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僕と彼女

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でも、目が離せなくて。

「っと、ヤバイヤバイっ!遅刻だって!!」
「え?遅刻?」

食い入るように見つめ続ける先。
間を開けた事で現状を思い出したらしい彼女が慌てだすのにキョトンとしてしまう。
遅刻、ってなんだっけ?と言った気分。
全くもってどこまでも間抜けな姿をさらしてしまう僕の前、くるりとこちらを振り返った奥村さんが青い瞳を僕へと据え。

「そうだよっ!ちょっ、あんた…じゃなくて『雪男』っ!! 」

「ふぁっ!?っ、って、えっ!?」

唐突に。
叫ばれた名前。
驚きは、それこそ言葉に出来ない程。
全身に満ちる喜びに溺れそうになりながら、見下す先の奥村さん。
彼女はまたも素敵な笑顔を僕に見せてくれていて。
見惚れてしまい、呆ける僕に向け徐に右手を上げると、左右に振り。

「なんか、大丈夫そうだから俺、もう行くな?」

「…あ、…うん、そ、だね…って!遅刻っ!?あぁっ!!ぼ、僕も遅刻だっっ!!! 」

「…だよな?制服って事は雪男もだよなぁ?つか俺の場合、もー、マジ間に合わないかも…ととっ、ンな事話する前に走れってやつだな!じゃ、雪男っ」

「っ!…っ、は、いっ」



「 ま た な !!」



「!!!!!!……うん…うんっ!また!また会おう!!」


叫び、手を振り去って行く彼女を見送りながら、僕もまた、再会を願う声を張り上げ手を振った。
連絡先なんて一つとして交わしてない僕等。名前しか知らない相手と次いつ会えるのかなんて、分かる訳もないのに彼女は迷わずその言葉を僕に告げた。
この時身体を駆け巡った喜びと言ったら!
喜びに浮かれ、思いつきもしなかったけれど後々冷静になった際、やはり連絡先位聞いておけばよかったなぁ、とか思わなくもなかった・・・・のだけれど。共に時間に追われていたわけだから仕方ない。
それでもきっと。
いつかきっと。

きっと、また、会える。

そんな気がした。
少なくとも、学生服を着た彼女が交通手段を使用せず駆けていたと言う事はつまり、彼女はこの近く・・・それこそ徒歩圏内に住んでいる・・・・と言う事になりはしないだろうか?
例えば同じ地区に住んでいても、小学校の区域が違えばなかなか知り合えない人だって多いと思われる。どちらかが塾に通っていなければ尚更。
その中の一人だったのだろう彼女の背を見つめつつ、完全に見えなくなる頃漸く我に返ると僕も急ぎ、駆けだした。
いつかきっと。
また会おう。
でなければ、僕が絶対に見つけて見せる。
そう、誓いながら。




作品名:僕と彼女 作家名:とまる