emotional
アイツは知らない、俺がこんな風にアイツを見ている事を。
アイツは知らない、俺は別に王様じゃなく、ただの、咎人だと言う事を。
それはまるで本能のように当たり前に自分の中に存在した。
それに自覚したのが早かったのかは自分でもよくわからないが、流石に呆然絶句だった。
一つ年下のしかも実の『弟』に対してこんな感情を持つ事が変だということは幼くても理解できた。
自分が酷く汚く見えて、傍にアイツが近づくだけ恐ろしかった。
冷たく突き放しもしたが、瞳に涙を溜めて困惑しながら追いかけてくる姿を見るとそれも長くは続く訳も無く。
結局離れる事なんて俺自身も出来る訳がなかった。
自分の気持ちに綺麗に折り合いをつける事に必死になった。
行き過ぎるな、セーブしろ、絶対に知られる訳にも悟られる訳にもいかない。
emotional ACT,01
朝、目を覚ましまず考える事、それは、夢の中で起こった事が現実ではないと言う事の確認。
焦りそして安堵し落胆する。
周囲の人間は俺をクールだと言う。
「フッ・・・・・俺の何処がクールになるんだろうな・・・・」
苦笑しながら制服に着替える。
隣の部屋では未だに目覚ましのアラームが鳴り響いている。
チラッと壁へと視線を向けそして考えを振り切るように荷物を持って自室を後にする。
隣の部屋へと廊下に出て視線を向けそのまま下の階へと降りていく。
「あら傑一人?駆は?」
「さぁ?まだ寝ているみたいだ」
「まあ、あの子ったら」
母親が俺の分の朝食をテーブルの上に並べてくれた頃、二階から叫び声がしたと思うとバタバタとする音が響く。
我が家でももう珍しくない事。
音を聞いた母親も苦笑している。
「今日も元気そうだな駆のヤツは」
「クスクス、またく誰に似たんだか」
「そりゃあお前・・・・・いや、何でもないです」
「ウフフフ、貴方も早く食べないと遅刻しますよ?」
「あっああ・・・・・・」
「フッ」
チラッと視線を母親の後ろに向けた後にこちらを見てきた父親に笑いながら食後のコーヒーを飲む。
するとバタバタと階段下りてくる音とともにリビングにアイツは飛び込んできた。
「寝坊したぁあああ!!!」
「駆!もう少し静かに起きてこれないの!?」
「母さん!起こしにきてくれてもいいのに!」
「母さんに言わないで自分で起きなさい、傑はもう出かけるみたいよ」
「エッ・・・・・おっおはよう兄ちゃん」
「・・・・・・ッ・・・・・」
「あっ・・・・・・」
向けられた視線、挨拶を変えそうと口を開くが言葉は出てこない。
実の弟である駆は急いでいた為か制服のシャツもきちんと着ることなくそこにいた。
ボタンの留められていないシャツの奥に見える素肌に視線が行き、カッと熱が入る。
直視している事が出来なくて視線をそのまま逸らす。
駆がそんな俺の態度に悲しそうな顔をするが、それに構っている余裕の無い俺。
このままココにいたら絶対にマズイ。
だから。
「ご馳走様、俺行くわ」
「あら、いってらっしゃい」
「気をつけるんだぞ?」
「うん」
「ほら駆!貴方もボーッとしてないで早くご飯食べないと時間ないわよ!」
「あっヤバッ」
玄関に行き急いで家を出る。
外に出て朝の少し冷たい空気が身体から余計な熱を奪って行ってくれる。
それがとても安心できた。
俺は本当にこのままで大丈夫なのか?
本当にこのままで俺は、アイツと今後もこのまま笑って生活が出来るのだろうか?
苦しい、クルシイ、くるしい。
年を重ねる毎に募る。
日に日にこの気持ちは成長している。
それこそ、自分ではもう制御できなくなる程に。
怖い、恐い、コワイ。
頭の中で自分の良いように欲望のまま実の弟を弄くっている自分に吐き気がした。
誰でもいい。
誰か。
止めてくれ。
俺を。
俺がアイツを傷つける前に。
誰か。
タスケテクレ。
アイツは知らない、俺は別に王様じゃなく、ただの、咎人だと言う事を。
それはまるで本能のように当たり前に自分の中に存在した。
それに自覚したのが早かったのかは自分でもよくわからないが、流石に呆然絶句だった。
一つ年下のしかも実の『弟』に対してこんな感情を持つ事が変だということは幼くても理解できた。
自分が酷く汚く見えて、傍にアイツが近づくだけ恐ろしかった。
冷たく突き放しもしたが、瞳に涙を溜めて困惑しながら追いかけてくる姿を見るとそれも長くは続く訳も無く。
結局離れる事なんて俺自身も出来る訳がなかった。
自分の気持ちに綺麗に折り合いをつける事に必死になった。
行き過ぎるな、セーブしろ、絶対に知られる訳にも悟られる訳にもいかない。
emotional ACT,01
朝、目を覚ましまず考える事、それは、夢の中で起こった事が現実ではないと言う事の確認。
焦りそして安堵し落胆する。
周囲の人間は俺をクールだと言う。
「フッ・・・・・俺の何処がクールになるんだろうな・・・・」
苦笑しながら制服に着替える。
隣の部屋では未だに目覚ましのアラームが鳴り響いている。
チラッと壁へと視線を向けそして考えを振り切るように荷物を持って自室を後にする。
隣の部屋へと廊下に出て視線を向けそのまま下の階へと降りていく。
「あら傑一人?駆は?」
「さぁ?まだ寝ているみたいだ」
「まあ、あの子ったら」
母親が俺の分の朝食をテーブルの上に並べてくれた頃、二階から叫び声がしたと思うとバタバタとする音が響く。
我が家でももう珍しくない事。
音を聞いた母親も苦笑している。
「今日も元気そうだな駆のヤツは」
「クスクス、またく誰に似たんだか」
「そりゃあお前・・・・・いや、何でもないです」
「ウフフフ、貴方も早く食べないと遅刻しますよ?」
「あっああ・・・・・・」
「フッ」
チラッと視線を母親の後ろに向けた後にこちらを見てきた父親に笑いながら食後のコーヒーを飲む。
するとバタバタと階段下りてくる音とともにリビングにアイツは飛び込んできた。
「寝坊したぁあああ!!!」
「駆!もう少し静かに起きてこれないの!?」
「母さん!起こしにきてくれてもいいのに!」
「母さんに言わないで自分で起きなさい、傑はもう出かけるみたいよ」
「エッ・・・・・おっおはよう兄ちゃん」
「・・・・・・ッ・・・・・」
「あっ・・・・・・」
向けられた視線、挨拶を変えそうと口を開くが言葉は出てこない。
実の弟である駆は急いでいた為か制服のシャツもきちんと着ることなくそこにいた。
ボタンの留められていないシャツの奥に見える素肌に視線が行き、カッと熱が入る。
直視している事が出来なくて視線をそのまま逸らす。
駆がそんな俺の態度に悲しそうな顔をするが、それに構っている余裕の無い俺。
このままココにいたら絶対にマズイ。
だから。
「ご馳走様、俺行くわ」
「あら、いってらっしゃい」
「気をつけるんだぞ?」
「うん」
「ほら駆!貴方もボーッとしてないで早くご飯食べないと時間ないわよ!」
「あっヤバッ」
玄関に行き急いで家を出る。
外に出て朝の少し冷たい空気が身体から余計な熱を奪って行ってくれる。
それがとても安心できた。
俺は本当にこのままで大丈夫なのか?
本当にこのままで俺は、アイツと今後もこのまま笑って生活が出来るのだろうか?
苦しい、クルシイ、くるしい。
年を重ねる毎に募る。
日に日にこの気持ちは成長している。
それこそ、自分ではもう制御できなくなる程に。
怖い、恐い、コワイ。
頭の中で自分の良いように欲望のまま実の弟を弄くっている自分に吐き気がした。
誰でもいい。
誰か。
止めてくれ。
俺を。
俺がアイツを傷つける前に。
誰か。
タスケテクレ。