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こらぼでほすと 夏休み1

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プールの後、店のほうで、さらに大騒ぎをして、その日はお開きになった。食事は、店のほうで食べて、ニールとフェルトとティエリアは、早々に帰宅したので、その後の騒ぎは知らない。

 歌姫様とキラが中心になって、マイスター組追い出しまでの数日に予定を目一杯詰め込んだ。どうせなんだから、夏を満喫するぞ、という企画で、年少組も参加の方向だが、悟空だけは、それから外れている。翌日から、坊主の付き添いで本山へ戻らないといけないからだ。どうせなら、騒ぎに参加して後から合流しろ、と、坊主は言ったのだが、この坊主、一人で書類仕事なんかさせると不機嫌極まりなくて、本山にある坊主の管理する寺院の人々に多大な迷惑がかかるので、そういうことはできない。

「今年から、いつだって遊べるんだ。別に、一回ぐらい不参加でもいいさ。それより、俺はさんぞーのほうが心配だかんな。」

 常識人って苦労するなあーと悟浄は泣き真似しつつ苦笑していたが、それが正しいので引き止めなかった。キラも悟空の言うことには反論しない。言いだしたら聞かないのは、キラと一緒だからだ。

「うん、次回、冬休みはフル参加してね? 悟空。」

 と、大明神様も頷いた。統合させていく間、マイスター組も機体のロールアウトするまで比較的時間はあるから、一回ぐらい抜けてもいい。

「その代わり、こいつらが帰って、俺が戻るまで、ママのほうは頼むぜ? キラ、ラクス。どうせ、弱るかんな。」

「ええ、そちらはお任せください。私が、寺に滞在して甘えておきます。」

 歌姫様も、今は、予定を詰めていないので時間がある。フェルトと一緒に寺で、のんびり庶民生活を楽しむつもりだ。マイスター組を追い出した後の打ち合わせが終わると、刹那とアレルヤが悟空にぺこりと頭を下げた。

「なんだよ? 刹那。」

「俺のおかんを世話してくれて礼を言う。おまえが、きちんと管理してくれたから、あいつは元気そうだ。」

「悟空、僕からもありがとう。ニールが、もっと大変なことになってると思ってた。でも、思ってたより元気そうで、きみが大切にしてくれてたのは、よくわかるよ? ほんと、ありがとう。」

 五年間、ニールの世話をしてくれたのは、メインは悟空だ。同居していたのだから、当人に不調を気付かせないように世話はしてくれたのだ。それについては、お礼を言うべきだと思っていたのだ。

「はははは・・・その代わり、俺はおまえらの分も世話してもらったからな。お互い様だ。」

 悟空のほうとしては、毎日、お弁当をして貰ったり、おやつを作ってもらったりで、甲斐甲斐しく世話されていたのだから、それぐらいは当たり前だと笑っている。無事でよかったというのが、正直な感想だ。刹那たちを無事に確保するために、キラは動いていたが、それだって確実というわけではない。万が一、何かあったら親猫も無事に済まないから、そっちのほうは心配していた。

「そういや、虎さん。青トリを刹那に返してやってよ。」

 思い出して、悟空が、虎にそう提案した。半年前まで、ニールの傍を飛んでいた青いトリィを、虎が封印した。それを見ている親猫が、ものすごい悲痛な顔をするので、これはまずいと取り上げたのだ。

「忘れてたな。近々、アイシャに寺へ届させておこう。」

 虎は苦笑して、そう約束した。うっかりしていたのだ。

「三蔵さん、俺、明日から間男業務強化するからな。」

 その話が一段落すると、ハイネが、三蔵に声をかける。カウンターで、だらだらと飲んでいた坊主は、おう、と手をあげて、それからハイネの顎を持ち上げる。

「じゃあ、今夜は、たっぷりな? 」

「・・えええ?・・・」

「忘れられない夜が欲しいんだろ? 」

 だらだら飲んでいた間に酔っ払っていたらしい。本気のいい声で、さらに紫紺の瞳に至近距離で睨まれるというダブルアタックは、相当効く代物だ。

「はいはい、さんぞーー。そこまでな。・・・・ハイネ、ママ、頼むぜ? 」

 悟空は、硬直したハイネの顎にかかっている坊主の手を外し、冷静に救出する。うわぁーやべぇーとハイネも後ずさる。

「おまえ、修行が足りないな? ハイネ。あれぐらいで固まってたら仕事にならんぞ?・・・・・ハイネ、俺と今夜どうだ?」

 そして、後退さったハイネの背中から、虎のいい声だ。こっちも破壊力は抜群だ。ひぃっと飛び上がって、ハイネが床に座りこむ。

「ママは、これぐらいだと、『俺には亭主がありますんで。』 と、切り返してくるぞ?」

 ニールも、数年で慣れた。鷹と虎のいい声も聞き慣れれば、それぐらいは可能になる。だから、そういう冗談ぐらいなら、ホストらしく返してくるようになっている。最初は、ハイネと同じ反応だったが、やられすぎて慣れたのだ。

「あはははは・・・・虎さん、そりゃ、あたしとマリューが散々に教育してやったお陰さ。ニールは口説きはしないけど、断るのは上手くなったさ。」

 ハイネの様子に、ヒルダが爆笑している。ニールに、そういう切り返し方を教えたのは、ヒルダとマリューだからだ。

「ハイネも教育してやってくれんか? ヒルダ、マリュー。」

「いやよ。ニールは可愛いから断り方を教えないと危なかったからだもの。ハイネは、危険なんてないもの。ねぇ? ヒルダ。」

 虎の依頼に、マリューが手を横に振る。

「まったくさね。悟空、あたしらも寺のほうへラクス様と滞在させて貰うから、ママのほうは任せておくれ。」

「うん、ヒルダさん、ヘルベルトさん、マーズさん、頼むな? 」

 一人遊ばれたハイネは、さらっと無視して、悟空に安心して出かけるように声をかけて、さらに騒ぎは盛り上がった。



 そして、翌日、坊主と悟空は本山へと出かけた。大物は先に送ってあるから、荷物も手荷物だけという軽装だ。見送りにエアポートまで行こうと思っていたら、「そんなしちめんどくせぇーことはいらん。」 と、坊主に一刀両断された。

「ママ、今日はナマケモノモードって言ったぜ? 」

 悟空も止めた。連日、外出なんてのは、親猫には無理だから、やんわりと止めた。

「じゃあ、門のとこまでな。刹那にエアポートまで送ってもらえよ? 悟空。」

 寺のほうに刹那が借りているクルマがあるから、それで送らせようとしたら、ハイネが顔を出した。今日から、ハイネが寺へ滞在する。三蔵たちが、本山へ戻る時は、ニールを一人で留守番させないために、そういうことになっている。

「ヴェステンフルスタクシーでーす。」

 門の前にクルマを止めて、そのまま送って行くと言うので、そちらに三蔵たちは乗り込むと、出かけてしまった。素っ気無いほどの出かけ方だが、毎度、こんなものだ。

「にぃーりゅー、にゃかにはいるにゃ。」

 ティエリアが、だらりと下がっていたニールの指を捕まえて引っ張る。フェルトも、逆の腕を掴んで、家へと導く。

「今日は、あたしがお昼作るね? 」

「洗濯は僕がやるからね? ニール。」

「いや、おまえらがゆっくりしろよ? せっかくの休みなんだからさ。」

「兄さん? 今日はナマケモノモードなんだろ? 」

「そうだ、ニール。退屈なら、俺のプラモ製作を鑑賞しろ。」
作品名:こらぼでほすと 夏休み1 作家名:篠義