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最高総司令官
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NANOHA “GREEED OF GREED”

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しかし、その外見は決して安心できそうなものではなかった。

銀色の髭に銀で紡がれていそうな服。簡易に表現するならば、全身を銀で覆ったような感じの爺さんだった。


「もう一度聞こう。貴様は何者だ・・・」


少年はそういうも、内心は冷や汗をかいていた。

理解したのだ。

『こいつには勝てない』

そう感じたのだ。


「そうじゃのう。わしに名はない。文明のある世界では、わしは死神と呼ばれておる」


「死神・・・だと・・・?」


「そうじゃ。単刀直入に言おう。お主は死んだ。仲間に殺されてな。ちなみにここは無間地獄と呼ばれる地獄の最下層のさらに下じゃ」


「・・・・・・・・・そうか」


自らを死神と呼ぶ者は、バッサリと言い捨てた。それに対し、少年は対して驚いていないようだった。


「ほぅ。君は暴れたりしないのか?」


「・・・・・・何故暴れる必要がある?既に死んでしまったこの身だ。今更暴れたところで何になる」


そういい捨て、少年はナイフを閉まった。

その言葉を聞いて、死神は顎を人差し指と親指で挟んで考え事を始めた。


(こやつ、相当肝が据わっておるのぅ・・・。どれ、少し探ってみるかの・・・)


「のぅ、少年」


「・・・なんだ」


死神は手を離して、少年に問いかけた。


「おぬし・・・。人生をやり直してみる気はないかの?」


「・・・じじぃ。外見はともかく、中身までイカレてんのか?」


「わしは至って真面目なんじゃがな。で、どうなんじゃ?」


少年は少し考えるようなそぶりを見せてからこう答えた。


「・・・そうだな。できることなら生き返って、『奴ら』への復讐を企てたい」


少年は拳を握り、歯を食い縛る。その様子からして、彼女らに対して相当の恨みを抱いている事が伺える。


「少年よ。すまんが、君の記憶を見せてくれんかの?」


「好きにしろ」


少年がそういうと同時に、死神は彼の頭に手を乗せる。


「ふむ・・・・・・・・・(むぅ・・・。こやつかなり、いや、莫大な数の修羅場を潜ってきておる。これだけの数の修羅場を潜ってきた者は神界でもそうはおらんじゃろう・・・。が、才能という才能がなく、結局は犬死か。・・・こんな奴が地獄行きになるとはな・・・・・・。やはり、こやつしかおらんな)」


そう思って、死神は手を離す。少年は不思議そうに顔を顰めていたが、死神はそれを無視して、話し始めた。


「少年。わしは君を蘇らせようと思う」


「・・・そうか。で?用件はなんだ?」


「用件とな?」


死神は少年の言葉に首をかしげ、少年は死神のその言葉に僅かながらに溜息を吐いて、こう切り替えした。


「惚けるな。死神と呼ばれている貴様が、そう安々と俺を蘇らせるとは思えない。俺に何かを頼みたいからだろ?お前と同じ『死神』の異名を持つ、世界からの溢れ者の俺に。大方、表沙汰には出来ないような・・・所謂、殺しか?それも、神々が関わっていそうな奴らを」


「!?」


死神は驚愕した。

その通りだからだ。死神はある『種族』を減らして欲しく、世界に嫌われ、死神が殺したがっていた『種族』に殺されし少年を使って、少しでも『種族』を減らそうと企てていたのだ。

しかも、復活させようとした理由も寸分違わなかった。

既に読者は察しているかも知れないが、彼には身内が居ない。

それだけではない。身内どころか、彼の身を案じてくれる人物すら居ないのだ。そこに目をつけた死神は、彼を利用しようと踏んだ。

が、それをほんの少しの会話だけで論破されたのだ。驚かない方がおかしい。


「その表情からして、どうやら真実みたいだな」


「・・・・・・」


少年は年相応とは思えぬ歪んだ笑みを浮かべる。それに対し死神は、ただただ黙るだけだった。


「・・・・・・沈黙は肯定と受け取るぞ。ついでに言っておくが、俺を蘇らせるに当たっては、条件がある」


「・・・条件じゃと?」


そして少年は、死神に対してある条件を提示した。それを聞いた死神は驚愕と共に納得した。それと同時に反対もした。

そんな事をしたら、君が君ではなくなってしまう、と。

が、少年は逆にこう答えた。


「奴らを見返してやれればそれでいいのさ。その為には、例え愚行といわれる行為もやってみる価値はある」


そう言う少年の目は濁り、そして何より絶望と狂気に染まっていた。


「・・・・・・よかろう。君の用件を飲もう」


「ふん・・・・・・。さっさと始めろ」


「では、まずは如何なる姿《・》になるつもりじゃ?」


そう言って死神は、いろいろな星が映し出された水晶体を出現させる。


「そうだな・・・。これとこの姿がいいな」


そういう少年の線の先には、赤を基調とした腕がプカプカ浮かんでいる映像と、上下3色に色分けされた戦士が映されている映像があった。


「よかろう」


死神がそういうと、水晶体が消え去り、代わりに死神の手には赤、黄、緑のメダルが各1枚ずつ握られており、反対の手には楕円形状の、3つの丸い窪みがある何かを持っていた。


「では逝くぞ。・・・次に会うときは、しっかりと使命を果たし終わった時かの?」


「あぁ。期待せず待ってろ」


「ふん。・・・では逝くぞ!!」


死神は持っていたメダル・・・『コアメダル』を少年に向かって投擲し、鷹が描かれたメダル・・・『タカ・コア』は、少年に当たると、弾かれずに飲み込まれるように体内に入り込んでいった。

ジャラララララララ

そして、その体は銀色のメダル・・・『セルメダル』に分解され、床に落ちる。


「・・・座標軸固定、目標時間、彼が死んだ直後。転送!」


すると、散乱したセルメダルの下に巨大な魔方陣が出現し、セルメダルとコアメダルは彼が殺された世界に転送される。寸前、死神は残ったコアメダルと窪みがあるもの、そして一枚の紙を一緒に転送させた。


「・・・・・・よし、転送完了じゃ。後は少年がやってくれるのを祈るまでじゃ」


死神はそうつぶやいて消えた。

~ミッドチルダ・廃棄区画~


廃棄区画・・・。管理局によって廃棄が確定している区画で、寂れたビルや高架が大破したまま残っている。

ここは、少年がレイと呼ばれる者に殺された、当にその場所である。

カァアアアアアア・・・

そこに、魔法陣と共に大量のセルメダルと3枚のコアメダルと何かが散らばる。

バチ・・・バチバチバチ!!

ジャラララララ

そして魔法陣が消えると同時に、タカのコアメダルが電気を発し、それを中心に、セルメダルが磁石に引き寄せられるに集まり、鳥を模した腕のような物が出現した。さらに、それを基点として、さらにセルメダルが集まっていき、殺されたはずの少年が出現した。その右腕には、先程の腕が装着(?)されていた。


「・・・・・・・・・メダルが足りない」


少年はそう呟くと、近くに落ちていた黄、緑のコアと楕円形の物、それと死神からの手紙を拾い上げ、手紙以外を腕の中に仕舞い、手紙を読み出した。


『名無き少年

こいつを呼んでおるということは、復活は成功したみたいじゃな。