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こらぼでほすと プール1.5

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 紅の問題発言を、ハイネがさっくりと切り捨てた。そんなんじゃねぇーよっっ、と、紅は怒鳴るが、ダコスタが、「はいはい。興奮しないで。」 と、宥めている。

「ムウさんは、マリューさんがいるのに、浮気するよね? それと一緒ってこと? 」

「俺とも違うと思うけどな。・・・それに、俺は自分から口説いてないぞ。みんな、向こうからお誘いがあるから据え膳をいただいているだけだ。それに女性は、マリューだけだ。」

「それを、真面目に言えるあんたは、ほんと、ホストだよ、鷹さん。」

「虎さんに褒められると照れるなあ。」

 褒めてない、と、虎は苦笑するが、鷹がやってることが誠意がないと叱るつもりはない。スポーツ感覚でやる分には、そういうのもアリだと思うからだ。ライルが押して押して押し倒して、ついに陥とされた刹那としては、最初は、そういうもんだと思ったに違いない。だから、それをライルが、元カレにやったとしても、嫉妬する類のものではないのだろう。

「情操教育を誤った、と、ニールが嘆いていたけどね。」

 キラたちに新しい飲み物を運んで、トダカも苦笑している。

「まあ、早々、会える相手でもないし、のべつまくなしってことじゃなきゃいいんじゃないのか? 相手だって、元AEUの切れ者だ。CBとの関係を悪化させる真似はしないだろう。」

 片や、拠点が宇宙、片や、世界中を飛び回る生活という接点を作るのが難しい二人だ。しょっちゅう、浮気するのではないのは予想できる。

「そういえば、ハイネ。クラウスさんって、どういう人なんだ? 何か注意したほうがいいならレクチャーしておいてくれないか? 」

 カタロンのクラウス・グラードについての情報としては、あほライルの元カレということぐらいしか、こちらも把握していない。『吉祥富貴』のスタッフが話して、まずいことがあるなら、ここで教えてもらうほうが得策だと、アスランは提案した。

「クラウスか? 悪運アリまくりだな。暗殺対象になってたはずなのに、ここまで生きているんだからさ。・・・・AEU軍に居た時から、かなりカリスマ性はあったらしい。だから、彼に惚れこんで行動を共にした兵士は多かったんだ。それが、カタロンの戦力の一部になってる。俺が見た限りは、すっごくマトモな男だったぜ。・・・・・それに、切れ者さんなんだから、うちのことを知っても、それを悪用するような腹芸は使わないないだろうな。そうでなければ、オーナーも、俺らとの顔繋ぎなんてしないだろ?  そこいらの計算はできる男だ。そのまんまでいい。」

 ハイネは、ライルの元カレということが判明して、すぐに、その情報は集めた。刹那が、そういう外部からの圧力を受けるなら、オーナーに伝えて、どうにかするつもりだったからだ。だが、そういうことのできる性格じゃなさそうだと判って、放置していた。その報告はじじいーずにはしていたから、虎も頷いている。オーナーの目的は、ひとつだ。

「どっちかといえば、取り込む方向ってことだろ? 」

「正解。カタロンの情報網も使えれば、うちとしては有難いし、これから、あいつらは、表舞台で活動するからな。オーナーの動きと同調させれば、こちらの活動が楽になるってとこだと思う。・・・キラ、存分に遊んでいい。なんなら、悟空に投げさせろ。」

 こちらには、いろいろな種類の人間が居ることを印象付けるなら、悟空は強烈だ。

「了解。そっちは任せて。・・・でもね、ハイネ。僕は、やっぱりデートは反対だから、それは抗議してやめてもらう。」

「おう、やってやれ。ママが喜ぶぞ。」

「僕、ムウさんにも抗議したい。」

「俺は無理。おまえが、その誘いを片っ端から断ってくれたら、どうにかなる。」

「わかった。ムウさんが誘われたら、僕が断ってあげる。」

「よろしくな。」

 てんで、本気にしていない鷹は、へらへらと笑っている。そういう誘いなんてものは、わからないところでされるのだから、キラに察知されることはないからだ。



 門が閉まってたら、どうしよう、と、思いつつ、深夜近い時間にライルは寺へ戻って来た。軽く運動して、そのまま泊まれ、というクラウスの誘いは断った。

・・・・やっぱ、違うわ。もう、これは、仕方ないなあ・・・・・

 ニヤニヤと顔をニヤケさせつつ、山門の小さなほうの入り口を手で押すと開いていた。そこから、するりと入り、家のほうへ静かに入ると、居間に明りがあった。

・・・やべっっ。兄さん、起きてた?・・・・・・

 ゆっくりと居間に顔を覗かせたら、ダーリンと兄が深夜番組を眺めていた。足音で気付いていたのか、ふたりは、ライルのほうを見ていた。

「おかえり、ライル。」

 ふぁーっと欠伸して、兄は立ち上がり、テレビを消す。それから、玄関へ鍵を落としに行った。それを見送って、刹那が小声で、ライルを叱った。

「連絡しろ、と、言っただろ? 」

「帰ってくるつもりだったんだ。遅くなって、ごめん。・・・・てか、俺、もう刹那しかダメみたいだ。満足できなかったよ。」

 クラウスには悪いけどさ、と、ライルは正直に白状して、視線を流してから意味深に笑った。ふっと刹那も口元を歪めて頷く。うおっしゃーっっっ、と、ライルは内心で力拳を振り上げる。

 そこへ足音が近づいてきて、兄が廊下から声をかけてきた。

「じゃあ、おやすみ。お風呂冷えてないと思うから入れるぞ。」

 戻って来た兄は、そのまんま脇部屋のほうへ廊下を歩いていく。風呂場なら、片付けが楽だからいいなあーと思っていたら、刹那も、その後を追い駆けていく。

「え? ダーリン? 」

「ニールと寝る。おまえも来るなら来い。」

「はい? 」

 クラウスには通じた秋波は、刹那には通じない。ライルが笑ったから、釣られて笑っただけだったと気付いて、がっくりと肩を落とした。

「今、やりたい。」

 その背中に声をかけたが、返事はない。すでに、回廊へ歩き去っていたからだ。しくしくと泣き真似しつつ、同じように脇部屋に入ったら、同じ布団に兄とダーリンは横になっている。

「・・・ひどい・・・・刹那のほうが浮気してる・・・・」

「無茶言うな、ライル。ほら、刹那、ライルと一緒に寝てやんな。」

「やだっっ。ここで寝る。」

 クーラーが入っているから、この部屋は涼しい。ぴとっと刹那は、ニールにひっついて目を閉じる。

・・・・・これなら、帰ってこなくてもよかったんじゃない?・・・・

 パジャマに着替えて、となりの布団に入ろうとしたら、ニールが、こいこいと手招きする。

「チェンジしてやるから。」

「兄さーん、愛してるぅ。」

「そう言うんなら、もっと早く帰ってくれ。」

 よっこらしょっと、刹那の手を剥がして、ニールが起き上がって、ライルの布団に寝転ぶ。布団は二組だ。そして、ぴったりとくっつけられている。

・・・あ・・・ここでいい・・・・

 刹那とニールの間に、ライルは寝転び、へへへへ・・・っと、兄に笑う。

「なに?」

「いや、なんかいい感じ。」

「はいはい、おやすみ。」