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その獅子を喰らう獣の名を夜は知らない

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 ハイリスクハイリターンな賭け。もちろんサタンの子供を孕むことになった己の部下に対する何らかの感情もあったのだろうが…、それだけで踏み切れるものではないだろう。
 しばらく考え込んだ後、ややあって獅郎は至極真面目な面持ちで振り返った。
そして、
「マタタビ酒」
至極真面目に言い放った。
「は?」
 意味不明な言動に、流石のメフィストも面喰らう。
「サタンの子供…つーか、燐はマタタビ酒みたいなもんだな」
「いよいよ理解不能ですよ、獅郎」
「今はまだ未熟だが、アイツはそのうちすっげぇ面白いヤツになる。つーか、する」
 決意に満ちた男らしい表情に胸がざわりと騒ぐ。
「お前をアッシャーに縫いとめるような、そんなヤツにな」
 続く言葉に冷たい心臓を握りつぶされるような苦い感情を味わう。
 メフィストの想いなど全てお見通しということなのだろう。
 いずれ訪れる自分の運命さえも…。
「ネコなどと一緒にしないでください」
 己の矜持を崩さずに言えることなど今のメフィストにはこの程度だった。それが歯痒い。
 そんなメフィストに苦笑を浮かべると、獅郎は指先だけでこいこいと呼び寄せる。横柄なその態度が腹立たしいのも事実なのに、素直に従ってしまう。
 椅子から立ち上がり、部屋のすみの獅郎の傍らにしゃがみこむと、脇からぎゅっと抱き寄せられた。丁度獅郎の膝に頭を預けるような大勢に、何百年も生きてきた悪魔は些かプライドを傷つけられる。これでは本当に猫のようではないか。
「お前は時々本当に抜けてるよな」
「重ね重ね失礼な男ですね、貴方は」
「分んねーならそれでいいさ」
 がしがしと頭を撫でられてどこか安心している自分に気づく。

同時にどうしようもなく泣きたくなった。