衝動SSまとめ(ヒロ清)
ヒロ←清
2012/3/9更新
先生の片思い。続き。
方言は標準語に変換済みです。
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高い壁は越えたいと思う。
越えたとききっと何かが待っている気がするから。
高い壁を越えた一歩と平たんな道を歩く一歩。
それは大きな違いがあるように俺は感じるんだ。
だから、たとえいくら時間をかけても越えられないものだろうが。
そこにあり続けて欲しいと思っていたんだ。
だが、その壁はもう崩れ始めた――
「俺さ・・好きな子出来た。」
「・・ぇ?」
「ねぇ先生、どうしたらいいと思う?」
「・・・あー・・そうだな、」
俺は壁が崩れようとしているのを見つめた。
そこから目を背けたい気持ちに駆られ、振り返ると…
そこには残酷な芽が生えていた。
俺はその芽に水をあげなきゃいけないようだ。
「先生モテたんだろ?」
「そんなことは・・ない。」
「珍しく控えめじゃん。」
「じゃあモテた。」
「ははっ何それ。」
モテないと言えば、水をあげる立場から開放されるかと思った。
俺は間違ってその小さな芽に墨でもかけてしまいそうだから。
でも・・・・
うん。
「告白はしたのか?」
――俺は無理矢理にでも、
「連絡先は?」
――その壁を、
「まず、一緒に過ごしてみろ。」
――越えたいんだ。
「今度のほら、祭りとか誘ってみたらどうだ?」
――だから・・・・・・
「協力してやるから。」
――お前を幸せにする。
「頑張れヒロ。」
「じゃあ先生また明日なっ。」
「おーう、気をつけて帰れよ。」
「ありがと。じゃっ」
ガラガラガラガラガラ―
ふぅ・・・・
・・・・・・・っ・・
ガラガラガラガラガラガラ―
「せんせーーーい、寂しかったか?」
「・・・なるか、ったく、もう遅い時間だぞ?」
「・・せんせい?」
「お前はいつもいつも、しょうがない奴だな。」
「・・せんせいそんなに寂しかったのか?」
「送ってやるから、待ってろ。」
「せんせい、なるが悪かった。よしよし・・」
「・・・・・・・。」
「もう寂しくさせないぞ。」
「・・・あーーーもう・・
ははっ・・寂しかったぞなる。お前のせいだ。」
「今回は謝ろう。」
「なぁ、ちょっと抱きしめてみたりしていいか?」
「今日だけ無料でいいだろう。」
「・・ははっサンキュなる。」
俺はその日、なるが寝てしまうまで抱きしめさせて貰った。
見栄をはっても、大丈夫だと思っても、涙は出るときは出るんだと知った。
なるがよしよしと撫でた手は小さいのに、とても大きく感じた。
いつもなら生意気だとイラつく言葉もなんだか笑えた。
ありがたいな・・・と思ったら、余計に涙が止まらなかった。
子供は温かい。
なるを布団に入れて、その横に俺も寝転がる。
なるの寝息が心地よい。
「寝てると可愛いよなお前。」
「あー目の周りがヒリヒリする。」
なる、俺に水をくれてありがとな。
これで俺は水をやれるよ。
あの小さな芽もいつか可愛いと思えるようになったらいいな――
翌朝、
「せんせいっ昨日泣いただろ!!!!」
「・・・なる!!???お前頭大丈夫か!!?」
「・・あれ?・・あれ??・・・」
「夢でも見たのか?」
「・・・・・夢か?」
「そうそう夢だ。」
「夢でもいいか、皆に話してくるっ!!」
「えっ!?ちょっ待てっっ・・・なるぅぅぅぅーーー!!!!!!!!
end
作品名:衝動SSまとめ(ヒロ清) 作家名:おこた