こらぼでほすと デート2
ファミレスで食事して、食後のコーヒーを飲みながら、大きな窓の外へ視線を移した。まだ、雨は降っている。俺の嫁なら、すかさず、ここで一服するわけだが、保護者はタバコはやらない。
「夜は、もうちょっとマシなもんにしような。」
「美味かっただろ? 」
「美味いけど、デートなんだから、いつもよりいいもん食うもんだぞ。・・・・おまえ、ライルとデートしても、こんなことなのか? 」
「あいつは、勝手に探してくるから、値段とかは、よくわからない。」
嫁のほうは、食べたいものを、ちゃんと主張するので、それに従う形になる。味は良いと思うが、それが、どういう種類のものなのかは、よくわからない。一応、説明はしてくれるのだが、専門用語が多すぎて理解できないのだ。
「うん、まあ、あいつは、商社で働いていたからさ。俺なんかより、そういうの詳しいだろうからな。」
保護者と俺は、テロリストという普通ではない仕事だから、どうしても、生活全般の知識としては、おざなりだ。保護者のほうは、まだ、多少の知識はあるらしいが、俺のほうは壊滅状態と言ってもいい。
それなのに、この保護者は、必ず、俺の希望を尋ねる。尋ねられても答えられないのに、そういうことをする。
「あんたは、食べたいものはないのか? 夜は、それにすればいい。」
「刹那が食べたいものでいいよ。希望はない。」
カジュアルな格好だから、本格的なレストランだとドレスコードにひっかかるだろうから、それは、なしだぞ? と、付け足された。
「堅苦しいものは苦手だ。・・・それより、クスリを飲め。」
胸ポケットに入れていたクスリを取り出して、突きつけたら、嫌そうな顔をされた。わざと忘れたフリをしていたので、ティエリアから預かってきたものだ。
「それな、眠くなるんだ。だから、今日はスルーさせてくれ。」
「寝ればいいだろう。移動中は、あんたはすることがあるわけじゃない。寝てればいい。」
片道四時間もかかっている。これから、戻るにも、四時間かかる。だから、移動中に寝ていればいいだけだ。渋々、保護者はクスリを受け取って飲んだ。
「二時間ごとに休憩しろよ? それから、目的地に着いても俺が寝こけてたら、放置していいからな。迷子になったら、GPS検索すれば、場所の特定はできるから、それから・・・・」
「うるさい。あんたは、寝てろ。俺は、そういう知識はあるから、問題ない。」
一人で世界を放浪していた人間に言うことじゃないだろう、と、呆れつつ、クルマを走らせた。目的地は、これといってない。北へは行き着いたので、戻るために南に進路を変える。しばらくして、気付いたら、保護者は寝ていた。
言い付け通り、二時間走らせて休憩したが、保護者は寝ている。遠距離の移動はできないと言われているから、疲れたのだろう。それなら、帰ったほうがいい。無理をさせたいわけではない。一緒に、海は見たので、目的としては達成したからだ。
それなのに、目が覚めた保護者は、味気ないと文句を言った。
「ドライブして、ファミレスでメシ食って、それだけって・・・・おまえさんさ、それは、あまりにも味気ないだろ? 」
「だが、俺がやりたかったのは、それだけだ。」
「もうちょっとさ、買い物するとか、美味いもん食うとか、そういうのも必要じゃないか? 」
「買い物は、面倒だから遠慮する。そういうのは、フェルトかアレルヤと行け。メシは、また、どこかで食べればいいだろう。」
こちらに滞在している時は、保護者が用意したものを着たり食べたりしているので、自分で買ったことは、ほとんどない。宇宙では、制服があるし、食事もきちんと支給されるから必要でもない。買いたいものなんてないし、大概は、先に保護者が用意してくれるから、買い物をするというのが、非常に面倒だ。だが、保護者は、ニッと笑って、意外なことを言い出した。
「エクシアのプラモでも買うか? 」
「はあ? 」
「おまえは知らないだろうけど、売ってるんだよ。結構、精巧なやつでさ。アロウズのもあるぜ。」
玩具会社が、報道されている映像から、その形を解析して、プラモデルにしているらしい。さすがに、イノベイドのものはないだろうが、アロウズのものは、公式発表されているので、形も完璧だったと保護者が教えてくれた。
「ダブルオーもあるのか? 」
「うーん、どうだろうなあ。この前、見た時は、エクシアクラスしかなかったけど。」
五年前の機体は、揃っていたよ、と、言うので、興味が湧いた。そういうものなら見てみたいと思った。保護者は、俺が興味を示したので、「よし、きた。」と、ナビシステムで、近くの店を検索した。
「まだ開いてるから、行ってみようぜ。」
高速道路を途中で降りて、ナビシステムが示した大きな玩具専門店へと向かった。プラモデルの売り場へ直行したら、そこには、エクシアやデュナメス、キュリオス、ヴァーチェが揃っていた。さすがに、最新鋭機はなかったが、それでも、まじまじと、その箱のイラストを眺めた。プラモデルというのは組立てて飾るものであるらしい。俺が、そこから動かないので、売り場を一周してきた保護者は、大笑いした。
「全種類買おうか? トレミーもあるし、なかなか面白いな?」
一番精巧で大きなものを買うことにした、他にも、ユニオンやAEUのも揃っていたので、それらも買う。二人して両手一杯になった荷物を運び、レジを済ませた。とりあえず、それをクルマに運び込んだが、もう一度、と、保護者は売り場へ戻る。もういいだろうと思ったら、「いいもんがあったんだ。」 と、それを手にしていた。
「なんだ? これは。」
「ヘリウムガスを入れたら、ぷかぷかと浮くんだとよ。これ、よくないか? フェルトとティエリアが喜びそうだろ。」
「土産か? 一日の外出で、土産は必要ないだろ? 」
「まあ、そう言いなさんな。こういうのは、見つけた時が買い時なんだ。」
リアルな海洋生物の風船のパッケージを、これまた全種類、そして、それを膨らませるのに必要なヘリウムガスのボンベも買った。これで、後部座席は荷物だらけだ。
「あんたは? 」
けど、買ったのは、俺のものと、土産だ。保護者は、何も買っていない。ぶらぶらと、他も探せばいいだろうと言ったのだが、苦笑された。
「俺は、こういうので遊ぶ年齢は卒業してるからなあ。・・・・おまえこそ、ライルにはいいのかよ? 」
「必要ない。」
「なんか、お菓子でも買って帰るか? ここのショッピングモールは、でかいから、なんかあんだろ? 」
玩具専門店が入っているショッピングモールは、大きな施設で、他にもいろいろなものが売られている。
「俺が見繕ってくるから、おまえは、ここで、他のも見てるか? 欲しいのは、全部買っちまえ。」
プラモデルは、他にもいろいろとあって興味は尽きない。うん、と、頷いたら、じゃあ、行って来る、と、保護者はさっさと行ってしまった。
閉店時間近くまで、そこで買い物した。後部座席どころか、荷物置き場まで、満杯になるほど買い物をした。
「こういう買い物なら、楽しいだろ? 」
「ああ、楽しかった。あんたは、俺が興味をひきそうなものを、よく知っている。さすが、俺のおかんだ。」
「夜は、もうちょっとマシなもんにしような。」
「美味かっただろ? 」
「美味いけど、デートなんだから、いつもよりいいもん食うもんだぞ。・・・・おまえ、ライルとデートしても、こんなことなのか? 」
「あいつは、勝手に探してくるから、値段とかは、よくわからない。」
嫁のほうは、食べたいものを、ちゃんと主張するので、それに従う形になる。味は良いと思うが、それが、どういう種類のものなのかは、よくわからない。一応、説明はしてくれるのだが、専門用語が多すぎて理解できないのだ。
「うん、まあ、あいつは、商社で働いていたからさ。俺なんかより、そういうの詳しいだろうからな。」
保護者と俺は、テロリストという普通ではない仕事だから、どうしても、生活全般の知識としては、おざなりだ。保護者のほうは、まだ、多少の知識はあるらしいが、俺のほうは壊滅状態と言ってもいい。
それなのに、この保護者は、必ず、俺の希望を尋ねる。尋ねられても答えられないのに、そういうことをする。
「あんたは、食べたいものはないのか? 夜は、それにすればいい。」
「刹那が食べたいものでいいよ。希望はない。」
カジュアルな格好だから、本格的なレストランだとドレスコードにひっかかるだろうから、それは、なしだぞ? と、付け足された。
「堅苦しいものは苦手だ。・・・それより、クスリを飲め。」
胸ポケットに入れていたクスリを取り出して、突きつけたら、嫌そうな顔をされた。わざと忘れたフリをしていたので、ティエリアから預かってきたものだ。
「それな、眠くなるんだ。だから、今日はスルーさせてくれ。」
「寝ればいいだろう。移動中は、あんたはすることがあるわけじゃない。寝てればいい。」
片道四時間もかかっている。これから、戻るにも、四時間かかる。だから、移動中に寝ていればいいだけだ。渋々、保護者はクスリを受け取って飲んだ。
「二時間ごとに休憩しろよ? それから、目的地に着いても俺が寝こけてたら、放置していいからな。迷子になったら、GPS検索すれば、場所の特定はできるから、それから・・・・」
「うるさい。あんたは、寝てろ。俺は、そういう知識はあるから、問題ない。」
一人で世界を放浪していた人間に言うことじゃないだろう、と、呆れつつ、クルマを走らせた。目的地は、これといってない。北へは行き着いたので、戻るために南に進路を変える。しばらくして、気付いたら、保護者は寝ていた。
言い付け通り、二時間走らせて休憩したが、保護者は寝ている。遠距離の移動はできないと言われているから、疲れたのだろう。それなら、帰ったほうがいい。無理をさせたいわけではない。一緒に、海は見たので、目的としては達成したからだ。
それなのに、目が覚めた保護者は、味気ないと文句を言った。
「ドライブして、ファミレスでメシ食って、それだけって・・・・おまえさんさ、それは、あまりにも味気ないだろ? 」
「だが、俺がやりたかったのは、それだけだ。」
「もうちょっとさ、買い物するとか、美味いもん食うとか、そういうのも必要じゃないか? 」
「買い物は、面倒だから遠慮する。そういうのは、フェルトかアレルヤと行け。メシは、また、どこかで食べればいいだろう。」
こちらに滞在している時は、保護者が用意したものを着たり食べたりしているので、自分で買ったことは、ほとんどない。宇宙では、制服があるし、食事もきちんと支給されるから必要でもない。買いたいものなんてないし、大概は、先に保護者が用意してくれるから、買い物をするというのが、非常に面倒だ。だが、保護者は、ニッと笑って、意外なことを言い出した。
「エクシアのプラモでも買うか? 」
「はあ? 」
「おまえは知らないだろうけど、売ってるんだよ。結構、精巧なやつでさ。アロウズのもあるぜ。」
玩具会社が、報道されている映像から、その形を解析して、プラモデルにしているらしい。さすがに、イノベイドのものはないだろうが、アロウズのものは、公式発表されているので、形も完璧だったと保護者が教えてくれた。
「ダブルオーもあるのか? 」
「うーん、どうだろうなあ。この前、見た時は、エクシアクラスしかなかったけど。」
五年前の機体は、揃っていたよ、と、言うので、興味が湧いた。そういうものなら見てみたいと思った。保護者は、俺が興味を示したので、「よし、きた。」と、ナビシステムで、近くの店を検索した。
「まだ開いてるから、行ってみようぜ。」
高速道路を途中で降りて、ナビシステムが示した大きな玩具専門店へと向かった。プラモデルの売り場へ直行したら、そこには、エクシアやデュナメス、キュリオス、ヴァーチェが揃っていた。さすがに、最新鋭機はなかったが、それでも、まじまじと、その箱のイラストを眺めた。プラモデルというのは組立てて飾るものであるらしい。俺が、そこから動かないので、売り場を一周してきた保護者は、大笑いした。
「全種類買おうか? トレミーもあるし、なかなか面白いな?」
一番精巧で大きなものを買うことにした、他にも、ユニオンやAEUのも揃っていたので、それらも買う。二人して両手一杯になった荷物を運び、レジを済ませた。とりあえず、それをクルマに運び込んだが、もう一度、と、保護者は売り場へ戻る。もういいだろうと思ったら、「いいもんがあったんだ。」 と、それを手にしていた。
「なんだ? これは。」
「ヘリウムガスを入れたら、ぷかぷかと浮くんだとよ。これ、よくないか? フェルトとティエリアが喜びそうだろ。」
「土産か? 一日の外出で、土産は必要ないだろ? 」
「まあ、そう言いなさんな。こういうのは、見つけた時が買い時なんだ。」
リアルな海洋生物の風船のパッケージを、これまた全種類、そして、それを膨らませるのに必要なヘリウムガスのボンベも買った。これで、後部座席は荷物だらけだ。
「あんたは? 」
けど、買ったのは、俺のものと、土産だ。保護者は、何も買っていない。ぶらぶらと、他も探せばいいだろうと言ったのだが、苦笑された。
「俺は、こういうので遊ぶ年齢は卒業してるからなあ。・・・・おまえこそ、ライルにはいいのかよ? 」
「必要ない。」
「なんか、お菓子でも買って帰るか? ここのショッピングモールは、でかいから、なんかあんだろ? 」
玩具専門店が入っているショッピングモールは、大きな施設で、他にもいろいろなものが売られている。
「俺が見繕ってくるから、おまえは、ここで、他のも見てるか? 欲しいのは、全部買っちまえ。」
プラモデルは、他にもいろいろとあって興味は尽きない。うん、と、頷いたら、じゃあ、行って来る、と、保護者はさっさと行ってしまった。
閉店時間近くまで、そこで買い物した。後部座席どころか、荷物置き場まで、満杯になるほど買い物をした。
「こういう買い物なら、楽しいだろ? 」
「ああ、楽しかった。あんたは、俺が興味をひきそうなものを、よく知っている。さすが、俺のおかんだ。」
作品名:こらぼでほすと デート2 作家名:篠義