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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第5部 前編

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022話 夜天の主と約束と出撃




ミッドチルダの市街地から離れた上空、一機のヘリコプターが飛んでいた。


そのヘリコプターの機内には、機動六課部隊長、八神はやて とヴォルケンリッター、そして火野映司の姿があった。


「目標地点まであと少しやな…皆、準備は大丈夫か?」


「あぁ、万端だぜ、はやて!!」

「何も問題ありません、主はやて」

「私も大丈夫よ!」

「…何も問題はありません」



「うん…俺も大丈夫だよ、はやてちゃん!」



ヘリコプターは、何もない山岳地帯を目指していた…。











数時間前、機動六課のブリーフィングルームでは八神家が集まり、会議を行なっていた。


「…皆に知らせたいことがある、アンジュの居場所をなんとか掴むことができた」


その場にいた全員が驚いた。

「ッな!?本当か、はやて!!」

ヴィータが椅子から立ち、はやて に質問した。
シグナムはヴィータを落ち着かせる。


「落ち着け、ヴィータ。…主はやて、それは本当ですか?」

「今まで起こった事件には必ずアンジュの姿が現れたのは皆しっとるやろ?その時にアンジュから放たれるエネルギーの波形を記録しとったんや。そんでこの前のヴィータと映司くんの模擬戦の時に取ったデータを採取したときにある場所から放たれていたエネルギー波とデータが一致したんや」


「主…」
ザフィーラが はやて に質問してきた。

「そのエネルギー波の放たれていた場所というのは、どこなのですか?」

全員が息を呑む…。


「せやな…それはミッドチルダ市街地から少し遠くにある、なんの変哲もない山岳地帯の一角や、…こんな近くに居たのに気づかなかった私に腹立つわ…」

はやて は拳を強く握る、それをみて映司は慌て始めた。

「まぁまぁ、落ち着いて!はやてちゃん!…でも見つけられてよかったじゃないか、これで俺たちの方からアンジュを攻めることができるし…これ以上被害をださなくて済むんだから」


映司は思い出した。確かに今まで自分の欲望任せに暴れていた人もいたが、中には無理やりヤミーの親にされていた人たちもいた。映司にはその人たちを親にさせられる前に救えなかったことがとても悔しかったのだ。

「すまんな、映司くん、…ありがとな…、とりあえず!私たちはこれからアンジュに対して奇襲作戦を開始します!!作戦実行は5時間後!各自コンディション万端で望むように!!」

『了解ッ!!』










…機動六課、屋上。ちょうど深夜12時を過ぎた頃、そこには映司と はやて の姿があった。
二人は手すりに身体を任せ、同時に星空が映る空を眺めていた。


「いよいよやな、映司くん」

「うん、あと3時間後か、今までいろんなことがあったね…」


二人は今までに起きたことを思い出していた。



最初のヤミーが現れた時、自分達の目の前に突然映司が現れたこと…


仮面ライダーオーズとの出会いのこと…


ザフィーラとの和解のこと…


シグナムの師弟関係のこと…


映司が人間ではなかったこと…


シャマルの下手くそな料理のこと…


味覚が戻ったこと…


ヴィータとの対決のこと…




「なんでやろ?まだ一ヶ月しか一緒に生活してへんのにえらく長く感じたなぁ…」

「はやてちゃん、たまに老人臭いこと言うよね」

「うっさい、ボケ」

はやて は軽く映司に突っ込んだ。


「ごめん冗談だよ…でもいろいろ大変だったことや、辛かったこともあったけど、嬉しいこともあったなぁ」

「…?どういうことや?」


映司は身体を はやて の方に向け、目線を合わして話し始めた。

「だってさ、はやてちゃん達の『家族』になれたんだもん、俺のなかでは一番嬉しかったなぁ」

映司は自然と笑顔になった。それにつられて はやて も笑顔になる。

「そういえば映司くんって家族で言えばどこポジションなんやろ?」

「う~ん…、シグナムはお姉さんで、シャマル先生はそのまた上のお姉さん、ヴィータちゃんは妹で、リィンちゃんと…あと「アギトちゃん」っていう子が双子の末っ子、ザフィーラさんは…ごめんなさい、ペットで…はやてちゃんがお母さん、…ってことは俺は『お父さん』…?」

はやて の顔が一気に赤くなった!

「んなわけあるかッ!ドアホッ!!」

はやて はさっきの数倍以上のツッコミを放った!

「痛てて…なんで怒ってるの?はやてちゃん?」

「べ…別に怒ってないわ…ま、まぁ映司くんは強いて言うならヴィータのお兄ちゃんでシグナムとシャマルの弟やな!」

「うん、そんなとこかな?」



その場にすこし静寂が訪れる、そして はやて は今後について一番気にしていたことを映司につぶやいた。


「なぁ…映司くん、もし…この戦いが終わったら…どうするん?」

映司は驚いた。…なにも考えていなかったのだ。アンジュを倒せばもうこの世界に居る必要はない、地球には比奈や知世子、伊達や後藤達がいる。でも映司には思い出を作りすぎてしまった。…このミッドチルダ、いや、八神家と別れたくない。せっかくできた家族なのに、もうさよならなんてしたくはない。しかし…映司にはまだ目的があった…




アンクだ…





「ごめんね、はやてちゃん。…俺、まだ話してなかったけど、実はここに来る前、ある『腕』を探していたんだ」

「う、腕?」

はやて にはよく意味がわからなかった。


映司は はやて に話した。

アンクとの出会い、対決、和解、別れ…そして今はそれを探す旅にでていたということ…


「そっか、映司くんにはまだやるべきことがあったんやね」

「うん、ごめんね!はやてちゃん!!でも八神家はアンクと同じぐらい大事だよ!!」

はやて は笑顔で映司に向かってある『約束』をした。



「じゃあ、約束しよ?この戦いが終わってそのアンクっていうグリードを見つけたら、私の自慢の料理、食べてくれな!!もちろん皆一緒で!!」


「うん、約束するよ!指切りしよ!!」


二人は小指を出し、絡める。

『指切りげんまん、嘘ついたら針千本の~ます!指切っ…』


「ど、どうしたの?はやてちゃん?」



しかし、はやて は離してくれなかった。
それどころか、…泣いていた。



「嫌や…離れたくない…ヒグッ…映司くんと…ずっと…ずっと…一緒に居たい…」

「は、はやてちゃん…」

映司は空いているもう一つの手を使い、はやて の頭を撫でた。


「はやてちゃんは何か勘違いをしているよ」

はやて は涙を吹き、映司の顔をみた。






「家族ってね…どんなに遠くにいても、どんな世界にいてもずっと『見えない手』でつながっているんだよ。だから…俺と はやてちゃんはずっと繋がっている、もちろん皆にもね。だから、そんな悲しい顔しないでいつもの笑顔をみせてよ、…俺、はやてちゃんの笑っている顔、大好きだよ」




「ッえい!」
その瞬間、映司は頭を撫でていた手を使って はやて の頬を引っ張った!

「痛ででででッ!!なにすんねん!映司くん!!」