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Shadow of HERO 8

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「バーナビーです。」
「入りたまえ」

緊張で手が汗ばんでいるのを自覚しながら、バーナビーは社長室へ入った。バタンと閉じる扉の音が、やけに大きく感じる。マーベリックはガラス張りの壁の方を向いているため、どんな表情なのか分からない。それが一層緊張を引きたてる。

「メールを見たよ。丁度今時間が空いていてね、返信するより呼び出してしまった方が早いと思ったんだ。」
「そうだったんですか。」

嘘だ、アポロンメヂアのCEOにたまたま手が空く時間なんてできるわけない。しかし会えさえすれば、そんなことはどうでもいい。虎徹やあのヒーローのことをどう切りだすのがいいか…。

「最近、護衛中の女性について調べているみたいだね。」
「!!」

マーベリックの方から話を振られて、バーナビーは息を飲んだ。少し迷ったが誤魔化すことはせず頷く。

「少し気になることがあったので。」
「というと?」
「マーベリックさんには昔話しましたよね、20年前…両親が殺された時、誰かに助けられたと・この間、それと同一人物の可能性がある人物に遭遇しました。その人と彼女が似ていたもので…」

おそらくマーベリックはこっちの考えなど全て解っている。それなら隠す必要はない、向こうの意図を掴むことに専念すべきだ。きっといい内容ではないだろう。何を言ってくるか、彼の背中を見据えて身構える。そんなバーナビーに、マーベリックは「こんな都市伝説を知っているかい?」と問いかけてきた。

「深夜に犯罪者に遭遇するとヒーローが助けにくる。『シャドウオブヒーロー』なんて呼ばれているね。」
「『シャドウオブヒーロー』…?初耳です。」
「そうなのかい?ご両親のことに集中したいだろうが、こういう文化は今しか味わえないのだから耳を傾けるべきだよ。」
「つまり……それが僕が見た人物だと?」

マーベリックは振り向いて、何も言わずただ頷いた。どうやらそういうことのようだ。キーワードがあるのとないのでは見つけられる情報量がかなり違ってくる、これは大き手掛かりだ。
しかしここまできてもなお、マーベリックの意図が読めない。どうやら悪くは思っていないようだが、その理由は何なのか。

「バーナビー、私は私の会社を、社員を愛している。だからこそ気持ちに左右されず公平にならなければならない。」
「え、ええ分かっています。マーベリックさんにはマーベリックさんの立場がありますから。」

だからこそ、バーナビーはウロボロスについて調べる際、マーベリックに情報を求めたことはない。彼の立場上、身内でも言えないことは言えないだろうと分かっていたからだ。

「しかしそれでも……社員達が幸せであればいいと、願わずにはいられないのだよ。」

そう言ったマーベリックの表情は、愛情に満ちたものだった。
なんとなく、バーナビーは理解する。マーベリックは虎徹の幸せを願っているのだと。それでなぜ彼女の正体を暴かせようとなるのかは解らないが、そこは己が試されている部分なのだろう。重要なヒントとメッセージを差し出されたら、意地でも掴まねばという気になってくる。

「ありがとうございました。」

それだけ告げて、足早に部屋を後にした。
このまま部屋に戻りこっそり「シャドウオブヒーロー」について検索してみようと思っていたのだが、PDAにそれを止められる。

『Bonjour、バーナビー。出動要請よ、近くのビルで崩落事故、中に人が多数。すぐに向かってちょうだい。』

(こんな時に…!)

タイミングのよすぎる呼び出しに舌打ちする。一方で、彼女も呼ばれたのだろうかと思う自分がいた。


***


現場は、予想以上に悲惨だった。ヒーローが呼ばれるのだから軽いものであるはずないのだが、これは予想以上に複雑に救助が困難そうだ。建設途中のビルに突っ込んだタンクローリーはときおり爆発しながら炎上し、ビルの方は下部分が大きく損傷したせいで傾いている。消防が紛争しているが火は消える気配がなく黒い煙を上げており、このままだと中にいる者は一酸化炭素中毒になってしまうだろう


『タンクローリーが積んでいたのは石油だそうよ。ブルーローズ、迅速に消火してちょうだい。』
「引火したら大事故どころじゃ済まないじゃない…!了解!!」
「煙をまき散らすから、中の人を助けよう!」
「でもこのビル、大丈夫なのかな…?すごく傾いてるよ…。」
「この傾き方、ビルに欠陥があったのかもしれないわね…。」
「しかしレスキューの人達が命を賭けているのに、拙者達が傍観しているわけにもいかないでござる!」
「その通りだ。一刻を争う怪我人だっているかもしれねぇしな。行くしかないだろ。」

救助途中にビルが完璧に倒壊したら、ただでは済まないだろう。全員が息を飲む。しかしその顔には行かないという選択肢は浮かんでいない。

「行こう!!」

誰かの掛け声と共に、バーナビー達はビルへと突入した。

『ビルは10階プラス屋上、作業は8階から屋上で行われていたそうよ。』
「それなら屋上へ怪我人を運んで、スカイハイに運んでもらった方が早いわね。ハンサムとロックバイソンは距離のある8階からやってちょうだい。私達は上で分かれるわ。」
「それでいきましょう。」

ファイアーエンムレム達と階段で別れて、ロックバイソンと共に8階へ足を踏み入れる。熱源センサーを頼りに進むと、そこは思いのほか怪我人が多く緊迫していた。
内装途中だったせいで辺りに物が散らばり、それで足を切るなどして動けなくなっている人が多数。ビルが傾いているため、ガラスの嵌っていない窓から落下しそうになっている人が数人。

「やべぇな…こっれは。」
「僕は落下しかけている人の方へ行くので、怪我人をお願いします。」
「おう、気をつけろよ!」

足を滑らせないよう気を付けながら。柱に必死にしがみ付いている作業員の元へ近付く。無事に辿り着くとその作業員を抱え、一気に階段まで走り込んだ。

「あ、ありがとなヒーロー…!」
「自力で歩けるのでしたら、このまま屋上へ行って下さい。」
「ああ…!」

他の落下しそうになっている人も同様に助けていく。

「うわぁっ…!」

しかし残り一人の作業員の腕が、柱から離れてしまった。なんとか窓枠を掴んで落下を免れたが、長くはもたないだろう。

(このまま下へ行ったら共倒れになりかねないな…使うしかないか。)

ハンドレッドパワーで一気に下へ降りて、作業員を掴んだら床を蹴り上げて階段までダッシュ。その後は能力が切れるまで、できる限り怪我人を運ぶ。限られた力の使い方をシュミレーションしながら、足に力を込めた。しかし床を蹴りだす前に、横からワイヤーが伸びてきて作業員の体に巻きついた。

(もしかして…!)

ワイヤーの元には、予想通りあのヒーローが立っている。彼女はワイヤーを戻して作業員を引き寄せた。

「た、助かった…」
「怪我は?」
「あ、ありません…!」
「なら屋上へ行け。」
「は、はい…!」
「おばさん!」
「無駄口叩いてる暇はないだろ!お前も怪我人を運べ!!」
「っ……!」
作品名:Shadow of HERO 8 作家名:クラウン