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らんぶーたん
らんぶーたん
novelistID. 3694
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小説インフィニットアンディスカバリー

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「私は王都に用はありませんよ、ユージン殿。もともと森の奥に庵を構えて隠棲していた身。王に心配していただけるのは光栄ですが、お断りさ――」
 不意にユージンの後ろにいた少年に目が止まり、ソレンスタムは言葉を飲んだ。容貌は光の英雄シグムントの生き写し。だが、雰囲気が全く違う。客室の豪華さに見とれて、ぼーっと周りを見ているしまりのない表情。およそ軍に似つかわしくないゆるい雰囲気。にもかかわらず……。
 そのとき、ソレンスタムの視界を現実とは別の映像が埋めた。“星読み”と呼ばれる所以、断片的に未来のイメージが映像となって浮かび上がる力が、その少年の姿に共鳴した。

 どこかの城。王がいるはずの謁見の間か。王はいない。赤い絨毯の上に、少年が頼りなげに立っている。シグムントではなく彼の方だ。そして絨毯の脇に立ち並ぶ神官たち。背中にはソレンスタムと同じ、月の力の結晶である光輪が浮かんでいる。その光輪が、消える。次々と消える。力を失った神官たちがバタバタと倒れ……。謁見の間で立っているのは少年一人になった。少年の表情はわからない。
 これはいったい……。

「ソレンスタム様?」
「ああ、すいません、ユージン殿。わかりました。同行させていただきます。久しぶりに蒼竜王のご尊顔を拝するのもいいでしょう」
「ありがとうございます。では早速」


「ねえあれって」
 立派な客室に見とれていたのもつかのま、その部屋の主らしき人を見つけたカペルは、思わずその人を指さしてしまった。翠色の長髪と幾重にも重ねられた白のローブは、学者然とした雰囲気ではあっても驚くほどではない。カペルが思わず指を指したのは、その背中に光る光輪のせいだ。
「指ささないの、失礼でしょ! あの方は“星読み”ソレンスタム様よ。ブルガスのハイネイルの中でも最も高名な方ね」
「僕、ハイネイルって初めて見たかも」
「月の力を最大限に受ける力を持った人たち、それがハイネイルよ。あの背中の光輪は月の力の結晶みたいなものね。だからほら、光輪と言っても三日月みたいな形をしてるでしょ?」
「ほんとだ」
「封印軍も無茶な扱いはしなかったみたいね。良かった」
 アーヤの言ったように、限定的な月印の能力しか持たない大多数の人、コモネイルに対し、ハイネイルというのは月の恩恵を最大限に受け、それを自在に制御する力を持った上位種族だ。全人口に占める割合はわずかなものだが、王族や貴族といった支配階級である場合がほとんどで、二重の意味で、カペルには最も縁遠い存在とも思えた。
「あなた、名前は?」
 ソレンスタムが、すれ違いざまにカペルに尋ねた。
「カペルです」
「そうですか、カペルくん。ブルガスまでよろしくお願いします」
「あっ、はい」
 ソレンスタムは微笑を返して、そのまま行ってしまった。