ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第2部
008話 正体と追跡とラトラーター
ザフィーラ「火野、お前は本当に純粋な、
『人間』なのか?」
映司は身体中の血の気が一気に引いた。
映司「な、なに言ってるんですか?ザフィーラさん」
ザフィーラ「とぼけるな、火野」
映司「ッ!?」
ザフィーラ「主や他の者達は感じられない『気』を私は感じることができる、…頼む、場合によっては、私は火野を拘束しなくてはいけない。私もそんなことは、…したくはない…。」
めったに表情を表さないザフィーラが、悲しげな顔をして、映司に問いただした。
少し時間がたち、映司は口を開いた。
映司「…わかりました。すべて話します。…俺の、身体のこと…。」
映司とザフィーラは、そのまま近くにあった公園に移動した。
映司「…ザフィーラさん、口で説明するより、直接見せたほうが早いので、その…見てて下さい。」
ザフィーラ「?、ああ…。」
映司「…、ハァァッ!」
ザフィーラ「ッ!?」
チャリリリリリリリリリンッ!
次の瞬間、映司の身体はオーズの時とはまた違った、異形の怪人の姿に変化した。
…そう、かつて『紫のメダル』の力でなってしまった、『グリード体』である。
ザフィーラ「…、なぁッ!?」
流石にザフィーラは驚きを隠せなかった。
映司グリード『これが、俺の正体です、…俺は、人間じゃ…ないんです』
…映司はザフィーラに全て話した。
映司は以前、ドクター真木との闘いで、コアメダルを身体に入れられてしまい、人間からグリードにさせられてしまった。そのため、映司は一時期、人間にある『五感』の機能がほぼ全て無くなってしまった。
だが、最終決戦にて、映司の体にあった『紫のメダル』は取り除かれ、時間がたつにつれて、五感の機能が少しずつ回復していった。
…しかし、グリードへの変身機能と、『味覚』と『色彩認識能力』は治ることは、なかったのだ…。
映司は人間体に戻っていた。
映司「今の俺は、『人間』でもなく『グリード』でもない存在…、今まで黙っていてすいませんでした…、でも!別に騙す気は…」
次の瞬間!ザフィーラは映司の胸ぐらを掴み、激怒した!!
ザフィーラ「この大馬鹿者ぉッ!!!なぜッ…なぜ今までそのような大事なことを黙っていたぁッ!!!!!」
映司は突然のことに、言葉もでなかった。
ザフィーラ「なぜ全て1人で抱え込むッ!!お前は我らがそこまで頼りなく見えるのかッ!!我らはッ!我らはッ!!
『仲間』であろうがぁッ!!!!!」
映司「ッ!!!!」
ザフィーラは優しく、映司の胸ぐらを離した。
ザフィーラ「火野、お前は1人ではない、お前の周りにはもう、シグナムやヴィータ、シャマルと、機動6課の人達に、…『我が主』がいるだろう、なにをそんなに、怖がっているのだ…?」
映司「…あ、あぁ…」
そのとたん、映司は膝をついて、泣き出してしまった…。
映司「おれぇ…怖かったんです…ヒグッ…また…何かを…グスッ…失う…気がして…う、うぁぁぁぁぁッ!!!!!」
ザフィーラは膝をつき、映司の肩を優しく叩き、笑顔で映司を泣き止ました。
数分後…
映司とザフィーラは、再び機動6課に向けて歩いていた。
映司「すいません、ザフィーラさん、さっきは…その…」
ザフィーラ「別に気にするな、火野」
映司「はい…それでなんですけど、ザフィーラさん…俺の身体のこと、もう少し皆に黙っていてくれませんか?」
ザフィーラ「…!?火野!これ以上 主 達を『わかっています!!』ッ!?」
映司「いずれ、その時がきたら、はやてちゃん達に、全て話すつもりです。それまで、お願いします!!」
映司はザフィーラに対して、深く頭を下げた。
ザフィーラ「…わかった、お前を信じよう、…さて、さっきのヤミーの件を急いで報告しなくては、いくぞ!火野!!」
映司「はい!ザフィーラさん!!」
映司(伊達さんや後藤さん、比奈ちゃんに言われたこと、また言われたなぁ…、俺も、もっと成長しなくちゃッ!!)
-ブリーフィングルーム-
はやて「なるほどな、今回は犬型のヤミーが表れて、ザフィーラを襲ってきたんか、けど変や、別に傷害事件の報告なんてきてへんなぁ」
映司「ヤミーは、『その速さをよこせ』って言っていたんだ、…もしかして人間じゃなくて、『別な何か』を襲っているんじゃないのかなぁ?」
はやて「う~ん、…そや!リィン!」
リィン「なんですか?はやてちゃん!」
はやて「管理局のデータベースから最近起こった変わった事件を検索してな!」
リィン「時間かかっちゃうけど、頑張るですぅ!」
シグナム「リィンフォース、私も手伝うぞ」
ヴィータ「映司とザフィーラのおかげで十分休めたし、体力はMAXだぜ!」
検索作業は翌朝まで続いたが、特に目立った事件は見当たらず、捜査は難航していた。
しかし、事件は起きた!
フェイト「キャアァァァァァァアッ!!!!!!」
はやて「な、なんや!!?」
映司「フェイトさんんんッ!?!?」
映司は一目散にフェイトの声がした所へ向かった。
はやて「こういう時だけ行動はやいんゃなぁ…。」
-機動6課 玄関前-
フェイト「あ、あぁ…!」
映司「どうしたんですか!?フェイトさんッ!?…ッ!?!?」
そこには、無残にエンジン部分を食い尽くされた、フェイトの車があった。
フェイト「ローンがあと数年あるのに…はは…ハハハハッ!!」
壊れかけているフェイトとは裏腹に、映司は真剣な目で車をみていた。
その場には はやて と ザフィーラも来ていた。
映司「これは間違いない…ヤミーの仕業だ!」
はやて「そうか、ヤミーは人間を襲っていたんじゃなく、車のエンジンを奪ってたんか!」
その時、ザフィーラは狼の姿に変わり、すかさず車の食べられた跡を必死に『匂い』を嗅いでいた。
映司「ザフィーラさん、何を!?」
ザフィーラ「火野、ヤミーの『匂い』がわかった!消える前に急いで追いかけるぞ!」
映司「えぇ!?わかるんですか!?ま、まあいいや!いきましょう!」
映司はライドベンダーに乗り、ザフィーラと共に、ヤミーの跡を追いかけていった!
はやて「たのんだなぁ~ザフィーラ~映司く~ん!」
フェイト「うう、はやてぇ~」
はやて「はいはい、フェイトちゃん、はよなきやんでなぁ」
-ミッドチルダ市街地-
そこにはとんでもない速度で走る狼の姿になったザフィーラと、ライドベンダーに乗った映司がいた!
ザフィーラ「火野!近いぞ!」
映司「はいッ!…あれ?ここは…」
たどり着いたのは、とある総合体育館だった。
ザフィーラは匂いをたどっていくと、男性更衣室にたどり着いた、そこには1人の青年と、…あのヤミーがいた。
選手「やめてくれ!他人に迷惑をかけてまで俺は速くなりたくない!」
ヤミー『何をいっている、お前は この世で一番速くなりたい、と願ったではないか』
ヤミーは捕食したエンジンをパワーに変換し、マラソン選手の足に送っている。
選手「嫌だッ!助けてくれぇ!」
マラソン選手はヤミーから逃げる。
作品名:ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第2部 作家名:a-o-w