ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第4部
018話 液化とカレーと『味』
「青い、オーズ?」
シャマルは初めてみるオーズの姿を見て驚いた。
頭はシャチを催した形、腕には鞭を装備し、足にはタコの吸盤の模様が浮かんでいた。
「ハッ!!」
『ッ!!』
オーズと鮫ヤミーの口から潮が放たれた!
『ッ!?グオォッ!!』
しかしオーズの潮攻撃の方が一歩上で鮫ヤミーは吹き飛んだ!
「まだまだぁッ!」
続いてオーズの電流鞭攻撃が放たれた!それを喰らった鮫ヤミーは感電し、ひるんだ。
『く、くそォ…だが!』
鮫ヤミーは液体化し、逃げていく。
「映司くん!」
「大丈夫です!」
次の瞬間、オーズも液体化し、鮫ヤミーを追いかけていった!
「オーズって、なんでもありなのね…」
そのころ鮫ヤミーは路地裏に逃げ込んでいた。
『こ、ここまでくれば…大丈夫だろう…』
「逃がさないよ!」
『な、なにぃ!?』
鮫ヤミーのすぐ後ろには、オーズの姿があった。オーズはウナギウィップでヤミーをつかみ、足をタコのような形に変型し、百烈キックを浴びせた!
「アバババババババババババッ!」
『ギャアァァァァァァッ!!!』
鮫ヤミーはもうボロボロで動ける状態ではなかった…
「これで決めるッ!」
オーズはメダジャリバーを取りだし、セルメダルを三枚投入し、オースキャナーでスキャンした!
『トリプル!スキャニングチャージ!!』
「ハァァァァァァッ!セイヤァァァッ!!」
『おのれぇぇぇぇぇッ!!!』
再び「オーズバッシュ」が放たれた、鮫ヤミーは爆発し、大量のセルメダルが地上に落ちた。
映司は変身を解き、シャマルの元へと向かった、遠くからシャマルもこちらへ走ってきた。
「シャマル先生~!」
「映司く~ん!」
これでこの事件は終わるかと思われた…
『おっと、よそ見はいけないなぁ』
「ッ!シャマル先生、避けて!」
「え?…あッ…」
シャマルは後ろからアンジュによって胸を貫かれていた。
「ッ!シャマル先生!!」
映司はすぐシャマルに駆け寄り、アンジュを睨みつける。
「アンジュ、お前!」
『そう怒るな、オーズ、別に危害をあたえているわけではないだろう。ほら、これを返して貰っているだけなのだから』
アンジュの手には透明のコアメダルが握られていた。シャマルには怪我はなかったが、疲れていたのか、気絶してしまった。
「くそッ!」
映司はオーズに変身しようとするが…
『おい、まてまて、無駄な戦闘は控えておこうじゃないか。この前の戦いでお互いボロボロだろ?』
アンジュは生意気そうに映司に喋った、しかし映司も回復したとはいえ、まだ本調子ではなかった。映司は怒りをこらえ、アンジュを見逃した。
「…わかった、もうどっかに行ってよ」
『話が合う奴は嫌いではないぞ!さらば!』
アンジュは翼を広げ、空高く飛んでいった…。
事件は解決し、記者は逮捕された。
再び平和になると思われていたが、八神家には更なる試練が訪れた。
「さて、シャマル先生はりきって料理しちゃうわよ!」
「は、はい…」
すっかり回復したシャマルは機動六課のキッチンにいた。そこには映司の姿もあった。
(だ、大丈夫かな?材料はまったくカレーに合いそうな物ないけど、…もしかして意外に美味しい物できちゃうのかな?)
しかし、シャマルは期待を裏切なかった。
材料を切るまでは良かった…しかし…
「ふふふ~ん♪今回のカレーの出来は最高ね!!」
「う、うそでしょ…」
シャマルのカレーはカレーじゃなかった。
まずカレー特有の色をしていない。更に臭いが半端ない。味のわからない映司でもわかった。これは確実にまずい。
鴻上会長の食べてもなくならないケーキのほうが何倍幸せだろうか。
「映司くん?」
「は、はい!」
「完成したから皆を呼んできてくれる?」
「…はい。」
映司は部隊長室に向かった。そこには八神家全員そろっていた。…もちろん全員どんよりしていた。
「…映司くん?」
「どうしたの?はやてちゃん」
「…完成したんか?」
「う、うん。一様ね」
途端に はやて は机に倒れた、続いてヴィータが飛び出してきた。
「おい、映司ッ!」
「な、なに?」
「なんで…なんでシャマルと一緒にいたのに止めてくれなかったんだよ!」
「えぇッ!?」
「やめろヴィータ!…シャマルは別に悪気があってやったことじゃないんだ…私は食べよう…ヴォルケンリッターの烈火の将として!!」
全員覚悟を決め、シャマルの待つ、ランチルームに移動した。
「さあ、皆!召し上がれ!!」
『い、いただきまぁ~す!』
はやて達は一斉に食べた。
衝撃だった。
隠し味が隠しきれていない。
はやて とヴィータは予想通りの反応、
シグナムは…烈火の将から劣化の将になっていた…、
ザフィーラは、必死にポーカーフェイスを保っているが、頬がひきつっている。
「どう、今回は今までで最高傑作なんだけど♪」
「うん、めちゃうまいで~…」
(皆!不味いは禁句やで!)
(うぅ~はやて~…)
(私は烈火の将…私は烈火の将…)
(……。)
(あかん、なんとかしな…大丈夫、不味いって言わなければ…)
「…不味い。」
その場にいた全員が言葉を発した人物を見た!
ヴィータ?シグナム?ザフィーラ?
…いや、ちがう…
「…不味いよ、シャマル先生…」
映司だった。
「え…映司くん?」
はやて は驚いた、映司には味覚がない。
その映司が今、不味いと言った。
「…不味い、不味いですよ…グスッ…本当に不味いですよ…」
映司は泣きながらシャマルのカレーをずっと食べていた。
「映司くん、味覚が…」
シャマルは今にも泣きそうだった。
「え、映司くん…映司くんッ!!」
はやて は泣きながら映司に抱きついた。
「ほんま良かったなぁ…ヒグッ…ほんま…良かった…!」
「まさか、シャマルのカレーで味覚がなおるとは…」
「おそらく前に受けた治療がきいたのかもな、映司…良かったな」
「でも変だよな…不味いカレー泣きながら食べるやつがこの世にいるなんてな!」
作品名:ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第4部 作家名:a-o-w