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こらぼでほすと プール1.5

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 単なるフィクサーではないらしい。世界を平和にするという目的のバックアップを担当しているが、それは陰からこっそりで、表では、歌姫が活動している。もし、表では、どうにもならなかったら陰から、そのホストたちが動いて片付けているのだと思われた。カタロンも、肩を並べてくれ、ということだろう。

「カタロンが動き易くなるなら、俺も歓迎だ。・・・・さて、シャワーでも浴びてくるか。」

 自分の素性なんてものは、バレているから、歌姫は、カタロンとの繋がりも認めてくれているのだろう。

・・・・たぶん、オーナーも、兄さんを地上に繋ぎ止めたいんだろうな・・・・・

 何度か目にした光景で、兄が、『吉祥富貴』に溶け込んでいるのは、理解した。あの平和な光景を維持するためなら、オーナーも容赦はしないだろう。

「なあ、ライル。お兄さんは、実のところは誰と付き合っているんだ? 旦那さんだけじゃないのか? 」

 とても貞淑そうに見えたんだけどなーと、クラウスが呆れているので、ライルは、けけけけっと笑った。実際は、誰とも、そういう関係ではない。

「兄弟揃って淫乱だとでも言いたい? 」

「そうじゃない。」

「残念だけど、兄さんはノンケ。誰とも付き合ってない。精神的に旦那さんとが繋がりは強そうだけど、それだけだよ。俺は、バイだけどさ。」

 軽くストリップするみたいにシャツを脱ぎ捨てて、ちらりとクラウスを見る。刹那は、こんなことをしても、別に何も感じないが、クラウスは、ちゃんと反応する。

・・・・まあ、いい相手なんだけどさ。でも、刹那とするのとは違うんだよなー・・・・

 それまでは、セフレというのは便利で後腐れがなくていい、と、ライルも思っていたのだが、今は、本気で惚れた相手とセフレは違うということが解った。クラウスとの遊びは楽しいが、それだけだ。

「・・・・ライル、人妻の色気が増したな? 」

「そりゃもう、愛されているからさ。」

「元カレに惚気るのが、きみらしくていい。」

「人妻と浮気って燃えない? カモーン、クラウス。」

「お付き合いするよ。」

 どっちも、本気じゃないから、クラウスもライルの誘いには乗る。遊びの感覚だから、罪悪感はない。そのつもりで、刹那も送り出したのだから怒ることはないだろう。



 本日の『吉祥富貴』は開店休業状態。つまり、客がいない。こういう日もあるから、誰も焦ったりはしないで、のんびりとホールで雑談会になっている。

「オーナーから連絡があって、クラウス・グラードさんが飛び入り参加だそうです。・・・・この人って・・・・ロックオンの元カレでしたよね? 」

 ちょいと困惑気味に、八戒が、メールを読み上げる。なぜ、元カレが参加なんだ? と、思うからだ。

「もどきの元カレは、国際会議で特区に来てるからな。」

 情報通のハイネが、相手のことを説明する。ふうーんと、虎と鷹は、意味深な笑みを浮かべている。

「寺へ来たらしいよ、ハイネ。ライルとデートに出たそうだ。」

 アスランたちが戻った時には、寺に、ライルはいなかった。刹那が、「デートに出た。」 と、言っていたから、そういうことだろう。

「さすが、せつニャン、太っ腹だな。」

「僕は、あんまり関心しないけどねー。もう、刹那のものなんだから、他人とデートはダメだよ。」

 キラは、そこのところが納得できないと、チューとカシスソーダを飲みながら口にする。奥さんが、元カレとデートするのは、止めるべきだろうと思うのだ。

「いや、おまえさんとこみたいな熱愛新婚さんとかさ、悟浄のとこみたいな熟年熱愛夫夫なら、そうだけどな。それは、そこの夫夫それぞれのスタンスってのがあるからな。一概に、ダメってもんでもないと思うぜ、キラ。」

 それを実践しているような鷹は、くすりと笑いつつ反論する。

「おいおい、うちは、あんた・・・・そういうんじゃないぜ? 鷹さんよ。うちはかかあ天下なの。」

「ちょっと、悟浄、その発言も、どうなんですか? まるで、僕が恐妻みたいに聞こえるんですが? 」

「俺、そう言ったんですが? 」

「別に、浮気してくればいいですよ。」

 プンと八戒は、そう言って顔を背ける。その動作に、すでに、悟浄の目じりが下がっているのが、見た目にもオシドリ夫夫らしい遣り取りだ。

「いや、それがさ、八戒さん。あんたで、パワーを使い果たすから、浮気なんて、とてもとても・・・・・無理。」

 多少の悋気のある八戒と、それにベタ惚れしている悟浄には、浮気なんてものはない。これでいい、と、互いに決めてしまったので、わざわざ、違うものが欲しいとは思わない。

「僕も、アスランがいいな。」

「ありがとう、キラ。ますます、俺は努力するよ。」

 そして、アスランがいないと、どうにもならないキラと、そういうふうにしつけたアスランも、ニコリと笑って見詰め合う。この二組には、ライルと刹那のような関係というのは、できない相談だ。

「だから、おまえには無理だってだけだろ? キラ。せつニャンは、そういう意味の独占欲はないんだよ。それだけのことだ。」

 自分のものだとは思っているだろう。だが、相手を羽交い絞めにするつもりは、刹那にはないのだ。クラウスとやりたいならやってこい、と、いう発言は、そういう意味のものだと、鷹は感じる。

「まあ、なまじ、あのあほライルが遊び人だからなあ。そういう縛りはせんということだろうなあ。」

 しみじみと、虎も、そう意見する。

「刹那君は、どちらかといえば、ニールに対してのほうが独占欲がありますよね? 」

 ここ五年の親子猫の様子を見ていたダコスタとしては、感覚的には、そう見えた。ティエリアも、大概に親猫にべったりしていたが、刹那のは、もっとべったりだったからだ。なんせ、別荘にいる時は、確実に、同じベッドで眠っていたほどだ。

「そりゃそうだろう。せつニャンにとっちゃ、ニールはママなんだ。それもさ、一度、置き去り食らわせた困ったママなんだから。」

「じゃあ、刹那にとっては、ニールのほうが好きってことになるの? 」

 ハイネの言葉に、キラは首を傾げる。確かに、べったりしているが、そこに親子関係以外のものはない。独占欲となれば、それは恋愛の時に発生するものだと思う。

「違う違う。ママとして好きだろうけど、身体を繋げたいなんて思ってないって。それなら、とっくにそうなってたはずだ。」

「それに、ちびのママを見る目と、もどきを見る目は、明らかに違うぞ? キラ。」

 鷹と虎が、手を振って、それは否定した。それは有り得ないだろう。そういう欲に繋がっていたら、若い刹那が我慢するはずはない。

「けど、鷹さん、虎さん、ニールって色気はあるぜ? 」

 紅も、じじいーずの説明が、イマイチ理解できない。同性と、どうかなろうと積極的に思っていない紅だが、それでも、ニールにドキリとすることはある。ここ一年のニールの憂い顔なんて、なかなかそそるものだった。

「うわぁー紅。おまえ、年上好みだったのか? ママはやめとけ。予約殺到中だ。」