emotional 04
理性と言う名のストッパーが無くなると、それは勢いを増しあふれ出す。
感じてしまった感触と温もりに全身が歓喜し熱くなる。
アイツの言葉で動かされ熱くなり、触れた感触と温もりで煽られる。
早く離れなければと思う反面、これが最後と思うと身体が言うことを聞かない。
口よりも身体が素直になるとはよく言ったものだ。
ごめん、ごめんな。
止められない。
ごめん。
こんなに。
こんなに、好きになって。
emotional ACT,04
「ンッ……」
唖然とこちらを見ている駆の視線を感じながらも、離れる事が出来ずに更に深くなるように重なる角度を変える。
強引に口をこじ開けて舌を入れる。
怯える駆の舌を捕まえて絡めると駆の身体がビクッと震えた。
それでも、それを無視して強く頭を抱えて離れないようにする。
室内に響く卑猥なリップ音。
時計の秒針が刻む音よりも、こちらの音のほうが大きく聞こえる。
「ンンッ……アッ……にぃ…ンンッ」
呼吸する間に俺を呼ぶその言葉すら言わせないようにすぐに噛み付くように唇を重ねる。
ヤバイ、止まらない、止められないッ。
そっと手が駆のシャツの中に入り込んだ時だった。
消えていた室内が明るくなる。
ハッと我に返った。
「ハァハァ……ンッ……ハァハァ」
上気した頬と潤ませた瞳で荒い呼吸を繰り返している駆を見て、一気に熱が引いた。
俺は、実の弟にナニをしているんだ。
バッと駆の傍から離れる。
やってしまった。
こうならないように避けていたのにッ。
もうお終いだ。
俺は駆に……。
「待って!」
「!?」
ソファから離れようとした俺の手を駆が強く掴む。
突然の事に驚いて俺は駆を凝視した。
「嫌いにならないでっ」
「駆……」
「お願いッ」
もう駄目だ。
ココまできたら隠してなんかいられない。
嫌われるようなことをした俺に、こんな風に言ってくれる駆。
隠すなんて出来る訳がない。
「頼むのは、俺の方なんだ駆」
「えっ?」
泣きながらこちらを見る駆、そんな駆と視線を合わせる為に俺はソファに腰を下ろす。
全てを話すと覚悟を決めたせいか自分でも驚く程、冷静だ。
そっと駆の手に触れて握れば、駆は驚きはしたようだが嫌がるような様子はなかった。
叶う事なら、話が全て終わった後でもこのままでいたい。
作品名:emotional 04 作家名:藤ノ宮 綾音