つながっていた時間 その1
「礼なんかいらんけん。それより、ほっとした、もう黙っていなくていいんじゃけん。平澤たちにも知らせてやらんと・・。でも、まず、姉ちゃんじゃ。アイツをびっくりさせてやってくれや」
「うん!」
咲は全速力で道路まで走り、タクシーを捕まえた。坂下病院まで行ってほしいとつげながら、涙があふれ出るのを止められなかった。タクシーの運転手は、ぎょっとして「家族の人でも入院したの?」と心配そうに聞いてきた。
「家族みたいに大切な人なの・・・誰より、大切な人なの・・・お願い、運転手さん、できる限り、とばして!」
咲の剣幕に何かを感じたのだろう。運転手はテクニックとスピードを駆使して、坂下病院へ車を飛ばしてくれた。
→その2へ続く
作品名:つながっていた時間 その1 作家名:なつの