、鷹さん。あら? ハイネは? 」
「ごめんねぇー、ハイネは、ママんとこ。」
「やだ、あたしのお気に入りホストを出張させてるの? 明日、抗議しなくちゃ。」
「まあまあ、そうがっかりしないで。たまには、違うのと遊ぶとマンネリにならなくていいだろ? 」
ご指名されている鷹は、スメラギをエスコートして、席へと歩き出す。フェルトは、キラが案内して、歌姫はイザークだ。今日は貸し切りだから、ホール全体が、大きな席になっている。
「フェルト、お酒って飲めるの? 」
「飲んでない。」
「じゃあ、ノンアルコールだね。・・・・ラクスは? いつもの? 」
大酒飲みは、大人組に任せて、キラたち年少組は、軽い飲みものをオーダーして、食事を運ばせる。シンやレイたちが、テーブルまで、それらを運んでくる。吉祥富貴では、飲むだけでなく、美味しい食事もサービスのひとつだ。
「ラクスは飲めるの? 」
「ええ、軽くですけど。少し飲んでみますか? フェルト。」
歌姫のところに届いたショートカクテルグラスは、綺麗な紫色だ。ちょっと興味が湧いたのか、フェルトが勧められて、口に含んだ。
「あ、甘いんだね、これ。」
「でも、たくさん召し上がってはいけませんよ? 」
こくっと飲んだら、かぁーっとアルコールが喉から食道に落ちていくのが、わかる。それで、びっくりしたフェルトに、歌姫は笑っている。
着替えが終わったマイスター組も現れて、スメラギやフェルトの前で軽くお辞儀して、席に着く。もちろん、ティエリアはスーツなんかではない。今度は、鹿の子の振袖だ。
「ティエリア、すごいね? 」
「おもいしあちゅいぞ、らくしゅ。」
あらあら、と、ティエリアの文句に空調を強めるように、歌姫は指示をする。着替えさせてくれるつもりはないらしい。
「ティエリア、こっちにいらっしゃいよーーーお姉さんが可愛がってあげるからっっ。」
フェルトの横に鎮座していたティエリアは、スメラギがかっ攫って行った。無体はしないで、と、アレルヤも、そちらへ移動する。ぎゃあーーーっっと叫ぶ声で、そちらに視線をやると、スメラギに抱き締められてティエリアが暴れている。
「フェルトも、無事でよかったな? 」
その空いた席に悟空がやってきた。
「うん、ごくー、ありがとう。」
「歌姫さん、酒はダメだぜ? ママにバレたら、俺らが怒られるんだからさ。」
はい、交換と、悟空は、ショートグラスを歌姫に返して、新たに持って来た同じ見た目の紫色のジュースをフェルトに渡す。
「味見はしてもよろしいんでは? 悟空。」
「ダメっっ。それより、何、食べる? 取り分けるぞ? 」
目の前の料理を勧めると、悟空が皿を持ち上げる。すっかり、接遇も板についてきた。シンとレイも、歌姫の分を取り分けている。
「悟空のお奨めでいいよ。三蔵さんは? 」
「うちの親父、本業があって休みなんだ。」
どうも、自分が逢いたい人は、ことごとく逢えないらしい、と、フェルトは苦笑する。ニールの旦那様だから、挨拶しなくちゃと思っていたのだ。なんだかんだで、寺へ滞在することになるから、三蔵には、いつも世話になっていたし、ちゃんと自分のことも構ってくれる親切なパパだ。いつもなら、三蔵が休みなら、悟空も休むのだが、お客様がフェルトだから、三蔵が悟空に出勤を命じた。まあ、その程度に、三蔵もフェルトのことは気にしているらしい。
「ママが帰って来る時、こっちに来るだろ? その時でいいじゃん。なあ、梅雨明けしたら、プール行こうぜ。」
ひょいひょいと、料理を取り分けつつ悟空が、そう勧める。どうせ、一ヶ月くらいは滞在するのだ。慌てることはない。
「あーーーごくーーーっっ、ずるいよっっ。フェルト独占しないでよっっ。プールなら、僕も行くからね。刹那も一緒に行こう。新しいのができたんだ。」
キラが、きゃいきゃいと騒ぐと、おう、行こうぜ、と、悟空も応じる。年少組は、つるんで遊ぶことが多いから、こういう時は、全員参加なんてことになる。フェルトも降りて来ると、これに巻き込まれているから、うん、と、頷いている。
「ちょお、俺も行くぞ。早めに連絡してくれよ? なあ? レイ」
「ああ、俺も、だ。悟空。」
「私も参りますよ? 悟空。」
この雨が終われば、梅雨明けだ。それなら屋外プールで、みんなで大騒ぎするには、ちょうどいいだろう。そういう施設を借り切ってしまえば、歌姫が居ても問題はない。
「夏休みに入ったら、ってことでいい? 俺、もうちょっとで終わりだからさ。アスラン、みんなの予定まとめてよ? 」
「わかった。スケジュール調整しておくよ。」
「ねーねー、ラクス。そうめん流しもしようよ。それから花火も。ああっ、肝試しっっ、これもだね。」
もう夏の予定を頭が考え始めたキラは、あれも、これもと口にする。思いっきり羽目を外せるんだから徹底的にやっちゃうぞ? と、思っている。
「キラさん、それなら、俺、スイカ割りがしてぇ。前やった時、あれ、楽しかった。」
「いいね、シン。ラクス、フェルト、今年は夏を満喫しようね? 」
ずっと宇宙にいたフェルトは、この一年と少しは夏を満喫したことはない。今年は、なんでもできるから、やれるだけやろうとキラは宣言した。
「うん、ニールも来られる? キラ。」
「大丈夫っっ。来週には、ぴんぴんしてるもん。」
そして、年少組は、何をやるかで盛り上がって騒いでいるわけで、ホストの接待なんてものではなくなっている。まあ、これでもいいだろう、と、アスランは微笑んでいる。こんな雰囲気のほうがフェルトも緊張しないし、年相応だ。
そんな盛り上がる年少組の席を眺めつつ、大人組も微笑んでいる。スメラギも、いつもの調子でボトルを空にして笑っているし、ティエリアに、悟浄や鷹がちょっかいをかけて遊んでいる。
「少し召し上がりませんか? スメラギ様。」
飲んでばかりではダメですよ、と、八戒が、こちらも料理を取り分けている。本日は、イタリアンの冷製チックな料理だ。大人組のほうは、酒の肴だから、小洒落たものが並んでいる。
「はあー、ここは料理もおいしいし、イケ面ばかりなのよねー、癒されるわあー。」
「なんなら、朝までお付き合いするけど? 」
「やだぁ、鷹さん、本気? 本気にしてもいいの? 本気にするわよ? 」
「もちろん、本気ですよ? 俺は、綺麗な人に嘘はつけない体質なんだ。」
今の本気が、これっぽっちも入ってないじゃねぇーか、と、悟浄が内心で ツッコミつつ、スメラギのグラスにドライジンを流しこむ。
「俺も立候補するぜ? スメラギさん。」
「やだ、悟浄も? もう、ほんと、困ったわーーあははははは。」
作品名:こらぼでほすと 拾得物7 作家名:篠義