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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第2部

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010話 烈火の将と過ちの騎士と師弟誕生




月の光りが微かに照らす路地裏で、2つの影が走っていた。

1人は甲冑を身につけ、その手には普通の物より少しサイズが大きい剣を持ち、桃色の髪色でポニーテールをした美しい女性で、
もう1人はだるだるの服を身につけ、外はねっ気のある髪型をし、腰にはとあるベルトを巻いている少し変わった格好の青年だった。

「無線によれば次の角を右だ、急ぐぞ、火野!」
「はい、シグナムさん!」

映司達は、息を切らしつつ急いで、角を右に曲がると、
その先に、まるで中世の騎士を具体化したような『ヤミー』と、そのヤミーに教われている、少し柄の悪そうな『学生』の姿があった。学生は腰を抜かし、壁に寄り付いていた。

「な、なんなんだてめぇ!?俺がなにしたっていうんだ!?」
『…。』

ヤミーは無言のまま、右手に持っていた剣を学生に向ける!

「ひっ!だ、誰か助けてくれぇ!!」

次の瞬間!ヤミーの剣が自分の頭上に上げた!そしてそのまま学生に降り下ろそうとしている!

それをシグナムが察知し、
「ッく!させん!」

風の如く、飛行魔法を巧みに使い、学生の前に移動し、ヤミーの降り下ろした剣をシグナムのアームドデバイス『レヴァンティン』で
ガードした!

『ッ!…邪魔だ…』
「悪いな、これが私の仕事なのでなッ!」

シグナムはそのまま後ろで腰を抜かしていた学生に、大声で叫んだ。
「今のうちだ!はやく逃げろ!」

学生は緊張がほぐれたのか、生意気げに
「わ、悪いなあんた、あばよッ!」
と、その場から逃げていった。

その後、映司がシグナムの近くまで来て、すかさず右手にオースキャナーを持ち、オーズドライバーにあるメダルをスキャンする。ドライバーにはあらかじめ「タカ」「トラ」「バッタ」のメダルがセットされていた。

「変身ッ!!」
『タカッ!トラッ!バッタッ!
タッ!トッ!バッ!タトバ!タッ!トッ!バッ!!』

映司はオーズに変身し、シグナムの横に立ち、騎士ヤミーに対して構えた。

「な、なんか強そうなヤミーですね」
「うろたえるな、いくぞ!火野!」

シグナムはそう言うと、騎士ヤミーにレヴァンティンで攻撃する、…が、騎士ヤミーも達人並みの剣さばきで、シグナムからの攻撃を許さない!

シグナム「なかなかやるな、ッだが!」
『Schlangeform』

シグナムはレヴァンティンの携帯の一つ、
『シュランゲフォルム』を発動した。
レヴァンティンの刀身はまるで鞭のようになり、騎士ヤミーの身体を複数回切り刻んだ!

『ッ!…。』
「今だ、セイヤッ!」

オーズはトラクローを展開し、騎士ヤミーに攻撃をしようとするが、

『…甘いな。』
「ッ!うわぁっ!」

騎士ヤミーの剣がオーズにヒットした。オーズはリーチ負けをしていた。

「ちょっとぉッ!武器つかうなんて反則でしょ!」
「なにをやっている!!」

シグナムは思わず映司に突っ込んでしまった。
その隙を騎士ヤミーが見逃す訳もなく…
『ッはぁ!』

騎士ヤミーがオーズとシグナムに向かって剣から衝撃波を放った!
「うわッ!」
「くッ!…な?しまった!」

オーズとシグナムは壁に叩きつけられた!さらにシグナムはその衝撃でレヴァンティンを手放してしまった!


『オーズ、ここで消えろ』

騎士ヤミーがオーズ目掛けて突っ込んできた!

「くそ、どうすれば…あ!」

オーズの足元には先程シグナムが手放してしまったレヴァンティンがあった。

「シグナムさん、ちょっとお借りします!」
「な、なに?」

オーズはレヴァンティンを片手で持ち、騎士ヤミーに対して、かつてメダジャリバーを扱っていたようにやみくもに振り回す!

「セイッ…て重ッ!で、でも!!」

オーズは更に騎士ヤミーに対してレヴァンティンを振り回す!すると攻撃がヒットした!

『…ッ!よ、読めん…』

それもそのはず。映司が剣の使い方など知っている訳がない。シグナムはその戦い方を…

「……。」

ただ、じっと見ていた。



「セイヤぁぁッ!」
『く、くそ…』
オーズが徐々に騎士ヤミーを押し始める!

「よし、今だッ!」

オーズはオースキャナーを持ち、レヴァンティンにスキャンする…?

「な、なにやってるんだ火野ぉ!?」
「わぁ!?メダジャリバーと間違えたぁ!」

『(今だ…!)』

その隙に騎士ヤミーは空高く跳び、逃げてしまった。




…その場の空気が、重くなる。
シグナムが一言も喋らない。
(ヤバい!シグナムさん俺がバカやったから怒ってるのかな!?)
シグナムの目が髪に隠れて余計恐ろしい…

「…し、シグナムさん、と、とりあえず、レヴァンティン返しますね!」

オーズはシグナムにレヴァンティンを返す。
すると、シグナムは…

「火野ッ!!!!!!!!!!」
急に叫びだし、熱弁を始めた!オーズは慌てて棒立ちになり返事をする!

「はいぃッ!」
「なんだ…なんださっきの剣さばきは!?オーズとあろう者が、いったいなにをしている!?」

「えぇぇッ!?(怒るとこそっち!?)」

「第一、形がなってないッ!片手で振り回せば良いとでも思っているのかッ!?この愚か者!!!!」

「愚か者!?」

「今決めたぞ!明日からフォワード達と特訓だ!そして火野、お前は私の…







弟子になれッ!!!!!!!!」










「え、…ええぇぇッ!?」






次の日、機動六課の部隊長室ではいつもは笑顔を絶やさないが珍しく深刻な顔をした はやて の姿があった。

「グリード、アンジュの出現と夜天の書の隠された667ページ、ザフィーラの身体からでてきたリンカーコアとはまた違うエネルギー体
、グリードと夜天の書には何か繋がりがあるのか?…なぁ、『リィンフォース』、あんたは一体何を知っとるんや?…なぁ…。」

はやては『夜天の書』を見つめ、悲しげな顔をする。





だが、そんな空気も『あの男』が一瞬で壊してくれた。






『はやてちゃぁぁぁぁんッ!!!』
「な、なんや!?」


突然映司がノックすらせず、部隊長室に入ってきた!

「な、どうしたんや、映司くん!」

はやて は酷く怯えている映司の様子をみて、少し焦っていた。その姿はまるで、鬼から逃げている子供のようだった。

「シグナムさんの特訓がおかしいんだよ!準備運動でマラソン10kmって何!?」

はやて は、あぁ、という顔をし、優しく映司の肩を叩いてあげた。

「映司くん、がんばってなぁ」
「え、何!?もっと過酷な事でもあるの!?」

「みつけたぞ!火野!」
「ッ!!」

そこには仁王立ちしているシグナムの姿があった。近くにいるだけでも『熱い』。

「さあ、走るぞ!大丈夫だ、私も走る!」
「ちょ、ちょっと待…」
「さあ、いくぞ!」
「嫌だぁああッ!!!!」

シグナムは映司の首下を引っ張り、無理矢理連れていった…





「なんやろな…なんか、…なんやろ?」

微妙な心境のはやて だった。





「はぁ…はぁ…ホントに…ゲホッ…走った…」

「久しぶりに良い汗をかいた、ふぅ~風が涼しい」

蔓延の笑顔をしているシグナムとは対象に、今にも死にそうな映司の姿があった…。