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魅桜うさぎ
魅桜うさぎ
novelistID. 36696
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side with you

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 結局、あたしはゼロスをマネージャーにすることにしたのだった。
 
 
+ + + + + + + + + + 


 翌日、あたしはセイルーン公演の二日目を控えていた。
 
 あたしのテーマカラーである真っ赤なミニスカドレスは、普段着るにはちょっぴし恥ずかしい服だが、ステージ衣装としてはよく映える。
 
「さあ、リナさん……時間です」

「ええ。
 分かったわ」
 
 マネージャーのゼロスが時計を気にしながらあたしに合図を送る。
 
 実際、疲れも知らず、言葉の通り馬車馬のように働くゼロスに助けられてセイルーン公演までこぎ着けたことは事実である。
 
「よく見てなさい。
 あたしの生き方を」
 
「もちろんです。
 あなたを見るために、僕はここに立っているんです」
 
 にこりと微笑む姿は、かつての戦いの場で見せる笑みと同じなのに、とても頼もしく思えた。
 
「行ってくる」

 あたしはスポットライトの当たるステージへと走っていく。
 
 耳が痛いほどの歓声が上がり、ステージを円形に囲む観客のエネルギーが膨れ上がる。
 
 死の臭いのする世界から、生の活力の満ちた世界への転換の一端が、今ここに確かにある。
 
「今日はあたしのコンサートにようこそ!
 じゃあ、さっそく一曲目!
 ……Meet againからいくわよ」
 
 ステージ裏のゼロスはきっと、いつもの笑顔であたしを見つめているのだろう。
 
 魔族だとか、敵になるかもしれないとか、今はどうでもいい。
 この極限状態の世界を復興するために、あたしはあいつを利用しているに過ぎないのだ。
 
 たまに、あいつが傍にいてくれて良かったと思うこともある。
 
 あたしの戦いは始まったばかりなのだ。
 
 この、ステージの上での新たな戦いが。
作品名:side with you 作家名:魅桜うさぎ