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町内ライダー

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「へぇー、そんなに似てたんだ。あたしもちょっと見てみたかったな」
「真魚ちゃんはそうやって気楽に笑うけどさ、大変だったんだから。あれは似てるなんてもんじゃないよ、双子だよ双子」
 後日、ミルクディッパー。時間の空いた翔一は、真魚の買い物に付き合わされ荷物持ちを請け負い、買い物の合間の休憩にコーヒーを楽しんでいた。
「大体さ、北條さんが二人もいたら怖いじゃない、一人いたら沢山だよ」
「あはは、それはそうかも」
 うんざりした様子の翔一に、真魚はまた笑ってみせた。北條が二人並んでいるところを想像してしまったのだろう。
 午後一時を回って少し経つ。客足も落ち着いて、満席だった店内にはちらほらと空席が出来ていた。カウンターの中の良太郎と愛理も、ようやく一息つけたのか、二人で簡単な食事を摂っている様子だった。
 からん、と音が鳴って、ドアが開いた。いらっしゃいませ、という愛理の声。
「あら、コハナちゃんにナオミさん、こんにちは」
「こんにちは、遊びに来ちゃいました」
「どうぞどうぞ、いつでも大歓迎ですよ、今コーヒー淹れますから座って」
 愛理が嬉しそうに弾んだ声で対応する。知り合いなのだろう、良太郎もすぐ立ち上がり、二人の席を用意していた。
 入ってきた大人と子供、二人の女性客を見て、真魚がぽかんと口を開けた。
「どうしたの真魚ちゃ…………ええっ」
 二人――正確には、大人の方を見て、翔一も絶句し口をあんぐり開けた。少々成長してはいるが、真魚と同じ顔だった。
 成程、初めてこの店に入った時に良太郎が真魚を見て驚いていたのは、こういう訳だったのかと合点が行く。
 世の中には自分と同じ顔の人が三人はいるという。だけれどもここまで同じ顔の人が立て続けに、目の前に現れるのはおかしい。このそら恐ろしいほどの偶然が続いた事に翔一はただ、こういう事ってあるんだなと素直に深く驚いたのだった。
作品名:町内ライダー 作家名:パピコ