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ひたぎブラシ

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「やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!」
僕こと、阿良々木暦は慌てている。
遅く起きる朝は、気持ち良いものだが、遅刻する朝は、気持ち悪い。
遅く起きるという行為は、同じなのに、似て非なるものだ。

今日は、戦場ヶ原とデートだ。
だがしかし、僕は寝坊してしまったのだ。
だから今こうして、やばいやばいやばいやばいと口に出して、あたふたしているのである。
戦場ヶ原には既に待ち合わせ場所に待ち合わせの時間に遅れる旨のメールをした。
返信は、無い。
だから、やばいのだ。
怒っているのだろう。
それはそうだ。
楽しみにしていた、遊園地の新アトラクションが今日オープンな上に久しぶりの遠出のデートだから。
そして、浮かれるあまり、色々と調べ過ぎてしまったので、寝るのが遅かった。
それが、僕が寝坊した大きな要因だ。
浮かれるのも当然だが、少し大人になるべきだった。
とか、言ってるが、実際の所、大人になるというのは、どう解釈すればいいのか分からないが。
そう反省しながら、服を着替え、歯を磨く為に洗面所へ。

そこで、メールの着信音が。
「戦場ヶ原?」
洗面所に向かいながら、メールの中を見てみる。
”おはよう、阿良々々木くん”
怒ってる!怒ってます!戦場ヶ原さん!!
”昨日は、夜遅くまで電話してたから、無理ないわね、ごめんなさい。”
”集合場所は変えましょう。私が阿良々々木くんの家に向かうわ。”
えっ?今から家に来るのか?

洗面所について、歯を磨こうと、歯ブラシ、歯磨き粉、コップと所謂、歯磨きセットを手にした時に、またメールが。
戦場ヶ原からだ。
”私、戦場ヶ原。今、あなたの家の前にいるの。”
怖い!何時にも増して怖い!
だが、かろうじて電話で無かったのが、不幸中の幸いだ。
洗面所の鏡越しに、戦場ヶ原の姿は映っていないことが確認出来る。
くそ、戦場ヶ原の奴、1通目のメールを僕ん家に向かってる最中に作成したな。
待ち合わせ場所から、僕の家までは歩いて、10分程度はかかるぞ。
それを2通目のメールに上手く合わせるようにしたのだから、相当怒ってるに違いない。
かといって、我が家に来てもらってるのに開けるわけにもいかないだろう。
ましてや、彼女なのだから。
僕は洗面所を離れて、玄関へ向かった。

――ガチャ――

とか思いつつも、恐る恐るドアを開けてしまう自分がどうにも情けなかった。
「戦場ヶ原、さん?」
「おはよう、阿良々木くん。どうしたの?そんなに慎重になった素振りをして。」
ドアの前に、凛として戦場ヶ原が立っていた。
インターホンは押していない、「々」は引いている。
怒っているのか、いないのか分からない。
だが、大抵の人は、恋人同士であろうと、家族同士であろうと、友達同士であろうと、怒るのは当たり前だろう。
「いやぁ、ごめん、本当に申し訳、ない・・・」
「いいのよ。メールでも伝えたけど、昨日は遅くまで電話してしまったのだから。」
「直ぐに支度してくるから、中に入って待っててくれ。」
「じゃあ、お邪魔するわ。」
戦場ヶ原を自宅の玄関に案内した。

今日に限って、家族が不在だったのは幸運だ。
火憐ちゃんや月火ちゃんに見つかったら、もっと面倒な事になってただろう。
「あら?阿良々木くん、その手に持ってるのは、何?」
「え?ああ、歯ブラシ、だけど・・・」
そうだ。
歯を磨こうとした所で、メールが来たんだった。
「ちゃんと、気を使ってくれてるのね、嬉しいわ。」
「気を使うも何も、僕は毎朝歯を磨いてるぞ。」
「そうなの?てっきり私と久しぶりのデートにかこつけて、濃厚なチューをするから、歯を磨いてくれるのだと思ってたわ。」
「変な思い込みはやめろ!」
とは言いつつも、戦場ヶ原と付き合うようになってからは、やはり意識して、磨くようになったりはしているが・・・
「ちなみに私は、朝と晩、ご飯を食べた後に歯を磨くわ。さすがにお昼後までは手が回らないのだけど。」
「学校にまで歯磨きセット持ってくる奴なんて、まぁ居ないからなぁ。というか、朝と晩だけで充分じゃないか。」
「阿良々木くんの事だから、今度からお昼直後の私にキスを迫ってくるのでしょうね、なんて。」
「僕は、何処まで落ちていくんだ!そんなことより、早く磨かないと。これ以上、戦場ヶ原を待たせるわけにはいかないよ。」
「待って、阿良々木くん。」
僕が、洗面所に行こうとしたら、戦場ヶ原が引き止めた。
「ん?」
「私が磨いてあげるわ。」
・・・え?

「今、何とおっしゃいました、戦場ヶ原さん?」
「だから、私が歯を磨いてあげるわ、阿良々木くんの。」
「えええ!」
「驚きすぎよ。まぁ、これは、一種のゲームだわ。」
「ゲーム?」
「やっぱり、遅刻するのは、良くないことだけれど、それはしょうがないことだと思うの。ただ、多少なりとも、怒ってしまう自分が居るの。情けないのだけれど。」
やっぱり、怒っていたんだ。
当たり前と言えば、当たり前か。
「それが良いのか悪いのか分からないから、ゲームで善し悪し決めましょう、阿良々木くん。」
「で、そのゲームの内容は?」
「私の歯磨きに5分耐えられたら―」
神原!お前ぇー!!何か、もう、色々と提唱しすぎだ、あいつは!!

そう、つい先日、僕が火憐ちゃんにしてあげた、あれだ。
それを今度は、僕がしてやられるのだ。
火憐ちゃんがああなってしまったのだ、僕がどうなるか明白だろう。
だがしかし、ここで拒否しては、遅刻してしまった僕は、どうしようもなく最低な奴になるだろう。
断るどころか、お引き受けするのだ。
5分耐えるのだ、それで、戦場ヶ原に許してもらえる、機嫌を戻してくれるのなら、僕はそれに縋りつく。
「あら?お水が入っていないわね。」
戦場ヶ原が僕が持っていた、コップを覗きこんでいた。
「ああ、じゃあ、今から水を入れてくるよ。」
「いいわ。私の水があるから、それを使いましょう。」
そう言って戦場ヶ原は、バッグからペットボトルの水を取り出した。
しかも、飲みかけだ。
その水をコップに注ぎ、シューズボックスの上に置いて、余った水の入ったペットボトルは鞄に戻した。
そして、貸してと促されたので、歯ブラシと歯磨き粉を戦場ヶ原に渡す。
そして、僕は、玄関で正座をしたのだ。
今、僕はまさにご主人の、否、ご主人さまがお帰りなったのを待ちわびて、玄関先で礼儀正しく座っている犬みたいな存在だ。

「阿良々木くん。何か膝に敷かないと汚れてしまうかもしれないわ。」
「え?ああ、じゃあ、僕の上着を使うよ。」
そう言って、僕は上着を脱ぎ、広げるようにして、上着を自分の膝に掛けた。
戦場ヶ原は、ヒールを履いたまま、僕から受け取った歯ブラシに歯磨き粉を付けて、僕の前にしゃがんだ。
「それじゃあ、阿良々木くん。あーん。」
「あ、あーん。」
戦場ヶ原の顔が近い・・・近いのは平気だが、戦場ヶ原との、このようなシチュエーションには慣れていない。慣れない。いや、成ったことが無いか。
なので、目を瞑る///
「あら・・・」
「うん???」
戦場ヶ原の疑問符が。
「いえ、奥まで丸見えよ、阿良々木くん。」
「がはっ!」
「どうしたの?まだ、何もしてないわよ?」
作品名:ひたぎブラシ 作家名:マッキー