Shadow of HERO 9
涙が止まった後、バーナビーは『シャドウオブヒーロー』とい都市伝説のことを話してくれた。それは明らかに虎徹のことを語っているもので。自分の行動は無意味じゃないと再確認して、また泣きそうになった。
「まったく…バニーちゃんはオバサンをどうしたいわけよ…」
「随分な言い方ですね。それより、そろそろ横になったらどうですか?疲れたでしょう。」
「ん…そうだな。そうさせてもらう。」
横になろうとした虎徹を、すかさずバーナビーが支える。バーナビーの手つきはしっかりとしているのにも関わらず傷を労わった優しいもので、虎徹は動揺した。今までずっと「オバサン」と呼ばれぞんざいに扱われてきたから、この対応はどうにも慣れない。思わず視線を上にやると、すぐ側に彼の顔があってなおさら動揺した。
「な、なんかバニーちゃん俺への対応変わったな!?オバサンびっくりしちゃうわ~!」
「ええ、あなたが瓦礫の下敷きになった時、色々思うところがあったので。」
声が裏返る虎徹に対して、バーナビーはいたって冷静だ。なんともこっけいなやり取りだなと我ながら思う。
「そうかそうか、思うところねぇ!」
ヒーローの在り方についてだろうか、と考える。
「はい。どうやら僕は、あなたにいつの間にか惹かれていたみたいです。」
「なーるほど!ようやくバニーちゃんもヒーローの魅力に………ん?俺に惹かれる?」
はい、とバーナビーは爽やかな笑顔で頷いた。
「僕は虎徹さんが好きです。」
どうしてこうなった。
あっけからんとしたバーナビーに対して、虎徹が瞬間的に考えたことは嬉しいとか断ろうとかそんなことではなく、それだった。
作品名:Shadow of HERO 9 作家名:クラウン