たんぽぽが似合う君
火のないところに煙は立たないとは良く言う。
では、何もないところで花が育たないとも言うのだろうか。
まあ、それはまた違ったことになるのだが、俺は思う。
何もしなくても花は自分で生きようと育っていく。
成し遂げようという意志を持って、もがく。
「すげえな、お前」
道端に見つけた、黄色い、ある小さな花に向けて言った。
こんないつ、誰かに踏まれてしまうような場所で生きていることに、俺は変に感動していた。
【たんぽぽが似合う君】
その日も俺は訓練が終わるとすぐにあの場所に向かった。
ずっと前に見つけた、俺だけが知っている場所だ。
訓練場を出て、一回りすると、ある場所で俺は足を止めた。
「お…今日も元気にいるな」
訓練場を囲んでいる何重にも積まれた人造石は隊員からの訓練衝撃に備えて防壁ように固く守りになっている。
特殊な作りなため雑草などが出るどころか余計な草木は一切生えてこない。点々と散らばっている緑が珍しいくらいだ。
だから、こんなところに一つ、たった一輪だけ咲いている花など誰も気がつかない。
「ほらよ」
だけど俺は気づいた。ふと目に入ったお日様のように明るい色をした小さな存在に。
「今日もいっぱい栄養吸って、また大きくなるんだぜコラ」
来る途中に手で汲んできた水を上から少しずつかけて、土に滲ませる。
最初こそ枯れてしまいそうだったその花は俺が何とか頑張って持ち堪えた。
それからこうやって、訓練が終えると此処に来て水を与えるのが日課になった。
誰にも気付かれないようにやってきて、無事かどうか毎日確かめているんだ。
どうしてこんなにもこの花に執着するのか、自分でも分からない。
だけど放っておけない。気になってしまうのだから仕方ない。
そう諦めて世話を続けていた。
では、何もないところで花が育たないとも言うのだろうか。
まあ、それはまた違ったことになるのだが、俺は思う。
何もしなくても花は自分で生きようと育っていく。
成し遂げようという意志を持って、もがく。
「すげえな、お前」
道端に見つけた、黄色い、ある小さな花に向けて言った。
こんないつ、誰かに踏まれてしまうような場所で生きていることに、俺は変に感動していた。
【たんぽぽが似合う君】
その日も俺は訓練が終わるとすぐにあの場所に向かった。
ずっと前に見つけた、俺だけが知っている場所だ。
訓練場を出て、一回りすると、ある場所で俺は足を止めた。
「お…今日も元気にいるな」
訓練場を囲んでいる何重にも積まれた人造石は隊員からの訓練衝撃に備えて防壁ように固く守りになっている。
特殊な作りなため雑草などが出るどころか余計な草木は一切生えてこない。点々と散らばっている緑が珍しいくらいだ。
だから、こんなところに一つ、たった一輪だけ咲いている花など誰も気がつかない。
「ほらよ」
だけど俺は気づいた。ふと目に入ったお日様のように明るい色をした小さな存在に。
「今日もいっぱい栄養吸って、また大きくなるんだぜコラ」
来る途中に手で汲んできた水を上から少しずつかけて、土に滲ませる。
最初こそ枯れてしまいそうだったその花は俺が何とか頑張って持ち堪えた。
それからこうやって、訓練が終えると此処に来て水を与えるのが日課になった。
誰にも気付かれないようにやってきて、無事かどうか毎日確かめているんだ。
どうしてこんなにもこの花に執着するのか、自分でも分からない。
だけど放っておけない。気になってしまうのだから仕方ない。
そう諦めて世話を続けていた。