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こらぼでほすと 拾得物10

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翌日、アレルヤは歌姫と同行してAEUへ向かった。リヒティとクリス夫婦は、ホテルへ移動して、そこで、この休暇を楽しむらしい。ドクターモレノのほうは、こちらの知り合いのところへ顔を出してくると出かけた。

 どうせ、クリスのことだから、フェルトを構いがてらに寺へ顔を出すつもりだろう、と、ニールは思っている。そして、寺のほうも、三蔵が、そろそろ本山への出張の準備を始めた。だいたい、この時期に長くて一ヶ月ぐらい、本職の仕事で本山のほうへ帰るのだ。これには、精神安定剤として悟空がついていくことになっている。

「悟空が出かける前に、プールへは行こう。」

「うおっしっっ、行くぞ。」

 キラと悟空で、勝手に、そう盛り上がったら、まあ、いいだろうと、アスランも手配する。歌姫も合流するので、ついでだから、そちらでも、そうめん流しをするつもりだ。一度、製作すれば、ひと夏、存分に竹は使えるからだ。

 で、それを聞いたクリスは、「あたしもっっ、うちも参加っっ。」 てなことになって、余計に大所帯になるが、心配無用だ。プールは、借り切るつもりだから、多少増えても、どうということはない。

「ライル、刹那と水着買って来いよ? 」

 初参加のライルと大きく成長しちゃった刹那は、水着がないから、買いに行かせた。フェルトは、すでに準備しているから大丈夫だ、と、思ってたら、一人忘れていた。

「ニール、ティエリアの水着は? 」

「あ? ああっっ、忘れてた。」

 うっかりしていたが、ミニサイズのティエリアの水着なんて用意もしていない。明日にでも買いに行こう、と、フェルトと約束した。慌てなくても、歌姫が戻るのは六日後だ。同じ自家用機で、アレルヤも帰って来る。プールは、それからのことになるはずだからだ。


「ティエリア、ほら食わせてやるから、こっち向け。」

「やらぁーおりぃはじぶんでできりゅ。」

 ミニサイズティエリアの世話は、ニールの担当になっているのだが、刹那は、それが不満だ。なぜ、ティエリアばかり構うのだ、俺も構え、と、言いたいらしい。昼飯に、麦トロごはんを準備したら、ティエリアは食べづらそうに、もっちやらもっちゃらとしている。小さなスプーンで掬うには、とろろは切れてくれないのだ。見かねて、ニールが、箸とスプーンで食べさせているのだが、ティエリアは、ぶーぶーと不満を漏らしつつ、大人しく食べさせて貰っている。焼きサバの身をほぐして、とろろごはんと共に、ティエリアの口に放り込んでしまうと、日頃は、魚など食わず嫌いのティエリアでも、もぎゅもぎゅと食べてしまうのがおかしい。

「もう、やらあー」

「うん、じゃあ、あとひとくちだけな? はい、おりこうさん。」

 よしよしと頭を撫でて、口元を拭っているニールというのは、どこをどう見てもおかんだ、と、思う。そして、無言で差し出された坊主の茶碗を、こちらも無言で引き取り、麦めしをよそい、とろろをかけて返す。

「刹那? おかわりは? 」

「ああ。」

 もちろん、茶碗を空にしているのだって見逃さない。刹那と悟空の茶碗にも、同様によそって手渡す。

「これ、あっさりしてて食べ易いよ。」

 ようやく和食生活に慣れてきたライルも、麦トロは気にいったらしい。暑さで、どうしても熱々のごはんは食欲が湧かない。だから、冷たくしたとろろをかけて、きゅうりや白瓜、なす浅漬けや、わかめの酢の物なんていうおかずで、食事すれば栄養的にもいい感じだ。

「冷たいドリアって感じかなあ。あっさりしてるけど、とろろは栄養価が高いんだよ。おかわりは? ライル。」

「半分くらい。」

 てきぱきとライルの分も入れて返す。そして、ニールも、自分の分に手をつける。これから、ようやく自分の分に取り掛かる。

「それで、いつからなんですか? 」

「来週。プールの後だ。・・・・・間男に連絡しとけ。」


 本山への出張の時は、ニールが寺の留守を預かるのだが、一人では何かと余計なことをしでかすので、ハイネが監視役として居候することになっている。そして、夏休みだから、これに、シンとレイも参加するから、三蔵たちが留守でも、静かというわけではない。

「はいはい、じゃあ、正装をクリーニングに出します。」

「ああ、そうしてくれ。」

 ニールが嫁入りする前は、悟空が、正装の白袈裟が茶色くなる頃に、クリーニングに出していたが、今では、ぱりっとした白袈裟を常時準備している。出張なら、正装用を二着は持参するから、それまでに綺麗にしておくのだ。

「それから、あれ・・・・・宅急便してくれるか? 」

「はいはい。いくつ? 」

「二ケースと3カートン、それから、二本だな。」

「先に、荷物と一緒に送っておきます。」

 さらに、長期出張だから着替えなんかも宅急便で送るということになっている。宗教界の荷物だからなのか、ほとんどノーチェックなので、酒だのビールだのタバコだのも一緒に送っておくことになっている。さすがに、現地には焼酎はいいものがないらしい。

「しゃんじょーは、どこへいくにょら?ごくー」

「親父は本山で仕事だ。俺も一緒に行くんだ。」

「しょうか。」

「もしかしたら、入れ替わりになっちまうかもな? 刹那。」

 刹那たちは梅雨前から滞在している。いつも、二ヶ月ぐらいで、休暇は終わるから、今回は行き違いになるかな? と、悟空は思っている。

「ああ、そうだな。ティエリアたちが、ヴェーダへ戻るなら、俺たちも一度、組織へ戻ったほうがいいだろう。フェルトは、もう少し遊んでいろ。」

 マイスター組リーダーとしては、まず、組織のほうへ戻るのは、自分だ、と、考えていた。エターナルが離陸する時に便乗したほうが、都合がいい。だが、いきなり全員が引き上げたら、親猫が寂しがるだろうから、後から降りて来たフェルトだけは残しておくつもりだ。

「うん、八月一杯は、こっちにいるつもり。スメラギさんからも、そう言われてるんだ。」

 そして、フェルトが帰る頃に、もう一度、今度は以前の姿になったティエリアが降りてくるつもりだ。キラとヴェーダについての打ち合わせをするためだ。さすがに、このたどたどしい言葉では、打ち合わせが大変だから、延期したのだ。

「兄さん、俺、たぶん、冬前に一度、降りてくるよ? 」

 で、ティエリアが帰って、少しすると、今度はライルが降りてくる。用件は、まあ、いろいろと後付けすればいい。とりあえず、ニールを治療できるまでは、そういう形で誰かが側にいることになった。

「ああ、いつでも帰ってくればいいよ。」

 意図に気付かないニールは、にこにこと微笑んでいる。それを見て、三蔵も悟空も苦笑する。

「ニール、俺は帰るまでにデートを希望する。」

 突然に、刹那が言う。相変わらずストレートだ。

「はい? 」

「あんた、ティエリアとフェルトばかり構って、俺は蔑ろにされている。待遇の改善を要求する。」

「おまえにはライルがいるだろ? 」

「これは嫁だ。おかんとデートしたいっっ。」

「ほらね? ニール。刹那は、やっぱりでしょ? 」